サンゴを飼うための照明について。色や時間、LEDの使用感など。
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サンゴを飼育する場合の照明についてのあれこれです。
サンゴに合わせた照明の強さや照明の色、照明をつける時間など、サンゴの飼育における照明についてを説明します。
また私が実際に使用しているオススメの照明器具もご紹介します。
サンゴの生息環境を知ろう
サンゴは動植物とも言われており、動物でありながら光合成を行う珍しい特徴を持っています。
サンゴといっても多くの種類があり、光合成に依存したサンゴもいれば、逆に全く光合成を行わないサンゴも存在します。
光合成を重視するサンゴはより強い光が必要になりますし、そうでないサンゴは光合成よりプランクトンなどの餌により養分を得ています。
浅場系サンゴ
浅場系サンゴは海の浅場に生息するサンゴで、強い太陽光を浴びれるためにプランクトン等捕食による栄養摂取はあまり行わず、光合成に特化しています。
そのため太陽の光に近い強力な照明を必要とします。
サンゴの例
種類で言えば、ウミアザミ、チヂミトサカ、浅場系ミドリイシ、コモンサンゴ、シャコガイなどが浅場系サンゴに分類されます。
浅場~中場~深場に生息するサンゴ
浅場よりも深く、太陽の光が減衰するような水深に生息するサンゴです。
これらのサンゴは生息する水深に合わせて必要な照明の強さが異なるほか、青の光が重要になってきます。
青の照明の必要性
海は水深が深くになるにつれ青く、暗くなってきます。
これは青以外の光のスペクトルが減衰されやすく、青の光のみが深い海へ潜ることが出来るためです。
そのため深い水深に生息するサンゴは深ければ深い程、青い光しか光合成に使わないような体になっています。
つまり深場のサンゴに近い程、青い光が育成には重要となり、逆に浅い場所にいるサンゴだと青以外の光も光合成に使うため青白い色の照明を好みます。
どんなに強力な照明をあてたところで色が合っていないと効率が悪くなります。
サンゴの例
マメスナギンチャクや、スターポリプ、バブルコーラルやキクメイシ、オオオバナサンゴなどなど。
深場に近くなればなるほど青いタイプの照明の方を好む特性があります。
青白い光であればどんなサンゴでも対応可能ですが、浅場を除くサンゴは青い光であればより低いワット数で育成できます。
例えば同じ20Wでも青白い光だと間延びしてしまうところが、青に特化した光だと間延びしなかったりします。
深場系サンゴ
太陽の光が届かないような水深の深いところに生息するサンゴは光合成による養分生成ができないためにプランクトンなどを捕食して養分を摂取しています。
そのため照明はむしろ必要無く、餌を与えることが重要になります。
サンゴの例
種類で言えばキサンゴ、ヤギ類、タコアシサンゴなどが深場系サンゴに分類されます。
照明器具
照明器具は「蛍光灯」、「メタルハライドランプ」、「LEDライト」の3つのタイプがあります。
蛍光灯タイプ
蛍光灯を利用した照明設備になります。
メリット
最も手ごろで安価な照明です。
蛍光灯はあらゆる光の成分をまんべんなく含んでいるため、多く蛍光灯を点灯させることにより多くのサンゴに対応することが出来ます。
デメリット
無駄な光が多くまた熱にも変わってしまうため効率が悪いのがデメリットです。
あまり強い光は出せないため浅場のサンゴの飼育には向いていません。
あと時代遅れ感があり、始めて買うなら他の機材かなぁ・・と感じます。
メタルハライドランプ
メタルハライドランプ、略してメタハラは水銀を利用した非常に高輝度の照明で、野球場のライトに使われていることもある照明設備です。
メリット
高輝度なため太陽の強い光に近い性質があり、光合成を主体とする浅場系サンゴの育成に向いています。
特に強い照明を必要とする浅場系のミドリイシはメタハラの多灯が定番の照明設備でした。
(今ではLEDライトも使われるようになりました)
デメリット
高価な設備になり10万円ほどになってしまいます。
またかなり熱を持ってしまうため電力効率も良くありません。
熱帯魚ショップですら取り寄せとなってしまう高級品のため入手もハードルがあります。
以前は光を強く必要とするミドリイシなどメタハラ一択という環境でしたが、今ではLEDでも高性能のものが販売されているため必ずメタハラを選択する必要は無くなってきました。
LEDライト
LEDライトは発光ダイオードを利用した照明です。
メリット
電力効率が良いためワット数が同じでも蛍光灯やメタハラよりパワーがあります。
特にサンゴ用の設計されたLEDライトはとても電力効率が良く、LEDライト以外の照明と比べて少ないワット数で飼育もでき、サンゴの飼育にとても適しています。
デメリット
光のスペクトル成分に偏りがあり、どんなにワット数が高かろうともサンゴに必要なスペクトルを有していない場合は飼育できません。
安いLEDだとスペクトルが考えられていないためにサンゴに必要なスペクトル成分を含んでいないことがあり、失敗しやすいです。
またサンゴの飼育をターゲットにしたLEDライトは1万を超えてくるので蛍光灯と比べると手を出しづらい価格になっています。
LEDライトは育たないのか?
