ポリプテルス ラプエン(sp.ナイジェリア)の特徴・飼育情報
公開:
ポリプテルス ラプエン(sp.ナイジェリア)
簡単
弱酸性 | 中性 | 弱アルカリ |
---|---|---|
◎ | ◎ | ◎ |
主な特徴
「ポリプテルス ”ラプエン”」はポリプテルス・エンドリケリーとポリプテルス・ビキール・ラプラディの交雑種とされるポリプテルスです。
個体によりほとんどエンドリケリーのものや、エンドリケリーにラプラディ模様が少し入ったもの、逆にほとんどラプラディのものなど非常にバリエーションに幅があります。
ギニアやナイジェリアなどから野生で採取されたものが輸入され、また東南アジアからも「ラプエン」の名前で幼魚が入荷されることもあります。
最近ではナイジェリアから来るものが多く、それらはラプエンではなく「sp.ナイジェリア」という名称で定着しています。
混泳・性格
温和で混泳に向いていますが、食べられてしまうサイズの魚とは混泳できません。
ポリプテルスは非常に温和な熱帯魚であり、非常に混泳に向いています。
ただし肉食魚であり丸呑みにできそうな魚は積極的に狙いに行きますため、小型魚との混泳は適していません。
摂食形態はカジって食べるタイプではなく丸呑みタイプですので、丸呑みできないほど大きい魚であれば問題ないということです。(ただし思ったよりアゴが広がるのでサイズ感には注意しましょう)
エサ
沈下性の肉食魚フードや、小さい個体であれば冷凍赤虫やメダカなどもエサに適します。
ポリプテルスは肉食魚用の人工飼料のうち沈下するものが一般的なエサとなります。
具体的な製品としては「ひかりクレスト キャット」または「ひかりクレスト ミニキャット」が人気です。
ベビーの個体は人工飼料を食べない個体もいますが、その場合は冷凍赤虫を与えつつ成長とともに人工飼料与え始めて切り換えていくと良いです。
ミドルサイズ~アダルト個体であれば飼育者の好みで「小赤」「ドジョウ」などの活餌や、「冷凍キビナゴ」「冷凍アジ」などの冷凍魚もバリエーションとして与えれば栄養状態が良くなり大型化させやすくなります。
飼育ポイント
とても強健な熱帯魚です。飼育は非常に容易です。
ポリプテルスは非常に丈夫で飼いやすい熱帯魚であり、魚を飼育できる最低限の環境さえあれば飼育可能です。
相当ひどい環境でないとポリプテルスは弱りません。
繁殖
繁殖は困難かと思われます。
飼育下での繁殖は聞いたことがありません。
魚や両生類において交雑種は繁殖能力が低下する傾向があり、ラプエンもこれによって繁殖阻害ができている可能性があります。
東南アジアから「ラプエン」の名前でたまに幼魚が入荷されますが、ラプエンの繁殖個体ではなく、エンドリケリーとラプラディの人為的な掛け合わせの可能性が高いです。
以下はチャレンジしてみたい方向けに、一般的なポリプテルスの繁殖を紹介します。
オスとメスの違い
ポリプテルスのオスとメスの違いは尻ビレの大きさ(幅)で見分けることができます。
オスはメスから卵を受け取るため尻ビレが大きくなっており、メスは幅が小さいです。
小さな個体では尻ビレの大きさに差異がほとんど無いのですが、成長してセミアダルト付近になってくると判別できるようになります。
成熟個体の用意
オスは発情すると尻ビレが丸いカップ状(おわん状)に変化し、繁殖可能であることを知らせます。
オスが上記のような行動をするまで結構年数がかかり、養殖物のセネガルスであれば1年程度でも発情するのですが、ワイルドの個体だと飼い込んで少なくとも2~3年ぐらいが目安です。
あとはメスがしっかり抱卵するよう普段から良質なエサをしっかり与えて下さい。
メスは抱卵してれば良いのですが、オスは発情するタイミングにムラがあるため1匹のメスに複数匹のオスをあてがうとより繁殖の機会に恵まれます。
産卵
産卵場となるボルビティスや十分茂ったアヌビアスなどの水草、または毛糸をモップ状に束ねたもの、もしくは市販の人工水草を沈めて産卵場を用意します。
エンドリケリーなど繁殖が容易な種類は産卵床がなくても産卵を行うことがありますが、基本的には産卵床があったほうが良いです。
