キンペコ飼育・繁殖ガイド
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キングロイヤルペコルティア、通称キンペコの入門ガイド。
水質や飼育環境・エサなどの飼育方法、オスメスの見分け方と繁殖方法、また病気のケアや血統なども解説します。
キンペコとは?
キンペコおよびキングロイヤルペコルティアとはブラジルのシングー川を起源とする黒と白のゼブラ模様を持つヒパンキストルス属プレコたちの”総称”です。
今では人気のプレコジャンルの1つですが、日本に登場したのは1980年代後半で当初は「キングタイガーペコルティア」の名前で流通したプレコが始まりでした。
その後どんどん採集産地が開拓され、今でいうところの「ホワイトロイヤル」「ロイヤルゼブラ」「ゴールデンキングロイヤル」など様々なタイプのプレコが輸入されるようになり、それらを総称して「キングロイヤルペコルティア」、略して「キンペコ」という名前が付けられます。
更に2010年代前半より繁殖させて綺麗な個体を作りだすというブームが始まり、より良い柄を求めて様々なキンペコとの掛け合わせ・選別交配が沢山行われるようになりました。
今なお愛好家の活動は非常に活発であり、現在売られているキンペコといえばむしろ掛け合わされた国内繁殖個体の方が一般的と言えるほどの人気のジャンルになっています。
(これと同じ現象が起きてるのは国産グッピーぐらい!)
つまり何が言いたいかというとキンペコとは1つの種を指すのではなく、シングー川のゼブラ模様の似たプレコたちの総称だということです。
なお名称には「ペコルティア」と付きますがこれは当時分類が進んでいなかった名残でペコルティア属ではなく、ヒパンキストルス属になります。(Hypancistrus。略してヒパンキ)
飼育環境
キンペコをメインとした水槽の一例を示しますが、基本的な構成はベアタンク(砂をしかないこと)にディフュザーを取り付けた外部式フィルターのシンプル構成です。
スペック | |
---|---|
水槽サイズ | 600×300×360 |
フィルター | テトラ VX-75 |
ろ材 | ウールスポンジ一層。残り全てパワーハウス M ハード。 |
フィルターオプション | エーハイム ディフュザー(12/16)、ストレーナースポンジ |
ストレーナースポンジを付けているのはフィルター清掃をしたくないためで、スポンジでゴミ類を食い止めています。
(スポンジは時間が経つと詰まるのでそうなったら揉んで清掃する)
フィルターについて
キンペコはちゃんと食わせれば結構な量を食べ、排泄量が多い熱帯魚です。
加えて濾過不足(アンモニア検出)になると調子がガタ落ちして死ぬことも普通にありますため、ろ過能力の高い外部式フィルターと上部式フィルターが適します。
一番オススメなのが外部式フィルターで、これは強い水流を作れるのと強力なエアーレーションが行えるディフュザーを取り付けられるメリットがあるからです。
上部式フィルターでも十分飼育・繁殖は可能なのですが、「ディフュザーによる稚魚の生存率アップ」「ベアタンク+強い水流で病原菌の抑制」というメリットは外部式フィルターならではの強みになりますため可能であれば外部式フィルターが望ましいです。
ディフューザーについて
キンペコの生息地は溶存酸素量が高い川なので、飼育環境の再現には「ディフューザー」が非常に効果的です。
ディフューザーはフィルターの吐出口に取り付けることで、水流を絞り強い流れになるのと空気を取り込んで溶存酸素の大幅アップが行なえます。
ディフューザーはエーハイム製のものがオススメで、これは別メーカーの外部式フィルターでも口径があえば取り付け可能です。
(12/16のホースで繋げるだけなので。上の飼育例でもテトラの外部式フィルターです)
エーハイム以外からも安く販売されていますが、使った感じはイマイチだったのでエーハイム製を強くオススメします。
なお上部式フィルターの場合でも別途小型ポンプを購入してそれに取り付けることでディフューザーの設置が可能です。(12/16のホースに繋げれるポンプなら取り付けれます)