結論から言いますがLEDライトだからといって育たないかことはありません。
植物及びサンゴは必要な光のスペクトルがあり、それがLEDに含まれていればLEDでも育成が出来ます。
育たないと言われる理由
安いLED照明ではサンゴ育成のためのスペクトルに関して考えられていないため、単純にワット数だけで買ってしまうと必要なスペクトルが足りず失敗してしまいます。
必要なスペクトルをカバーしていないとどれだけワット数が高かろうがサンゴが全く育たないため、LEDは育たないと評されることがあります。
蛍光灯やメタハラは幅広くスペクトルをカバーしているため、どのような製品を選んでもワット数があればある程度飼育が可能ですが、LEDライトにおいてはまずスペクトルがサンゴに適しているかが重要になります。
勿論ある程度安いLEDでも必要なスペクトルを最低限満たしているものもあります。しかしながら見分ける術は実際に使ってみるか使用感を他の人に聞いてみるしかありません。
そこでオススメしたいのがフルスペクトルタイプのLEDライトです。
フルスペクトルLEDライト
サンゴに必要なスペクトルを全てカバーしているのがフルスペクトルLEDと呼ばれるタイプです。
フルスペクトルLEDは安価なLEDとくらべると高価にはなってしまいますが、サンゴに必要なスペクトルをカバーするように作られていますので失敗がありません。
安価なLEDをいくつか試行錯誤して無駄になることを考えれば最初からフルスペクトルLEDを買っておくほうが良いでしょう。
青い光を必要とするサンゴと相性が良い
青い蛍光灯を照射したところで多くの光成分が含まれてしまうため、(浅場を除いた)サンゴに必要な青い光は僅かしかありません。
しかしサンゴに必要なスペクトルを考えられたフルスペクトルLEDライトであれば、ダイレクトに光を供給することができます。
青系のスペクトルにスポットをあてたフルスペクトルLEDは同じワット数でも効率が違うため、サンゴの育成に最適だと言えます。
強い光を必要するサンゴにも相性が良い
浅場に生息するサンゴは強力な光が必要となりますが蛍光灯だと強い光を照射することが難しく、メタハラにいたっていえば高価で取り回しもしづらいため、導入にかなりハードルが上がってしまいます。
その点フルスペクトルのLEDライトはある程度手ごろでパワーのある光を浴びせれることができます。
浅場のサンゴ向けに作られたフルスペクトルLEDは浅場のサンゴに適した太陽光のような光を浴びせることができます。
照明の強さ
照明の強さはワット数を尺度としてサンゴそれぞれに合った強さが必要です。
サンゴが生息する深さによって好む光の強さが異なります。
必要なワット数はフルスペクトルLEDライトを基準にしていますので、蛍光灯であればおよそその倍は必要になります。
※安価なLEDライトはサンゴに必要なスペクトルが考えられておらず、ワット数の問題では無いので注意してください。
浅場系サンゴ
水深30cmであれば20W直下程度の光量が必要です。
30cm水槽であれば40W、45cm水槽であれば60W程が良いでしょう。
浅場~中場~深場系サンゴ
30cm水槽であれば青系のフルスペクトルLEDで20~30W程、45cmであれば30W~50W程あれば良いでしょう。
深場に生息するサンゴは青い照明を意識し、浅場に近いタイプのサンゴはワット数が強めの青白い光で育成しましょう。
深く青い環境に棲むサンゴに白い光を与えたところでも青の光量が足りておらず、飼育には好ましくありません。
深場系サンゴ
プランクトンなどを食べる深場のサンゴは光が届かず光合成が出来ない環境に住んでいますため、そもそも照明を必要としません。
鑑賞のために明るさを抑えた照明を設置すれば良いでしょう。
照明焼けについて
本来のサンゴの生息場所より強い照明をあててしまうと弱ってしまう場合があります。
この現象は照明焼けと呼ばれ、深場のサンゴに強すぎる照明をあてると照明焼けを起こしてしまいます。
強すぎる照明を使っていることはほぼありませんが、メタハラやスポットLEDライトの直下であれば、照明焼けを起こす可能性があります。
淡水のアクアリウムでは水草のためのライティングですが、水草が本来生息している環境はかなりの光量なため、飼育設備で超えることはほぼ無く問題とはなりませんでした。
しかし水深が深ければ光量が減衰してしまうために、深場のサンゴでは照明の強すぎが発生してしまうのです。
照明時間
照射時間は1日8時間~10時間を目安にしましょう。
規則正しい照明リズムでライティングする
サンゴは照明に合わせてポリプを開き、暗くなると閉じ、睡眠と起床のリズムがあります。
