熱帯魚飼育におけるpH(ペーハー)とは?魚にもたらす作用など
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熱帯魚を飼う上で考えなければならないのが水中のpH(ペーハー)です。
pHがもたらす魚への影響や、pHの測り方、pHの上げ方、下げ方などを解説します。
pH(ペーハー)とは?
ダイレクトに言うとpHは水に溶ける水素イオンの濃度を表します。
pH値「7」を中性と呼び、高くなればアルカリ性、低くなれば酸性と呼びます。
酸性と言うとおり、数値が強いものは溶かしたりするのですが、熱帯魚飼育の上ではそこまで数値の高いものにはなりません。
熱帯魚では弱アルカリ性~弱酸性と呼ばれるレベルを取り扱います。
弱アルカリ性:7.5超え
中性:6.5~7.5ぐらい
弱酸性:6.5未満
ややこしいのですが水温などと同じく水の性質を表す1つのパラメータだと思ってもらえればそれで十分です。
熱帯魚にとってどんな影響がある?
魚を飼育する上では本来生息している川・池の水をそのまま再現することがベストです。
飼育が難しい魚でも元々住んでいた水と同じなら飼うことができます。
全く同じ水を再現するというのはほぼ不可能ですが、住んでいた環境にできるだけ近づけるというのが熱帯魚飼育の基本的な考えです。
特に飼育が難しい種類ほどより近い環境に近づける必要があります。
住んでいた水の環境、水質を示すパラメータとして使われるのがpH値なのです。
pHが低い環境
pHが低い、弱酸性というのは田んぼや池などの泥っぽい環境が多いです。
多くの淡水魚はこの弱酸性の環境に住んでいて、世界一長い川であるアマゾン川も多くは弱酸性です。
pHが高い環境
対してpHが高い弱アルカリ性というのは石や砂利などが多い、渓流っぽい環境であることを示しています。
流れの早い川に棲む川魚などが弱アルカリ性の環境に住んでいます。
また海に棲む海水魚なんかも弱アルカリ性ですね。
熱帯魚別のpH例
ようするに熱帯魚が生息している場所のpHに近づけることが必要になります。
弱アルカリ性の水槽であれば、弱酸性に棲む魚は飼育に向いていないと言えるでしょう。
魚が適応するpH値というのは図鑑などで確認できます。今はウェブ上でも調べることもできますね。
実際にいくつか取り上げてみます。
ネオンテトラ
ネオンテトラは最も定番の熱帯魚ですね。
アマゾン川に生息する魚で、アマゾン川は弱酸性の水質。
つまりネオンテトラは弱酸性の水が適しています。
エンゼルフィッシュ
エンゼルフィッシュもネオンテトラと並び人気の熱帯魚です。
同じくアマゾン川に生息しており、弱酸性の水質が適しています。
多くの熱帯魚は弱酸性の水質を好みます。
グッピー
とはいえ弱酸性を好まない熱帯魚もいます。
グッピーは北アメリカに生息しており、中性~弱アルカリ性の水質に住んでいます。
このようにその魚がどのpHを好むのかを考えて、飼育環境の目安にするのです。
混泳を考える際にも活用する
先程ネオンテトラは弱酸性、グッピーは中性~弱アルカリ性であると言いました。
つまり弱酸性の水槽であればネオンテトラは飼育に適していますが、グッピーは飼育が適さないということになります。
pHが合っていないと魚にダメージを与え、寿命が短くなったり死んでしまうことがあります。
混泳を考える際はできるだけ同じpHの魚を選ぶべきでしょうし、水槽が弱酸性であれば弱アルカリ性を好む魚は避けた方が良いでしょう。
余談:グッピーとネオンテトラを混泳するポイント
補足しておきますが、グッピーとネオンテトラを混泳できないワケではありません。
先程は弱酸性ではグッピーは適していないと言いましたが、ネオンテトラとグッピーの中間である中性で飼育するとうまくいきます。
ネオンテトラは適応範囲が広いので中性でも特に問題はありません。
というか飼育書には弱酸性~中性と書いているのも多くあります。
pHの測り方
魚が要求するpHと水槽の水があまりにもかけはなれている場合は飼育に不適切であると判断することができます。
ですが図鑑などで熱帯魚の適応pHは分かっても、飼育水のpHが分からなければ意味がありません。
pHを測定する測定キットが販売されているのでそれを用います。
試験紙タイプのものが手頃ではありますが、精度が悪くランニングコストも高いので試薬タイプのものがオススメです。
数秒たらずで測定することができるので持っておくと飼育に役立てることができるでしょう。
pHの下げ方、上げ方
飼育したい魚に合わせて水槽の水を合わせることが必要になります。
弱酸性の水であればグッピーやプラティを飼うのには不適切なため、pHを上げておいた方が良いでしょう。
逆に弱アルカリ性の水の場合、ネオンテトラを飼う際にはpHを下げる必要があります。
pHの上げ方
pHを上げるのは簡単です。
石や砂利などを敷くことで弱アルカリ性で安定します。
どのくらい傾くかは入れる砂利の素材、石の量にもよりますが、プラティやグッピーを飼うのであればどの石や砂利でも十分です。
特に上昇するのはサンゴ砂。
マラウィ湖に棲むアフリカンシクリッドなど強めの弱アルカリ性を好むのであればこちらの方が適しています。
pHの下げ方
pHを下げるのは底床材にソイルを使えば簡単に弱酸性になります。
流木を置いたり、二酸化炭素を添加するのも効果があります。
ただし砂利や石が入っていた場合はそれらの作用が強く働くために、中々下がってはくれません。
まずそれらを撤去する必要があります。
薬品で操作することもできるが・・・
そのほかpH自体は薬品によって化学的に操作することができます。
ですが、pH操作薬は不安定で調整が難しいためあまりオススメできません。
水槽には必ずしも砂利やソイル、石などが入っているはずですがそれらはpHを一定に保つ働きがあります。
pH操作薬では一時的に操作するのみなので、いずれ水槽内にある砂利やソイルなどに引きつられ元に戻ってしまいます。
ピンポイントなpH操作薬では不安定な水質となり、かえって魚に負担を与えてしまうことも大いにあります。
薬品でのpH操作は上級者向けと言えるでしょう。
まとめ、個人的な所感
魚を飼育する基本は生息環境の水質に近づけること。
pHは水質を判断するために最も使われているパラメーターです。
弱酸性の魚であれば弱アルカリ性の水槽環境では飼育が適しておらず、自分の水槽環境を知り、飼いたい魚の環境に合わせることが基本です。
混泳を考える上でもpHがポイント。
異なるpHの魚は相容れません。
とはいえメジャーな熱帯魚は適応pHが大きいので、あまり気にせず飼えちゃうことも多いです。
ですが難しい魚であるほどpHの許容範囲が狭く、アピストやチョコレートグラミーなど神経質な魚はしっかり抑える必要があります。
以上、参考になりましたら幸いです。
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