べったりしたコケ(藍藻・シアノバクテリア)の除去と対策!
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水草や底床につくべっとりとした緑や焦げ茶、黒色をしたコケは藍藻(ランソウ)またはシアノバクテリアと呼ばれるコケです。
そんなべっとりしたコケについて、出やすい環境、除去方法、食べる生物などの対策方法を解説していきます。
藍藻が出る原因
ベッタリとした濃い緑やこげ茶色のコケは「藍藻」および「シアノバクテリア」と呼ばれるコケになります。
実はこの藍藻、別名にバクテリアとついている通り、植物というよりかは微生物のたぐい。
微生物たちが大量発生する原因としては「富栄養化」に他なりません。
(赤潮とか有名ですね)
富栄養化という難しい表現をしましたが、ようは微生物のエサになる有機物(ゴミ)、つまり栄養が高いレベルであるということになります。
富栄養化になりやすい条件
富栄養化になりやすい条件としては、例えば以下の通り。
- 水槽に生体が多い
- 濾過不足
- ソイルの立ち上げ中
- 水槽のセット初期
- 淀み
水槽に魚が多いと排泄量が増えますが、フンはバクテリアたちの格好のエサになります。
とはいえ水槽に対して十分な濾過装置を使っている場合は、濾過装置内の濾過バクテリアたちで栄養を使い切ることができるので、言い換えれば設備不足とも言えます。
水槽のセット初期の場合は濾過バクテリアがフィルターに定着していないため、セット初期は特に出やすいでしょう。
そのほか底床にソイルを使った場合にも出る場合がありますね。
ソイルは栄養源の塊ですから、セット初期は豊富な栄養を水草に使い切ることができずに藍藻が出てしまうケースがあります。
淀み
シアノバクテリアは栄養レベルがかなり高く無いと出ないコケですが、最も栄養が溜まりやすいのが水流のない「淀み」と言われる場所です。
淀みはフンや汚れが集まるエリアであり、藍藻が発生するのはまずそのエリア。
例えば部屋の隅っことかホコリが溜まりやすいエリアがありますよね。藍藻は言わば部屋のホコリを食べて大きくなっていくのです。
水流の少ない底で、より水流を消すように生えるヘアーグラスなどは淀みやすく藍藻がべったり乗りやすい傾向があります。
一般的なコケ取り生物はあまり意味がない
藍藻は植物というよりはバクテリアの類。
しかも嫌なニオイも発しているため、オトシンクルスやヤマトヌマエビなどの一般的なコケ取り生物では食べてくれないという特性があります。
とはいえ藍藻は食べてくれる生物もいるため、藍藻対策にはそれらを選ぶということが重要です。
(のちほど紹介しますね)
飼育環境の見直し
先述した通り藍藻の対処には富栄養化を解消することが第一です。
水槽で飼育している魚および生体に対して、十分な浄化装置(フィルター)を設置するのが理想的。
外掛け式などの小型フィルターを使っているなら「上部式フィルター」や「外部式フィルター」などのしっかりしたフィルターにすることも検討しましょう。
それらのフィルターは流量もそこそこあるので、水流が生まれることにより淀みも解消されやすくなります。
とはいえフィルターを変えるのは手間もお金もかかりますから、エサを控えめにしてフンの量を抑えるというのも効果的です。
関連濾過装置の外部式フィルターについて。特徴や掃除、メリットなど
藍藻を食べるコケ取りを入れる
藍藻は一般的にコケ取りと呼ばれているエビやオトシンクルスが食べないコケになります。
しかしながら藍藻を食べてくれる生物もいるため、それらを入れればアッサリ藍藻を除去することができます。(量にもよります)
特に水槽セット初期やフィルターを新調した場合、バクテリアが定着するまでは時間がかかりますから、コケ取り生物を入れてやり過ごすのはとても効果的と言えるでしょう。
ただし設備が弱いままコケ取りに頼る場合は、藍藻を除去したところで別のコケが生えてしまう可能性が高いので要注意です。
ブラックモーリー
藍藻対策としてダントツで定番なのが、「ブラックモーリー」。
体長5cmぐらいの黒い卵胎生メダカで、バクテリア類を食べる性質があり藍藻・シアノバクテリアも食べてくれます。
性格が大人しく他の魚とケンカすることも無いので、水槽にも入れやすいのもオススメポイント。
しかも1匹200円ほどで入手できますし、多くのショップが常備しているので手に入りやすい熱帯魚です。
ちなみに藍藻のみならず水面に浮かんだバクテリアの死骸である「油膜」も食べてくれるので何かと便利な掃除屋さんですね。
導入の目安としては30cmなら1匹、60cmなら3匹ぐらいですがコケの量に応じて調整すると良いでしょう。
関連ブラックモーリーの飼育情報。混泳や食べるコケ、オスメスなど
ペルヴィカクロミス・プルケール
藍藻対策についてはブラックモーリーがデメリットなく独占状態なのですが、それだけじゃ寂しいので他にも紹介しておきます。
ペルヴィカクロミス・プルケールは最大体長12cmほどのシクリッドで、藍藻を食べる生物の1つ。
ただし遊泳エリアが同じ魚(特にシクリッド)を追い払ったり、エビを食ったりするので単純なコケ取り対策としてはあまりオススメできません。
ただ熱帯魚らしく綺麗な魚でファンも多く、1匹数百円レベルと安いのでメインで飼育してみるなら非常にオススメ。
ペアで飼うと子育てをする繁殖行動も簡単に見れるので楽しいですよ。
関連外部リンク:カミハタビジネスオンライン「KBO 水草水槽のコケ取り隊にペルビカ プルケールはいかがですか?: 熱帯魚 」
コケ取りを入れる前にはまず手で除去する
藍藻はホースで吸うとツルッと除去できるので、コケ取り生物を入れる前に手やら排水ホースで取り除いておきましょう。
コケ取りで大事なのは「コケが増える量」に対し、「コケを食べる量」を上回るコトです。
既に多く生えているコケを放置すると「コケの増殖量」が強く、コケ取りを入れても増殖スピードが抑えられるだけになりやすいのです。
最初におおかたコケを除去しておけば、コケの増殖スピードがガタ落ちするので「食べる量 > 増える量」にしやすくなります。
まずは手で粗方取ってコケの増殖スピードを抑えておくのがポイント!