不規則な時間に照明を行うとサンゴにストレスがかかってしまい、不規則なライティングによる衰弱死も起こり得ます。
24時間タイマーを利用して規則正しいライティングを行うことが重要です。
ディマー機能の照明もある
サンゴ育成用の高性能照明は時刻と照明の強さを設定できるようになっており、朝や夕方を暗く、昼間を明るくすることができます。
サンゴ飼育においては、照明によるストレスがそれほど重要な要素だということです。
使用している照明
私が実際に使用しているオススメの照明をご紹介します。
グラッシーレディオ(Grassy Ledio) RX122 リーフ
ボルクスのフルスペクトルLEDです。
浅めのサンゴにターゲットされたスペクトルで白に近い照明です。
単に白いライトだと白飛びしたような雰囲気になりますが、こちらは色々なカラーのLEDライトにより白を照射しているので白飛びしません。
サンゴ用のLEDライトは青いものが多いですが、このライトは青をあまり強く感じさせない程白く自然なライティングになるため気に入っています。
サンゴの飼育について
特に問題無く飼育・育成が出来ています。
マメスナギンチャク、チヂミトサカ、ナガレハナサンゴなど幅広いサンゴが育成できます。
欲を言えばディマー機能及びタイマー機能が欲しいのですが、機能が付くようなLEDは5万ぐらいは必要になってきますのでこれくらいのモデルが丁度良いかなと。
30cm水槽ならこれを1~2個、45cmレギュラー水槽なら2個~3個設置すれば良いかなと思います。
グラッシーレディオ(Grassy Ledio) RX122 コーラル
同じくボルクスのフルスペクトルLEDです。
先ほどのライトと比べると青が強く、浅場を除いたサンゴをターゲットされたスペクトルになっています。
青が強いためマメスナやスターポリプなどの緑色の発色がとても良くなります。
より蛍光色を輝かせたいならより青いスペクトルである「RX122 ディープ」もオススメ。
この手のクリップタイプのLEDライトは後々高性能ライトに入れ替えたとしてもスポット的に照らしたり、小さな水槽でも使えるため使い回しができるのもオススメポイントです。
サンゴの育成について
特に問題はありません。
浅場のサンゴ以外は先述したRX122 リーフよりサンゴの育成に適しているようで、マメスナやディスクコーラルが色鮮やかになりました。
色味について
グラッシーレディオから出ているLEDライトの内、青さが中間のモデルですので青すぎない程度に青い色味になっています。
どちらかというと自然な青なのですが個人的には浅場のような色鮮やかさを目指したいため、先述したRX122 リーフと合わせて使っていますが、こいつを中心にライティングを行っても良いと思います。
完全に好みですね。
ちなみに私の環境では先述したRX122 リーフ2灯に対し、ボルクスの青さ中間のLEDを1灯で使用したりしています。
まとめ
サンゴ飼育における照明のポイントをまとめると以下になります。
- 浅場サンゴは強い明るい光を好む
- 棲んでいる環境が深くなればなるほど青い光を好む
- スペクトルを考えれていないLEDライトは育成に適さない
- LEDライト=育たないは間違いで、むしろフスペクトルLEDライトはサンゴの育成に最適
- 照明の強さはフルスペクトLEDで30cm水槽なら20~30W、45cmなら30~45Wが目安。蛍光灯ならその倍のW数を。
- 規則正しい照明時間で1日8時間~10時間が目安。
ご参考になれましたら幸いです。
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この記事へのコメント
これリーフブルーじゃなくてディープブルーじゃないですか?
あとコーラルってのもありますよね、、何買うか迷ってるんですけど何か追記があれば嬉しいです。
>>1
どの画像のことをさしているかちょっとわからないところがありますが、恐らくリーフブルーです。ディープブルーは持ってなかったハズ・・・!!。
> あとコーラルってのもありますよね。
今ボルクスの122シリーズで、現行機で出てるのは「ディープ」「コーラル」「リーフ」なんですよ。
ディープ:かなり青く紫も強し
コーラル:青(↑と↓の中間)
リーフ:自然な色味に近い青
といった具合です。
マメスナとかの蛍光色を輝かせたいならディープもオススメです。
僕が「リーフブルー」って書いてたのはRS122っていう旧製品で、今のRX「コーラル」が準じた色味かと。
ややこしいですよね・・・。直しておきました!!!
こんな感じで!!(=゚ω゚)ノ