底面式フィルターの仕組みと使い方!より能力を上げるコツなど
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水槽の濾過装置タイプとして昔から定番なのが底面式フィルター。
制約はあるものの浄化能力が高くて安価な浄化装置です。
そんな底面フィルターの仕組み・構造から、濾過能力アップのためのポイントや掃除について、また相性が良いオススメの魚などをご解説。
構造と仕組み
底面式フィルターは砂利の下に敷いて、砂利下の水を組み上げる構造になっています。
つまり「水槽の水」→「砂利」→「水槽の水」という循環になります。
砂利には水を濾過する能力があり、汚い水を砂利に通して水を浄化する方式になっています。
おおざっぱにいうと雨水が山の土中を伝って湧き水となる仕組みと同じで、自然に近いフィルターだと言えます。
濾過能力が高いと言われるワケ
濾過能力の高さは濾材の量が大きければ大きいほど高くなります。
底面式フィルターは底床材がそのまま濾材になるので、小さなフィルターと比べて濾材量が多いのです。
例えばよく使われる投げ込み式フィルター(ブクブク)と比較してみましょう。
先程と同じように図で表して比べてみます。
水槽に占める濾材量が圧倒的に少ないことが分かります。
同じ量の濾材にしようとすると床一面に何個も置かないとダメですね。底面式フィルターの濾過能力の高さが実感できます。
使い方、設置方法
仕組みの通り、まず底面式フィルターを水槽に置き、その上から砂利を重ねるだけです。
細かい砂は詰まってしまうので向いていません。
水の循環方式について
底面式フィルターは水を循環させるために「エアリフト式」と「モーター式」があります。
エアリフト式はエアーポンプにつないで使うタイプで、水の浮力を利用して水を循環させます。
投げ込み式フィルターと同じ方式ですね。
加えてモーター式は水中ポンプの力によって水を組み上げる方式です。
エアリフト式の方が簡単なので良く使われていますが、二酸化炭素を添加したり滝を作るテラリウムなどではモーター式が使われる場合があります。
通常はエアリフト式を使うことが多いです。
掃除・メンテナンスについて
底面式フィルターは砂利に汚れが蓄積されるので定期的に砂利の掃除が必要になります。
とはいっても砂利を全部出して掃除することは無く、砂利も洗浄できる水換えホースを使います。
水換えホースを用いて水換えついでに砂利の汚れを吸い出すようにして掃除を行います。
濾材を取り出す必要が無いのでメンテナンス自体は楽ですね。
メリット
底面式フィルターの強みは安価の割に浄化能力が高いことです。
構造上簡単で濾材も砂利になるため付属する必要が無く、30cm用のフィルターは500円ほどで入手が可能です。
※別途エアーポンプは必要
同じく濾過能力が高い上部式フィルターだと3000円ほどするため、費用に対する効果はかなり高いと言えます。
浄化能力が高いと病気になりづらく、寿命を伸ばしやすくなります。
水槽周りがスッキリする
その他底面式フィルターは水槽内に収まるため場所を取りません。
エアリフト式の場合、別途エアーポンプは必要になりますが上部式や外部式のように大きなスペースは取らないため、水槽周りはスッキリします。
デメリット
デメリットとしては「底床材が限られてしまう」、「水草水槽には不向き」、「砂利を掘る魚と相性が悪い」、この3つです。
底床材が限られてしまう
細かい砂や粒が崩れるソイルを使った場合、すぐ詰まってしまい水の循環が止まってしまいます。
加えて細かい砂は清掃がしにくく、ソイルにいたっては清掃ができないため、使用できる底床材はある程度粒の大きさがある砂利に限られてしまいます。
水草水槽には不向き
水草水槽で最も良いとされる底床材はソイルですが、先述したように使えませんので水草育成には不向きです。
また定期的に清掃する必要があるため、根を張る水草とは相性が良くありません。