オスはメスに寄り添い「頭部でメスの胴をコンコンと叩く行動」をして産卵を促し、カップ状になった尻ビレでメスの卵を受け取り受精、そして産卵床に付着させます。
以下はYOUTUBEにアップロードされているポリプテルスの繁殖行動動画です。非常に参考になります。
産卵行動は水換えをトリガーにして行われることが多いのですが、水槽水より低めの水温や硬度高めの水を水換えに用いるのがより確実なトリガーになると言われています。
なおポリプテルスは若いうちは結構発情するのですが、年齢を重ねるとオスが段々発情行動をしなくなる傾向がありますので、繁殖を狙うのであればそれを念頭において早いうちに成熟した雌雄を揃えるのがオススメです。
卵の孵化から保育
産卵された卵は放っておくと親魚も他のポリプも食べてしまうので、親魚をのけるか卵を回収して管理します。
カビた卵は早い段階で取り出さないと他の卵にカビが伝染してしまうため、こまめな観察が必要です。(エアーレーションやマラカイトグリーンなどの防カビ剤を使うテクニックもあります)
孵化した稚魚はオタマジャクシのような見た目をしており、孵化後しばらくはヨークサックで栄養を吸収します。
以下はYOUTUBEにアップロードされていたポリプテルス・オルナティピンニスの稚魚です。
ヨークサック吸収後に食事を始めますが、エサは孵化直後のブラインシュリンプが用意しやすいエサになります。
その後のエサは成長にあわせて、例えばグリンダルワーム→イトミミズ→赤虫など段階を踏んでいきましょう。
その他・補足情報
底床の影響を受けやすいポリプ
ラプエンは底床・砂利の色が体色に影響されやすいポリプテルスです。
(同一個体)
床の色によってはかなり地味になりますので、底床は選んであげると柄を楽しむことができるでしょう。
東南アジアブリードはどっちだ??
東南アジアからラプエンの名前で幼魚が入荷しますが、「野生個体のラプエン同士を繁殖させたもの」なのか、「ラプラディとエンドリケリーをかけたもの」どっちだ?という疑問があります。
魚や両生類において交雑種は繁殖阻害が起こる傾向があり、例えばインペリアルゼブラプレコとキンペコの交雑種である「スーパーインペ」は明らかに繁殖が難しくなります。他にもクランウェルツノガエルとアマゾンツノガエルを人為的に交雑させた「ファンタジーツノガエル」なども繁殖能力がないとされています。(なお普通に繁殖できる組み合わせもあります)
このように交雑種自体の繁殖が難しいことを考えると、東南アジアからたまに出荷されるラプエンは、ラプラディとエンドリを人為的に交雑させた可能性の方が高いでしょう。
まぁ色々述べたところで個体が気に入れば何でも良いワケですが、自然採取された「ワイルドのラプエン」と「幼魚で入荷するラプエン」は由来が全く違う可能性があるということを知っておいた方が楽しめるのではないかと思います。(育てて比べてみるとか!)
個人的な所感
2020年手前頃までは東南アジアからちっさいのが多く入荷していたんですが、ここ最近はそういった「チビ ラプエン」の入荷はほぼなく、ナイジェリアから採取された「sp.ナイジェリア」のみです。(2019年から東南アジアのラプエン壊滅的?)
「sp.ナイジェリア」はラプラディ成分が強くて、体の中心部分からビキール・ビキールみたいな縦模様が入って、体が緑になるものが多いイメージはありますが、本記事の写真のものはエンドリ成分多めの個体になります。
私、ラプラディとかステゴサウルスみたいに背びれがギンギンになるポリプが好きなんですが、この個体は背びれが長いのにエンドリ模様なので気に入ってます。
以下はラプエンで入荷したベビーのポリプテルス達ですが
こんな感じで一言で「ラプエン」と言っても、模様・背びれ・顔つき・下顎とか他のポリプより非常に個体の幅があります。
是非とも気になる個体がいないか探してみると良いでしょう。ラプエン・sp.ナイジェリア、めちゃくちゃ面白いです。
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