ザリガニの飼い方!エサや飼育設備、抑えるポイントなど!
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ザリガニ飼育をこれから始める人向けの「ザリガニの飼い方」。
間違った飼い方をされることも多いザリガニですが、これから始める人向けに1から解説していきます。
※主に流通しているアメリカザリガニ系をターゲットにしていますが、一部を除き大体おなじ。
簡単だと思いきや難しいザリガニ飼育
「ザリガニって簡単に飼えるだろう」
って思うんですが、実際に本気で飼ってみるとこれが結構難しいんですよ。
私も子供の頃は増やしたりして楽しんでいましたが、大人になっていざ飼ってみたらうまくいかないんです。
普段はサンゴを増やしたり、水草水槽を作ったりするほどのアクアフリークですが、簡単だと思っていたザリガニ飼育でつまずくとは思いませんでした。
その後は初心に戻りつつ1からザリガニと向き合いましたが抑えるポイントが他の生き物とは違っていて、そこを抑えないとてんでダメというのが分かりました。
私としても飼育環境をいくつか用意して試しつつ、時にはイベントで愛好家に話を伺ったりとまだまだ分からないことだらけではありますが、これから始めるビギナーのために「ザリガニの飼い方」をまとめておきたいと思います。
ポイントさえあれば簡単な設備でも飼えるから是非チャレンジしてみてネ!
必要な飼育用品
ザリガニの飼育設備の一例としてはこんな感じで、必要なのは以下の4点。
- 水を張るケージである「水槽」
- 水を循環させる「ブクブク(エアーレーション)」もしくは「フィルター」
- ストレスを軽減するための「隠れ家」
- 脱走防止用の「フタ」
上記を設置しつつ、脱皮のためと運動用にある程度広い空間を確保してやればOKです。
フタ以外をそれぞれ説明していきますね。
水槽
「プラケース」や「ガラス製」のものどちらでもOKですが、最低限しっかりフタができるものを選びましょう。
ガラス水槽の方が透明度が高くオススメですが、お子さんが作業する場合はやや重いのでプラケースの方が適しています。
ガラスというとすぐ割れそうに思いますが、水の荷重に耐えられるように丈夫に設計されているので普通に取り扱っていれば割れることはほぼありません。
(強く蹴ったり、カナヅチで叩けば割れます)
アメリカザリガニは最終的に15cmぐらいになりますので最終的には30cmぐらいの水槽が必要ですが、ザリガニが小さいうちは小さな水槽でも特に問題はありません。
「ブクブク(もしくはフィルター)」と「隠れ家」も設置して、さらに何もない広場も確保することを念頭にサイズを選びましょう。(成長もしますし)
ブクブクorフィルター
ザリガニの呼吸や水を腐らせないようにするためには「水流」を作ることが大事です。
必ず「ブクブク」や「フィルター」を設置して、水を循環させる必要があります。
ブクブク:エアーポンプと接続するタイプ。泡の浮力で動くので流量が落ちにくい。
フィルター:水流も強く水を綺麗に保つ力も強い。ただし詰まると流量が落ちる。
どちらを設置しても良いですが、個人的には水中に設置するフィルターがオススメです。(流量調整できるタイプも多い)
多くの水槽を設置するようなザリガニ愛好家からは、分岐できて複数水槽に強いブクブクの方が人気ですね。
隠れ家
これは必須ではないのですがザリガニが身を隠せる場所があると、ストレスの軽減になります。
ストレスを受けると拒食や病気、脱皮不全に繋がりやすいので設置がオススメ。
植木鉢を割ったものや土管・塩ビパイプなど割と何でも隠れ家として使えますが、体よりやや大きいぐらいのモノを好んで入ります。
飼育セットもオススメ
それぞれ説明していきましたが、これらがいくつか入った水槽セットを購入するのも良いです。
金魚やメダカ用としてセット販売されている商品が多くありますが、ザリガニにも流用できるものばかりなのでそれらを使うのが手っ取り早いですね。
値段も1000円~2000円くらいなので非常に手頃なのでまず最初の飼育なら非常にオススメです。
砂利はなくても良い
ザリガニの飼育には砂利が必要とも言われることがありますが、無くても問題はないです。
あると美観が良くなったり、砂利に住み着いたバクテリアにより水が綺麗に保ちやすくなるというメリットはありますが、砂利の中に汚れが溜まりやすいというデメリットもあります。
あった方が良いというよりは”ケースバイケース“で、入れたいなら入れても良いですし無理に入れる必要もありません。
入れる場合は薄めに敷いて、ゴミがあまり貯まらないようにするのが管理しやすいです。
詳しくは後述の「間違った情報」で解説しているヨ!
