ナガレハナサンゴの飼育について。水流、状態悪化や価格など!
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ナガレハナサンゴはチョウジガイと呼ばれるサンゴの仲間で、輝くポリプが揺らめきとても綺麗なハードコーラルです。
飼育が難しい部類のハードコーラルで、導入時の失敗や購入後しばらくしてから突如状態が悪化することもあり気難しいところがあります。
そんなナガレハナサンゴの飼育に関するあれこれをまとめました。
飼育難易度
ナガレハナサンゴの飼育難易度は難しい方です。
飼育難易度にハードルがあるハードコーラルの中でも難しい位置づけで、水の綺麗さや良い水流が求められます。
更にいったん調子を崩してしまうと回復が難しいのも相まって飼育難易度は高めです。
丈夫さ
ナガレハナサンゴは環境の変化に弱く、一度調子を崩してしまうとそのまま落ちてしまうことが多いです。
水換えなどで砂や汚れなどを巻き上げてしまうだけでも調子を崩してしまうこともあり取り扱いには注意が必要です。
特に設置場所が不安定だと甲殻類による持ち上げやメンテナンス時に落としてしまい、調子を崩してしまうトリガーになってしまうことも。
また調子を崩してしまうと回復しにくいため、購入時にショップで調子が悪そうな個体は避けた方が良いでしょう。
ただ発色の良い綺麗なナガレハナサンゴはすぐに売れてしまうことも多いため綺麗な個体はタイミングや巡りあわせによるところがあります。
硝酸塩濃度
5ppm未満に抑えるのが理想ですが、10ppm未満であれば飼育が可能です。
落ち着いた環境であれば10ppmでも全く問題はありませんが、ふとしたタイミングで調子を崩してしまいますので5ppm切るに越したことはありません。
照明の必要性
ナガレハナサンゴはそこそこ強い照明があれば大丈夫です。
青系のLEDはナガレハナサンゴの緑や青が発光するようになりますので、青系のフルスペクトルLEDがオススメです。
水流の必要性
ナガレハナサンゴはあまり強くないランダムな水流を必要とします。
あまりに強い水流をあてるとポリプが弱ってしまい出てこなくなってしまいます。
ポリプが揺らめく程度が良いでしょう。
水流があたらないと腐り始めてしまいますので必ずコントローラー付きのウェーブポンプや強力なディフレクターを使用して全体的にランダムな水流をあてるようにしましょう。
餌・添加剤の必要性
ナガレハンサンゴの飼育には餌や添加剤は特に必要ありません。
成長には骨格形成が必要なためカルシウムリアクターを使用すると成長を早めることができます。
増えやすさ
ナガレハナサンゴは少しずつ大きくなっていくサンゴです。
爆発的に増えるサンゴではないため大きくなるのには時間がかかります。
ハードコーラルの中では成長は早い方で、年単位で飼育しているとコロニーが大きくなるようになります。
大きくなってきた状態の良い個体は鋭利なノコギリ等で切断し、傷口をヨウ素で殺菌することにより株分けできます。
切った個体は傷口が完全に治るまでは流れの良いポイントに設置してあげて下さい。
毒性、他のサンゴとの接触
ナガレハナサンゴの毒性は強いので他のサンゴにダメージを与える立場のサンゴです。
状態が良いとポリプが大きく開き、骨格に比べてかなり場所をとりますため、他のサンゴと触れ合わないような置き場所にしましょう。
更に攻撃用のスイーパー触手を出すことがよくあり10cm以上離れたサンゴにダメージを与えてしまうこともあります。
あまりにスイーパーが伸びた場合はスイーパーを切断するのも手です。
切断したスイーパーは他のサンゴにダメージを与えないように取り除いてください。
同じチョウジガイの仲間との接触
同じチョウジガイの仲間でナガレハナサンゴに近いサンゴであれば触手が触れ合ってもダメージを受けず大丈夫なことがあります。
しかしダメージを受けたり、与えてしまったりすることもよくあり一概に大丈夫とは言えません。
カンムリハナサンゴは触れあっても大丈夫なことが多いですが、コエダナガレハナサンゴ(ホンタコアシサンゴ)は問題が無い場合もあればポリプが縮んでしまったりすることもあります。