外部式フィルターのろ材について
外部式フィルターのろ材といえば丸いエーハイムのサブストラットプロが一番人気ですが、プレコにはあまり水流を阻害しないリングろ材が適しています。
サブストラットプロでも不可ではないものの、ディフューザーを使うため水流を落としたくないのと粒の間にゴミが溜まってそれが病気の元になったりするのであまりオススメはしません。
飼育例で使っている「パワーハウス ハード」はpHの降下を抑制する機能があり、水換え時の水質ショックを防げるのでオススメですが、しっかり水換えを行えればエーハイムメックなどの安価リングろ材でも良いと思います。
隠れ家について
育成水槽の場合、隠れ家は両側のあいてるブロックや土管や岩の隙間などが適します。
間違いやすいのですがプレコ用の産卵筒は育成水槽には設置しないで下さい。
オスが複数匹いる水槽に産卵筒を置くと場所をとりあって片方もしくは両方がボロボロになってしまうことがあるためです。
両方向に出入り口がある隠れ家だと逃げ場があるのでケンカしても大事には至りません。
(なお飼育例で使用しているのは「アクアショップfinのおとなりさん」です)
水質
pHの目標値はpH7.0~8.0ぐらいが理想ですが、飼育自体はpH5.5~8.0と広い範囲で適応します。
日本の水道水であればpH7.0ぐらいなので基本的には水道水でバッチリです。
ただしキンペコは水質変化には打たれ弱く、短期間でpHが大きく変わったりすると数日~2週間後に死んでしまうのでこの点は注意が必要です。
なお当然ながら小さい水槽だとpHが安定しなかったりするので水槽サイズは45cm以上ある方が安定します。30cm水槽で”可”程度かなと思います。
水温と溶存酸素量
キンペコが生息するシングー川の水域はかなり水温が高く、飼育においても28~30度と高めの水温が好ましいです。
25度程度でも特に問題はありませんが、成長は遅く繁殖行動も行わなくなります。
なお溶存酸素量は高いレベルを要求しますので、温度を高くする場合は必ずエアーレーションもしくはデュフューザーを取り付けるようにして下さい。
酸素は温度が高いと溶けにくくなりますので、エアーレーション無しで温度を高くすると酸欠で死にます。
水換えについて
渓流魚ほどではありませんが流れのある川に生息する魚なので定期的な換水は重要となり、目安としては1~2週間に1回ぐらいです。
なお水換えをサボるとpHがどんどん下降して、水換え時にpHが急激に上がって水質急変を起こしてしまうのでこの点からも定期換水は非常に重要になります。
換水量は飼育水と水道水とのpH差を鑑みて1/3~2/3ほど換水します。
上であげた飼育例の場合、ろ材にpH降下を抑えるパワーハウスハードを使っていることにより水換え直前でもpH7.5なので、一度の換水量は2/3と多めの換水を行っています。(水換えは週1)
濾過不足や雑菌に非常に弱い
キンペコは濾過不足には非常に弱く、アンモニア・亜硝酸が検出される環境で放置していると普通に死にます。
フィルターに対し魚の数が多いのはもちろんのこと、エサを食べ残したり、フィルターが詰まって能力がガタ落ちすると急激に調子が悪くなったり病気になるので注意しましょう。
またやゴミ・フンなどが溜まった「淀み」由来による病気にもなりやすいので、清潔な環境で飼育するのがベターです。
(だからこそのベアタンク。稚魚の生存率が高くなります)
なおディフューザーを付けていると目に見えてフィルターパワーの減衰が分かったり、強い水流で淀みが無くなり清潔な環境にしやすいというメリットがあるので、ディフューザーは是非つけることをオススメします。
エサ
プレコというと植物食性のイメージがありますが、飼育下のキンペコは雑食でメインとなるエサは「沈下する人工飼料」です。
(あくまで飼育下では。野生下では藻食ってるハズ)
具体的な製品をあげますと、「ひかり クレストフリーク ペコルテ」「どじょう養殖研究所 グロウ B~D」「デルフィスのデルフレッシュフードS~SM」「コトブキ フライミックス 小粒」などがエサとして適しています。