エサ
ザリガニのエサは市販されている「ザリガニの餌」をベースに与えるのが一般的です。
「刺し身」・「にぼし」・「さきイカ」など様々なもの食べますが、水が汚れやすくそればかり与えると栄養が偏りがちに。
ザリガニの餌は魚肉などをベースに大豆や各種ビタミン・ミネラルを配合して作られているので、これ1つで多くの栄養をバランスよく与えることができます。
エサの量と回数
目安は1日1回、食べ残さないくらいの量を与えるようにします。
与えたのを全部食べるなら食べるだけ与えても構いません。1時間ぐらい経っても食べ残しているようであれば与えすぎです。
またザリガニは飢餓に強いので1日与えない程度で餓死することはありませんが、できるだけ1日1回与えたほうが健康を保ちやすいでしょう。
(特に小さいサイズは餓死に弱いです)
残した場合は取り除く
与えるエサにもよるのですが基本的にエサは残したら取り除くのが基本。
そのままにしておくと水が汚れるばかりか、悪い菌が湧きやすくなりザリガニを弱らせる原因にもなります。
エサは多く与えても良いのですが残さないよう与えるのがまず第一ですね。
水質と温度管理について
ザリガニは水質の悪化に強く、そこまで綺麗な水を必要としません。
汚れが溜まってきたなーと感じたら水換え掃除を行う程度の”アバウトな管理”でもOK。
環境によりますが2週間や1ヶ月に一度程度の水換えを行えば大丈夫で、余裕のある水槽サイズであれば半年に一度程度でもOKなくらい。
生体に対し適切な水槽サイズを選び、深く水を張っていればここは特に気にしなくても構いません。
ただちゃんと水換えした方が寿命も長くなりやすいヨ!
カルキ抜き
水道水には消毒のため水に棲む生き物に有害な「カルキ(塩素)」が入っています。
ザリガニはとてもタフでカルキ抜きをしなくても大丈夫なのですが、水換えなどに使用する水はカルキ抜きをしたものがベターです。
というのも水槽内やフィルターなどには水を綺麗にする「ろ過バクテリア」というものがいて、かれらによりザリガニの排泄物が処理されて綺麗な水を保っています。
カルキが入った水だとこれらの濾過バクテリアが死滅し、水を綺麗に保つ力が無くなってしまいます。
そのためできるだけカルキ抜きをしておくのがベターで、フィルターを使っているのにカルキ抜きをしないのはかなりモッタイナイことなのです。
温度管理
ザリガニが生存可能なのはおよそ10度~30度とかなり広い範囲なので通常保温や冷却の器具は必要ありません。
ただし直射日光のあたる場所は温度が急上昇してあっという間に30度を超えますので置く場所は考えて下さい。
30度以上になるのもダメですし、急激に温度が変わるのもザリガニの体力を奪って弱らせてしまいます。
極度に寒くなると冬眠に入りますが、部屋の中で飼っている場合は特に気にしなくてもOK。
本来冬の間は土に潜って寒さをやり過ごす生き物ですが、室内であればそのまま水槽飼育で過ごすことができます。
飼育のポイント
ザリガニ飼育は他の生き物よりかは簡単ではありますが、抑えるべきポイントがあるのも事実。
逆に言えば抑えるポイントをしっかり抑えれば失敗する確率はグッと減ります。
水をしっかり循環させる
ザリガニはとても丈夫な生き物ではありますが、最低限気を使うポイントが呼吸困難(酸欠)です。
「ブクブク入れているから大丈夫だ」とするのは危険で、ブクブクを入れても酸欠を起こすことがあります。
酸欠にならないように注意するポイントとしては「水流」を意識すること。
エラ呼吸を行う動物にとって「水流」はとても大事な要素で、強い水流が無いと簡単に窒息する生き物も多くいます。
(海水魚やマグロなんかがそう)
ザリガニは強い水流を必要とする生き物ではありませんが、水槽内で最も水流が無くなりやすい”底”にいるため、以外にも酸欠とは隣り合わせだったりします。
またいくらブクブクを行って水中の溶存酸素量が上げたところでザリガニのいる底の方に行き渡らなったら意味がなく、そういう意味でも水流はとても重要なのです。