そのほか安価なエアリフト式だとエアーポンプにより二酸化炭素を逃してしまう働きがあるため、二酸化炭素を添加する水草水槽には不適切です。
砂利を掘る魚と相性が悪い
地中に潜る魚であるドジョウや掘り起こすコリドラスなどは、砂利に溜まった汚れを巻き上がらせてしまうためやや相性が悪い部分があります。
そもそもそれらは砂利が細かいほうが良いので、細かい砂が敷けないという点でも相性が悪いですね。
相性が良い魚、悪い魚
底面式フィルターは濾過能力が高いので上記のデメリットを受けない「砂を掘り起こしたりせず、特定の砂利を必要としない」、「水草水槽ではない」限り、比較的どのような魚とも相性が良いです。
更にいえば排泄が多くて水を多く汚すような生体であればうってつけ。
具体的にいえば「金魚」、「エンゼルフィッシュ」、「スネークヘッド」、「タガメなどの水棲昆虫」、「ニオイガメなどの水棲ガメ」、「小型、中型肉食魚」あたりはバッチリですね。
もちろん砂に関連性が無いならどのような魚とも相性が良いのでメダカ、ネオンテトラやグッピーなど一般的な熱帯魚とも相性が良いです。
相性が悪い魚
相性が悪いのは先述したように砂を掘り起こしたり、特定の砂利を必要とするモノです。
前者はコリドラスやドジョウ、砂に潜るフグなどは相性が悪く、豪快に砂を掘り起こすことで汚れを舞い上がらせて美観を損ねてしまう可能性があります。
これらの魚は細かい砂の方が潜りやすいため、そのような底床材は底面式フィルターでは使えない(詰まりやすい)のも一層相性が悪いですね。
後者は低pH維持のためにソイルを使用した方が良い熱帯魚達たちです。
例えばチョコレートグラミーや水質に敏感な種類のアピストグラマなどはソイルを使用すべきですが、ソイルは粒が崩れて底面式フィルターが詰まってしまうため相性がよくありませんね。
浄化能力を引き出すためのポイント
底面式フィルターは今ある砂利の下でも使えるのですが、濾過に用いる砂利を選ぶことでより一層浄化能力が高くなります。
多孔質である素材
浄化能力の高さは「水を浄化する濾過バクテリアがどれだけ付着できるか」ということにかかっています。
そのため粒に小さな穴が空いていて多孔質なものは表面積が広く、浄化能力をアップできます。
具体的にいえば「セラミック製の(土を固く焼き固めた)もの」、「溶岩石を素材としたもの」などは浄化能力を底上げすることができます。
関連水槽の水を綺麗に保つ仕組み。アクアリウムの基本を学ぼう。
大きすぎないこと
表面積の広さは粒が小さければ小さいほど広くなります。
大粒なものと小粒なものでは小粒の方が浄化能力が高いと言えます。
ただしあまり細かすぎる場合は詰まってしまい水の循環がなくなってしまうため、砂のようなものは適していません。
まとめ、個人的な所感
底面式フィルターは制約はあるものの、浄化能力が高くて安価な濾過装置です。
単純な濾過能力でみれば同じ金額で買える投げ込み式ややや高めの外掛け式フィルターよりかなり浄化能力が高く、費用対効果がかなり高いフィルターになっています。
水草には相性が悪いとされていますが、地中に根を張らないアヌビアスやミクロソリウムなどの水草には全く問題ないですし、ハイグロフィラ・ポリスペルマなどの強健種ならOKで、からっきし水草がダメなワケではありません。
使える状況であれば是非ともオススメしたいフィルター、それが底面式フィルターです。
次はこちらがオススメ!:底面式フィルターの砂利について。適した砂利と厚み、ソイルは?
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この記事へのコメント
ザリガニに関しては、コリドラスの比ではない程に底砂を掘り返しますので、底面フィルターに最も向いていない部類に入るかと思われます。
なるほど確かに巣穴作ろうとしますもんね。
修正致しました。ご指摘有難うございました!