あとは補助エサとして健康食品である「クロレラ」「スピルリナ」を時折与えたり、あとはマジックリーフや流木なんかも齧りますので沈めておくとより良いでしょう。
実際のエサ
個人的に使っているエサとその使い分けを以下に示します。
エサの使い分け | |
---|---|
クレストフリーク ペコルテ | キンペコ用の高級プレミアムフード。腸内菌やクロレラ・スピルリナも配合されており健康的。 |
コトブキ フライミックス 小粒 | 嗜好性が高く粒が小さいので、ブライン卒業させる稚魚に。 |
デルフィスのデルフレッシュフードSMとS | 育成~繁殖・維持に幅広く効果的なエサ。成育が良く健康的なウンチが出る。(上の写真はMですがアダルト向き) |
どじょう養殖研究所 グロウ C | 安くてよく食べる。他と比べると成育が悪いので主にアダルトの維持用。 |
特に「クレストフリーク ペコルテ」は大手メーカーであるキョーリンがキンペコをメインターゲットにして開発した飼料なので迷ったらこれがオススメです。
(個人的にもメインになり得るエサなのですが、高級フードなので魚の数が多いとグロウに頼りがちです)
エサやりについて
プレコは夜行性であるためエサは基本的には消灯後の夜に与えます。
慣れてくれば個体の性格により昼間でもエサの匂いで前に出てくるようになりますが、この場合はエサやりを夜に限定する必要はありません。
明るくても食べるようであれば夜に加えて朝か昼に追加で与えた方が生育が良くなります。
なお先述した通りアンモニアの類には滅法弱い魚ですので、食べ残すようなエサやりをしてしまうと水質悪化で普通に死にますので注意して下さい。
オスメスの見分け方
抱卵したメスはお腹が膨らんで体が丸くなってくるので、それが最も簡単な雌雄判別ポイントになります。オスはスリムのままです。
ただし太さで見分けるのは栄養状態が良くなかったりタイミングにより抱卵していない場合は判別できません。
成熟するとオスはメスに比べて「体のトゲ」「胸鰭のトゲ」「エラ部のヒゲ」が発達しますので、それも併せて判断するのが望ましいです。
エラ部のヒゲはオスが長いのに対しメスが短く、胸鰭のヒレはオスの方がトゲトゲ感が強いです。
体に生えるトゲもオスは体の後部がトゲトゲしい感じがしますが、メスはトゲが目立たず極端な言い方をするとツルツルです。
色彩での差異もある
これは絶対ではありませんがオスに比べてメスは色彩が地味めの傾向があります。
メスは黒い面積が広い個体が多く、黒い個体はメスの確立が高いです。
きれいな個体ばかり集めてしまうと全部オスだったっていうのは良くあることなので、メスが欲しい場合は地味めの個体を選んでみると良いでしょう。
ただし非常にレアですがメスなのに非常に綺麗な個体も存在しますし、そもそも地味柄のオスだっていますので色彩差は絶対的な雌雄差にはなりません。あくまで1つの参考情報までに。
小さいサイズは判別困難
メスの抱卵による体の丸みやオスのヒゲ・トゲの伸びは成熟しないと分からないため小さい個体は残念ながら雌雄判別が不可能です。
目安としてはどれだけ早くても6cmぐらいはないと判別は困難で、大きくなればなるほど判別が容易になってきます。
(6cmでも非常に難しいです。お店だと尚更無理)
また小さなサイズで判別できたとしてもオスはトゲトゲしくなるので分かるんですが、メスの判定が未熟なオスと差別できないのでメスは一回り大きくならないと判別出来ません。
それまではメスっぽい、オスっぽい止まりでしか判定できませんので上記を目安に何匹か購入するのが王道でしょう。
繁殖について
キンペコは成熟したオスメスが揃っていてプレコ用の産卵筒を置けば繁殖を十分狙うことができます。
国内繁殖個体のキンペコの場合、ちゃんと飼っていれば2年ほどあれば雌雄ともに成熟しているハズです。
繁殖水槽の例
繁殖水槽の例として僕が使っているのを具体的に示します。
スペック | |
---|---|
水槽サイズ | 450×300×300 |
フィルター | テトラ VX-75 |