成功するケースが多いのは以下の並び順です。(左に行くほど大丈夫な確率大)
カンムリハナサンゴ>コエダナガレハナサンゴ>ハナサンゴ
飼育に置いて特筆すべき点
ナガレハナサンゴは調子を崩してしまうと復帰が難しいため、安定しきった環境に導入するのが鉄則です。
レイアウトを変更する可能性がある場合は導入を見送った方が良いでしょう。
またショップでの入荷状態も非常に重要です。
入荷直後のナガレハナサンゴはショップですら調子が優れずダメになってしまうこともあるほどですので、出来れば入荷して2週間程経ったものが望ましいでしょう。
溶け始めてしまった場合の対処
換水時に触れたり汚れを巻き上げてしまったり、甲殻類により地面に落とされることなどにより調子を崩してしまい、状態が悪化してしまうことがあります。
ポリプが縮んでいるだけなら良いのですが茶色く腐ってきてしまった場合は回復は不可能で、腐った部分が他のポリプに少しずつ広がっていってしまいます。
更に破片が飛び散って他のナガレハナサンゴに触れ合ってしまった場合は別のナガレハナサンゴに腐食が感染する場合がありますので、早急な対応が必要です。
茶色くなった部分の切断を行う
健康なポリプが腐ってしまう前に腐った部分を切除しましょう。
ノコギリで骨格ごと縦真っ二つに切断します。
切断した健康なポリプはヨウ素濃度を濃くした海水にひたして傷口を消毒した後、水流が好条件の場所に設置して傷口が直るのを待ちます。
環境の見直し
環境が良くないとひょんなことで調子を崩してしまうようになってしまうので水質環境の測定や飼育環境の見直しも行って下さい。
硝酸塩と水流が重要なポイントです。
またヨウ素は殺菌効果もありますため適切なヨウ素濃度になるようヨウ素を添加することで、ナガレハナサンゴが腐りにくい環境にすることができます。
更にヨウ素の添加は魚の病気予防にもなるので副次効果もあります。
バリエーション、価格
ナガレハンサンゴはポリプの色が異なる多くのバリエーションがあります。
更に色だけでなくポリプの形状、長さや太さもバリエーションのひとつです。
価格については中堅といった位置づけのサンゴで4,000円~15,000円の価格帯で流通しています。
ブランチタイプとコロニータイプ
ナガレハサンゴはブランチタイプという名称付きで販売されていることがあります。
ブランチタイプとは骨格が木の枝のように枝分かれしている(branch)タイプで、対してブランチタイプでないものはコロニータイプと区別されることがあります。
茎グリーン
緑のものは入荷が多く、定期的に目にすることができます。
茶色に近いタイプは褐虫藻が多いため良く光合成をし、調子が良いものが多いです。(売れ残っているためかもしれませんが・・・)
価格
画像の個体は5,000円で入手したものです。
緑の発色が良ければよい程高くなる傾向があります。
メタリックグリーン
緑の発色が強いものはメタリックグリーンやスーパーグリーンなど区別されて販売されることがあります。
価格
画像の個体は10,000円で入手したものです。
緑の発色が良ければよい程高くなる傾向があります。
発色が良くて価格が安いものはすぐに売れてしまいがちなので、状態が良く綺麗な個体は探してもなかなか見つからないものです。
ブルー茎グリーン
ブルーとグリーンのタイプが混じったタイプも一般的なカラーです。
ブルーはあまり強く出ませんので青い強い光をあてることで本バリエーションの美しさを引き出すことができます。
価格
画像の個体は7,000円で販売されていました。
総評
ナガレハナサンゴは飼育が難しい上に、環境の変化で体調を崩しやすいデリケートなサンゴです。
しかしながら特別な環境ということも無く、基本に忠実な落ち着いた環境を用意すれば十分飼育が可能なサンゴです。
ゆらゆら揺らめく厚みのあるポリプは他のサンゴにはない雰囲気を持っており、レイアウトの中心にもなりますので機会があれば是非飼育してみてください。
次にオススメ:海水水槽の水流について。ポンプと作り方、考え方
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