金魚お迎え時のトリートメントについて。やり方とメリットなど
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金魚を追加で迎える際、非常に大切なのが「トリートメント」。
大事にしている金魚であるほど重要性は上がってきます。
トリートメントの概要・メリットや行ったほうが良い場合、実際の方法などトリートメントについて解説していきます。
トリートメントとは?
トリートメントは検疫であり、金魚を本水槽に入れる前に別水槽で隔離飼育することです。
販売されている金魚は一見健康に見えても病気を持っていることも多く、輸送や環境変化によるストレスをトリガーにして迎えてから病気が発症することも少なくありません。
そうなると水槽に今までいた健康な金魚にも感染するリスクがあり「金魚を1匹追加しただけで水槽にいた金魚が全部病気になって死んじゃった」ということも普通にあります。
この金魚追加のリスクを抑えるのが「トリートメント」の役割であり、別水槽で隔離飼育・薬浴することで病気の感染防止や健康状態をチェックするのが目的です。
トリートメントを行った方が良い場合
トリートメントは今飼っている金魚が大事であればあるほど必要性が高くなります。
水槽に何匹も金魚がいる場合や何年も付き合った金魚であれば、病気を持ち込んで死なせてしまうのはかなりのダメージです。
そのような場合はなるだけトリートメントするのが望ましいでしょう。
販売金魚の病原菌保有率はかなり高い
販売されている金魚が病原菌を保有している率はメダカ・熱帯魚と比べると非常に高く、1つの目安としては体感半分くらいは何らかの病原菌を保有してます。
小さい金魚は同じ販売水槽に別ロットの金魚も混ざることが普通であり、販売水槽で病気が混在していることは普通にあります。
更にショップでの入荷から販売までの期間も短く、追加入荷も起こることから目利きで病気の持ち込みを防止するのは不可能であるため、金魚を追加で迎える場合はトリートメントを必ず実施した方が良いのです。
逆にショップで大事に扱われる高級金魚や金魚の愛好家が長く飼育していたものを譲り受ける場合など、病気の混在が行われず長期飼育されている場合はトリートメントはさほど必要なくなります。
簡易トリートメント方法
最も手頃に行えるトリートメントが塩とバケツを使ったトリートメント方法です。
10L以上のバケツに水を張り、比率が0.5%になるように塩を入れエアーレーションを行います。(水10Lだと塩50gです)
- バケツに水を張ってカルキ抜きを行う。(この時水温は金魚の袋と同じぐらいにする)
- 水1Lに対し5gの塩を加える。
- エアーレーションを行う
購入してきた金魚はそこに袋のまま10~20分ほど浮かべて、水温をゆっくりあわせてから入れます。
1週間ほど様子を見た後、問題なさそうであれば本水槽に合流させます。
この方法のトリートメント期間中はエサをやらず、換水は3日に1回程度にします。
なぜ塩を入れるの?
金魚の体内はおよそ0.9%ぐらいの塩分濃度であり、これに近い濃度にするために塩を入れます。
通常だと飼育水と金魚の体内とで塩分の濃度差がありますが、この塩分濃度の違いにより体内に水が侵入しようとする圧力が常にかかっています。(浸透圧)
更に体内に入ってしまった余分な水分を排水するための「排尿」は金魚にとってはエネルギーを費やします。
そこで水槽に塩を入れて金魚の体内塩分濃度に近づけることで、この浸透圧を弱め輸送ダメージによる体力回復に集中できるという作用があります。
これはあくまで例えですが「外出したあとに服を脱いで風呂に入ってリラックスする」というイメージです。
本来のトリートメントには程遠い
塩とバケツによる簡易トリートメント方法は簡単には行なえますが、観察がしにくく観察できる期間が非常に少ないというデメリットがあります。
小さなバケツだと水温変化も激しいため金魚に良くなく、フィルターもないのでエサも与えることができないため短期でしかキープできません。
バケツということから観察も難しいため病気がすり抜ける可能性はかなり高く、正直なところあまりアテになる方法ではありません。
通常のトリートメント方法
隔離飼育をするには簡素で良いので水槽でしっかり観察を行うトリートメントが基本になります。
トリートメント水槽の用意
水槽に水をはりカルキ抜きをしてから購入してきた金魚達を放ちます。