ろ材 | ウールスポンジ一層。残り全てパワーハウス M ハード。 |
フィルターオプション | エーハイム ディフュザー(12/16)、ストレーナースポンジ |
産卵筒 | アクアショップfinの産卵筒など |
基本的に通常の飼育水槽に産卵筒を置いて、オス1メス1(もしくはメス複数)入れれば繁殖水槽が完成します。
この時オスは必ず1匹にしないと、オス同士で産卵筒を取り合ってボロボロになる場合があるのでその点だけ注意しましょう。
産卵筒のチョイス
産卵筒は各社・各ショップさんから色々販売されていますが、複数匹設置して気に入ったものを選ばせるのが良いです。
大きさ的にはオスとメスが一緒に入れる程度の大きさが良いらしく、あまり広々した産卵筒では産みません。
その辺を意識してすこし大きさの違うやつとかも置いてみると良いです。
そのうちずっと同じ筒でメスを待つようになるので、そうなればそれ以外の筒は全部撤去してメスの繁殖を促しましょう。
(メスが産卵筒にいつく場合があり、そうなると繁殖には繋がりにくいように思います)
産卵まで
メスがオスの筒に入ると、オスはメスが産卵するまで閉じ込めるようになります。
メスは産卵を行うと筒から出ていき、残った卵はオスが筒内で保育を始めます。
すぐ産むメスも長い間筒内にいるメスもいますし、諦めてオスが筒から出してしまう場合もありますが、これはメスの産みたがり度と相性によるところが大きいです。
オスは産卵筒内で体をぴったりくっつけて卵を隠すため「気づいたら稚魚が水槽にいた」というケースもあるぐらいです。
日頃からオスの動きをチェックしておき、ずっと筒内の奥にいてなにか隠してそうな感じがしたら怪しいでしょう。
なお相性の良い産みたがりのメスがいれば1ヶ月に1回スパンで産卵を行うほどなので、長い間産まない場合はメスを交換してみたりメスを複数匹にしてみるのも手です。
稚魚誕生から放出まで
産卵から孵化までは4~5日ほどですが、孵化した稚魚は10日程は引き続き筒内でオスに守られます。
その15日ほどはヨークサックのみで栄養をまかないますので、オスがちゃんと守っているのであれば特にやることは無いかと思います。
ただ未熟なヨークックのついた稚魚が筒内から放出されることが結構あり、そのような場合は隔離ケースなどで稚魚を回収してやりましょう。
未熟な稚魚や卵が筒内から出されることを「蹴り出し」と言いますが、オスや組み合わせによっては卵をほとんど蹴り出す場合もあり非常に困ります。
どうしても次世代につなぎたい場合は卵を人工保育する手もありますので頭の隅に置いておいて下さい。
放出から稚魚の隔離
孵化後20日ぐらいで稚魚が筒内から出て水槽に散らばるようになります。(産卵日からは20日ちょい)
それを待って回収してもよいのですが、ヨークサックが無くなってもしばらく筒内にいる場合があり、そうなると成長に支障をきたすため孵化後18日目ぐらいで筒から回収するのが良いように思います。
(回収の際は無理にひっぱったりしないこと。筒をゆすいでうまく出してあげましょう)
回収した稚魚はサテライトやフロートボックスなどの隔離ケースに入れて育成開始です。
水槽内に設置する隔離ボックスだとある程度ディフュザーに近いところに設置したほうが安心ですが、あまり近づきすぎてもエサが舞ってしまって食べれなくなるので適当な位置に設置します。
ただ水槽の方でしっかりエアーレーションされているのであればサテライトに隔離しても普通に育つのであまり神経質にならなくても大丈夫です。(不安ならサテライト内にエアレすればOK)
稚魚の育成
稚魚のメインのエサは孵化させたブラインシュリンプです。サブにクロレラ・スピルリナやマジックリーフ・柔らかい流木を与えると良いです。
ブラインシュリンプはそのまま与えてもある程度食べてくれますが、新鮮なうちに冷凍処理してから使うと沈下して食べやすくなるのでオススメです。
やり方としては、孵化直後のやつをブライン用のメッシュカップで水通しして塩抜きした後、100均などにある極小のタッパーに入れて冷凍庫で凍らせます。
(当然ながら孵化直後のやつじゃないと栄養がガタ落ちするので注意!)