酸欠になってしまうと体力が低下して脱皮の時に力を使い果たして死んでしまう、ということに繋がってしまいます。
例えば以下の水槽だと、
右奥にブクブクを設置していますが水面からの距離が近く、底まで十分水流が回っていないので酸欠になる可能性があります。
こういった場合はエアーポンプのパワーをあげて距離が短くても循環するようにするか、いっそのことエアーストーンに変えてしまって底から水流を発生させて効率をあげることが必要です。
「ブクブクしてたのに死んじゃった」ということも聞きますが、意外にも十分エアーレーションできていなかったという可能性があるのです。
水流はフィルターやブクブクどちらでも良いのですが、ちゃんと底まで水流が発生しているか?は必ずチェックするべきです。
エサは食べ残さないように与える
ザリガニに限ったことではありませんが、エサは食べ残さないように与えるのが鉄則です。
エサが残ると時間経過で水の汚れになりますがコレは思った以上に水が汚れます。
ちゃんとエサを食べきっている場合はザリガニ自身がエサを食べてエネルギーを吸収し、残ったモノがフンとなりコレが汚れになります。
しかしながらエサが残ったままだと、100%汚れに変化するので、メチャクチャ水を汚すのです。
エサを与える際には食べ残さないように与え、もし与えすぎた場合は取り除くように心がけましょう。
不衛生な環境は臭いもそうですが、ザリガニを弱らせる雑菌も湧きやすく気をつけるべきポイントです。
食べるだけ与えても良いけど、食べ残さないように与えるのが原則だヨ!
水槽には1匹まで
ザリガニは基本的には1つの水槽に1匹が基本です。
通常時はあまり問題になることはないのですが、特に問題なのは”脱皮時”。
ザリガニは脱皮により大きくなる生き物ですが、脱皮直後は体が非常に柔らかくこのタイミングで別のザリガニに襲われるとひとたまりもありません。
広い水槽で多く隠れ家を入れて防止するのも手ですが、同じ水槽にいる以上事故は起こりますので、大切なザリガニであればあるほど単独飼育がベストです。
しっかりフタをする
ザリガニは脱走の名人で、チューブを伝いながら脱走することもあるほど。
脱走できそうな穴はすべて塞ぎ、フタについては重しを乗せておいて開かないように工夫しましょう。
ただしザリガニがしょっちゅう脱走を試みる場合は、環境がかなり悪い可能性が考えられます。
悪い環境のまま閉じ込めるように飼うと体力が減少して脱皮不全に繋がって死んでしまうことも。
何度も脱走しようとしている場合は飼育環境を見直してみて下さい。
特にエアーチューブがハズレていたり止まっていたりして、水流が弱まっているために逃げようとするパターンは多いです。
- 酸欠よりも水流を意識する
- エサは食べ残さないように
- 1つの水槽に1匹まで
- しっかりフタをする
ザリガニ飼育の間違った情報
水を浅く張るのは良くない飼い方
ザリガニを良く知らない人からすると”水を浅くして飼う”のが定番のように思いますが、これはザリガニにとって非常に良くない飼育です。
水量がかなり少なくなってしまい、水が急速に汚れてザリガニにダメージを与えてしまうからです。
例えばバケツいっぱいの水に墨汁を1滴垂らしたところで少し灰色になる程度ですが、コップ1杯の水に墨汁を垂らせば真っ黒になります。
バケツの水を真っ黒にしようとするとより多くの墨汁(汚れ)が無いと真っ黒にはなりません。
これを水槽にあてはめてみると、水槽に深さ2cmしか水を入れない場合と、深さ20cmの水を入れる場合では10倍もの水量があります。
つまりザリガニがフンや尿を排泄すれば、ザリガニへの負担も10倍になってしまうことに。
10倍水を汚れるということは10倍水を綺麗にする必要、つまり水を取り替える回数もかなり高くなってしまいますが、そういったことは普通されないために超汚れによる「クサイ臭い」、「ザリガニの寿命減」などに繋がってしまいます。
汚れすぎだヨ!!