※ちなみに藍藻はツルッと剥がれますが、そうでない場合は藍藻では無いので対処法が異なるので注意
関連記事:水槽に生えるコケ一覧とその除去・対策方法【総集編】
リスクが高いけど薬品駆除も効果的
藍藻は微生物の一種であり、かなり繊細な生き物。
微生物を殺菌するような薬品を使えば簡単に除去することができます。
例えばカミハタから発売されている「アンチグリーン」などは藍藻にはかなり効果的で、説明書通り添加を行うと少しずつ消え、確実にかつ簡単に除去することが可能です。
他にも藍藻除去としては即効性の高い「エクスタミン」も定番でしょう。
こちらはスポイトでかけて使用するピンポイント型です。
良い微生物も除去してしまうリスクも
ただし薬品類は一見問題無さそうに見えても、有益な微生物も殺してしまう可能性が高い欠点があります。
藍藻はバクテリアの一種でもあり、水をキレイにする濾過バクテリアもバクテリアです。
魚には直接害は無い製品が多いものの、濾過バクテリアが死滅すればフィルター性能はガタ落ちして、病気になりやすくなったり弱ってしまうことに繋がります。
土中の微生物が死ぬことにより植物が根から吸収できる栄養量も減り、水草が育ちづらくなるリスクも。
藍藻は薬品類で簡単に除去することができるコケではありますが、個人的には富栄養化の解消とコケ取りによる除去がオススメです。
面倒だけど遮光できれば効果的
設備を見直したり、コケ取りを入れたり、薬品を投与するのはどれも少なからずコストやリスクがかかってしまうもの。
そこでオススメなのが「完全遮光」です。
藍藻は光合成を行う微生物のため、完全に光をなくしてしまうと体を維持することができずに死んでしまいます。
ダンボールや厚い布、板などで完全に遮光し一週間ほど放置すればカナリの藍藻を除去することができるでしょう。
水草はある程度の期間であれば遮光に耐性がありますので数日~一週間であれば問題ありませんが、体力のない光合成細菌は持たないのです。
(水草の見た目が弱々しくなってはしまいますが、元の環境に戻すと早々と通常時の姿に戻ります)
隙間無くダンボールで塞いだりと、準備には時間がかかりますが何よりデメリットが無いのが一番のオススメポイント。
しかもコケ類全般にも同様の効果があるので、遮光する道具さえ揃えてしまえば他のコケが出てしまった時も活躍します。
まとめ、個人的な所感
黒や緑などのべったりとしたコケ「藍藻・シアノバクテリア」は一般的なコケ取りであるエビやオトシンが食べてくれない厄介なコケ。
実のところ藍藻は本当に栄養レベルが高くないとナカナカ生存できないような弱いバクテリアなのですが、環境が揃うと鬼のように勢力を拡大していきます。
とはいえ除去自体は簡単なのでしっかりと対策を行えば除去するのは簡単なコケです。
- 藍藻が出る原因は「富栄養化」
- 生体に対して適切な設備で飼うコトがまず第一
- 藍藻を食べるコケ取りは「ブラックモーリー」
- ブラックモーリーを入れる前にあらかた手で取ってしまおう
あと水槽の立ち上げ方の基本にはなりますが、セット初期は魚をあまり増やさず少しずつ増やしていくのも重要でしょう。
セット時に出る藍藻は高頻度の水換えで乗り切るという手もありますネ!
関連記事:水槽に生えるコケ一覧とその除去・対策方法【総集編】
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