これにハサミとかで突いて割れば、必要な分簡単に与えれるので便利です。
売られている冷凍ベビーブラインも試しましたが、成長がイマイチでブライン自体の色の濃さも自分で作ったほうがかなり濃いオレンジになるのであんまり栄養が無いんだと思います。
あとは健康食品であるクロレラやスピルリナも食べますし、マジックリーフや柔らかい流木を沈めとくと少しずつ齧るので沈めておくとベターです。
ある程度大きく育ってきたら親と同じ人工飼料も砕いて与えていきましょう。大きくなってもブラインのままでは栄養が足りず痩せてしまいます。
隔離ケースからの卒業
生まれて3ヶ月もすればだいぶキンペコ模様がしっかりして来ます。
サテライトや隔離ケースのままでは狭くなり、場合によっては死んでしまうのでより大きい隔離ケースに移すか水槽での飼育を始めましょう。
人工飼料を安定的に食えれば狭い隔離ケースにおいておく意味もないので、しっかり観察できるのであれば早々に水槽で育成してもOKです。
リアルメガクラウン・ニューメガクラウンとは?
通常、普通のキンペコといえば白・黄よりも黒地は多めなのが一般的な色彩です。
しかしながら白地が異様に多い個体が突然変異的に現れ、そのような個体は「メガクラウンゼブラ」または「リアルメガクラウンゼブラ」の名で呼ばれます。(※わざわざリアルが付く理由は後述)
黒と白の色比率がまるで反転したかのように見えることから「反転個体」とも言われます。
残念なことに「メガクラウンゼブラ」の名前は商業的に価値があるため、非常に残念なことですがキンペコに詳しくない業者が多少白地が多かったりする個体や通常のキンペコにまでもメガクランゼブラと付けて販売してしまうことが度々あります。(その方が売れるので)
そういうパチモンとは違う”本物の”ということで「”リアル”メガクラウンゼブラ」とリアルが付くようになりました。
(本来リアルメガクラウンゼブラとメガクランゼブラは同じ意味です)
ニューメガクラウン
キンペコの中にはリアルメガクラウンまではいかないまでも、なかなか白地が広いのもいてそれらは「ニューメガクラウン」という冠が付きます。
ただこれも残念なことにニューメガクラウンのレベルには達してないのにショップが雑にニューメガクラウンと販売する場合もあり、この境界は非常に曖昧となっています。
現在の「ニューメガクラウン」という販売名は改良された国産ブリードのキンペコという認識の方が近いでしょう。
まとめると模様の黒と白が反転し異様に白い個体が「リアルメガクラウンゼブラ」、リアルメガクラウンほど白くはないものの並キンペコより白い個体が「ニューメガクラウン」ということです。
血統について
キンペコではしばしば血統が重要視されますのでこの点にも触れておきます。
キンペコに強いお店ではほとんどの販売魚に親の組み合わせが書かれておりますが、これが血統です。例えば
まずはショップで小さな個体を購入すると思いますが、血統なしの並ワイルド同士の繁殖個体であれば基本的にリアルメガクラウンには育ちません。(0ではないですが)
しかしリアルメガクラウンが出る血統であれば育つとリアルメガクラウン化する場合もあり、黒く育ったとしても繁殖させるとリアルメガクラウンが出たりするメリットがあります。