空気呼吸は無理のある呼吸方法
また浅くして飼う理由として酸欠防止というのがありますが、空気呼吸はザリガニにとって無理のある呼吸方法であります。
そもそもザリガニはエラ呼吸であり、水中で呼吸することを前提にした呼吸方法です。
空中で呼吸できると言えばそうですが、これはあくまで「できる」だけでザリガニ自身からすると無理のある呼吸で”適切な飼養”とは言えません。
砂利を入れないといけない、というのは間違い
ザリガニは体内に砂粒を入れて平衡感覚を取る生き物です。
これにより「脱皮をした際に再度砂を取り込まないと平衡感覚を保つことができないから、砂利を入れないとダメ」と言われることがあります。
しかしながら平衡感覚をとるための砂粒は体内で生成でき、砂利をしかずとも全く問題ないのです。
砂利はメリットもありますが、反面ゴミが吸い出しにくくなるというデメリットもありますので無理に入れる必要はありません。
終わりに
本気で始めたい人向けに長く書いちゃったので「ザリガニ飼育は難しそう・・・」と思われるかも知れませんが、最低限抑えるポイントというのは「水流」と「脱走防止」この2点のみ。
簡単な設備でも飼えますので「面白そう」と思ったら是非是非チャレンジしてみてください。
- 「水槽」「フタ」「水流」(と隠れ家)があればOK
- 底まで水流が回るように気をつける
- 脱走させないようにしっかりフタをし、出れそうな穴はテープなどで塞ぐ
- 1つの水槽に1匹まで
- 水を浅くするのはザリガニに無理をさせる良くない飼い方
また最後に”ザリガニは外来種として非常に取扱注意なイキモノ”であることをお伝えしておきたいと思います。
実はザリガニというのは今でこそ日本全国で見られますがアメリカザリガニの名前通り元々は日本にいない外来種なのです。
そんなの「当然じゃん!」といったところですが、国家機関(環境省)から要注意生物としてリストされているほど生態系への影響が大きいとされているイキモノであります。
このリスト動物の半数ぐらいは「特定外来生物」という飼育も運搬も固く禁じられているイキモノで、既にアメリカザリガニ以外ではウチダザリガニやクーナックなど多くのザリガニ類が飼えなくなっています。
ザリガニは小学校、子供や大人から親しまれているイキモノではありますが、思った以上に規制一歩手前のイキモノであることを認識しつつ、放流・逃がすことはモチロンのこと脱走についても十分ご注意ください。(_ _ )
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この記事へのコメント
川で捕獲したザリガニ飼育していましたが、水質改善のためソイルを入れた次の朝に亡くなってしまいました。
ソイルによる水質変化が原因でしょうか?
ちなみにケースにはゼオライトと酸素の出る石をいれてました。
前日2回目の脱皮をしていました。
エアレーションはありません。
どうぞ宜しくお願い致します。
>やはりソイルによる水質変化が原因でしょうか?
ソイルは商品により使い始めに有害物質を出すものもありますので、それが原因であることは十分考えられます。
ただ酸素の出る石というのは甲殻類系の愛好家の中では、水質を(悪い方に)急変させる「取り扱い注意物」として知られています。
そのため酸素の出る石が元々悪い影響を与えていた、という可能性もございます。
またエアーレーションをしていないということでありましたため、
脱皮直後の大きく酸素を必要とする場面で酸欠に陥った可能性もございます。
総合するにザリガニを死に至らせる要因が何個もありますため、
「ソイルによる水質変化が原因でしょうか?」に対しては断定はできない、といったところです。
(_ _ )
捕まえます