フィルターを設置しますが新品だとろ過能力がかなり低い(濾過細菌が住み着いていない)ため、本水槽で使っていたフィルターと交換して使うか、予め本水槽に小さなフィルターを2週間ほど稼働したものを使用します。
なおこの時使用するフィルターは必ず活性炭が入っていないスポンジ・ウールだけのものを使用しましょう。
活性炭など吸着系のろ材が入っているとトリートメント用の薬が吸着されてしまうためです。
(上の写真では本水槽のサブフィルターとして使っていた「スポンジフィルター」をセットしています)
観察と魚病薬の決定
販売されている金魚は病気を保有していると考えた方が良く、最初から薬剤の投与を行います。
金魚の病気は大きく分けて「細菌性」のものと「寄生虫」によるものがあり、観察の上それぞれ対応する薬品を使うか併用して薬を使用します。
トリートメントに使う魚病薬は魚と濾過細菌に負担が低いものが適しており、具体的には以下の通りです。
種類 | 症状 | 製品 |
---|---|---|
細菌性 | 体に血が滲んでいる。 尾がバサバサ。 一見健康に見える。 |
グリーンFゴールド顆粒 |
寄生虫 | 白点がある。 | メチレンブルー アグテン ヒコサン |
寄生虫は目でみて分かるものが多いのですが細菌性のものは健康的に見えて保菌している場合も多いので、白点寄生虫が見当たらない場合は「グリーンF ゴールド顆粒」を使用するのがオススメです。
なお魚病薬に加え0.5%の塩を併用する方法もありますが、魚病薬には塩(ナトリウム)が含まれていることも多いので重複による塩分過多には注意して下さい。
魚病薬の投与と観察
今回は白点寄生虫が見当たらないため「グリーンF ゴールド顆粒」を使用します。
小さなタッパーなどで量を計測し、少しずつ混和を行って下さい。
この時水に溶かす量を間違うと金魚にダメージがありますので必ず計量の上で投与を行って下さい。
薬浴から約翌終了まで
グリーンFゴールド顆粒の薬浴期間は5日~7日となりますが、この間エサは与えません。
薬浴期間終了後は全換水を行います。(水温だけしっかり合わせること)
水がクリアになることで分かることもありますのでこの段階で再度金魚の肌やヒレなどを観察しましょう。
給餌の開始
外観に問題ないようでしたらエサを少しずつ与え始め2週間ほど様子を観察します。
2~4週間の間にエサ食いに問題がなく外観・行動に以上に見当たらない場合はトリートメント終了です。
食いが悪い場合やトリートメント中に異常が見られた場合は必要な対処を行って再度一定期間の観察を行います。
よくある質問
本水槽に直接塩を入れてトリートメントするのはどうですか?
塩を入れれば導入時のケアはできますが、塩単独で病気を治療・予防することは困難であります。
そもそも薬浴終了後しばらく経ってから病気が現れることもありますので、病気の持ち込みを予防するためには一定期間の隔離飼育が原則となります。
もし新しい金魚が病気を持っていた場合は先住の金魚に病気が感染ってしまいますため、そのリスクは考えた上で導入を行って下さい。
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この記事へのコメント
失礼します。
現在、本水槽に丹頂1匹、パイロットフィッシュとして約3週間ほど飼育しています。
そろそろ、もう1匹お迎えをしたいなと考えています。
その際、トリートメントを行いますが、トリートメントの水(塩水)も1週間~10日ほど水回しをしておく方がいいのでしょうか?
ご教示よろしくお願い致します。
>>1
トリートメント水槽にろ過装置を使用する場合は空回しをした方が良いです。
本水槽のろ材(ウール)をギュッと絞り、出た茶色の水をトリートメント水槽に入れれば濾過バクテリアを大量に送り込めます。
(ろ材には大量のバクテリアが住み着いています)
ウール取り出してトリートメント水槽の上でギュッと絞ってやって下さい。
最初の数日はエサを与えないようにしますので、1日ほど経てば迎える準備が整います。
こんな感じで!!(=゚ω゚)ノ
ご教示ありがとうございます。
本水槽のバクテリアをウールを絞ってトリートメント水槽に入れる方法は初めて聞いたのでとても勉強になりました。
新しいコをお迎えした際は今いるコと一緒に大切にしたいと思っているので参考にさせていただきます。ありがとうございました。