もちろん血統はリアルメガクラウンだけでなく、柄や色味・体型の傾向も参考になりますのでハマれば重要視したいポイントの1つです。
具体的な各々の血統の特徴については販売しているショップやブリーダーさんに確認していただくとして、こちらで説明できる大枠だけ紹介します。
ドイツ系血統
ドイツから「Will Line(ウィルライン)」と「L-236」の名称で入ってくる血統系です。
個人的な見解ですが、日本系血統が「多くのノーマル個体の中に少数とんでもねぇエグい個体が出現」「黒い若い個体も後々リアルメガクラウン化することもある」のに対し、ドイツ系の血統は「国内血統よりエグみはないもののリアルメガクラウン率は全体的に高い」「リアルメガクラウンになるやつは子供の時から白く、後化けがない」イメージがあります。
(国内血統は黒いやつが真っ白になる”後化け”が存在します)
なおL-236の名前ではインドネシアなどの東南アジアからもブリードされたのが入ってきますが、ドイツ由来のL-236と比べると全然イマイチな印象ですので注意しましょう。
ドイツから入ってきたL-236なら価値があるため必ず明記されます。
ワイルド寄り血統
流通しているニューメガクラウンおよびリアルメガクラウンはほとんど何らかの良い血統が絡んでいます。ただ良い血統同士で子供を採る「累代繁殖」が長く続いたせいか、血統が良すぎると稚魚が弱くて育たないことが稀にあります。
そういった場合はワイルドの血を入れると稚魚の虚弱体質が改善され、生存率を改善することが可能です。
当然ながら単にノーマルのWILDキンペコをあてるより、ワイルド同士でリアルメガクラウンやニューメガクラウンが出た血統の方が次世代が期待できるので重宝されます。
なお販売名に血統が書いて無いからワイルド由来とは限らず、血統が表記していなくても何らかの良血統のMIXである場合も多いのでこの点には注意して下さい。
(だからこそ血統表記が重要になります。別の血ペアリングしたいのに同じだったことで、稚魚が元気じゃなくなるというリスクがありますね)
ビギナー向けのワンポイント
「新しく始めようと思いますが、なんの血統がオススメですか?」と、聞かれることも多いのですが、その個体が気に入りさえすれば最初の1匹には何でもOKだと思います。
ただし最初から繁殖を想定して小さいのを複数匹購入するのであれば、別血統のものをいくつかよりはリアル血統で「同血統」で何匹か揃えるのが強いて言えばオススメです。
それはキンペコのリアルメガクラウン表現が、劣性遺伝(両親共に素養を持たないと生まれない遺伝子)のような遺伝をする傾向があるためです。
同じリアル血統であれば黒く育っても、その子供同士で子をとればリアルメガクラウンが出る可能性が高いのですが、リアルの素養のないまたはリアルであっても別血統のキンペコだとリアルがほぼ出ない傾向があります。ちょっとモッタイないですね。
まぁ目で見て個体が気に入れば何でも良いのですが、チビだとどう育つか分かりませんし繁殖させてリアルが出る方が楽しいんじゃないでしょうか。
あと単純に血統の特徴を把握してないと、例えば黄色の血統に白の血統をかけて「中途半端になっちゃった」というケースもあります。どの血統がどういう表現をするかは正直ビギナーには難しいと思うので、そういう意味でも同血統同士(同じ兄弟)が良いんじゃないかと思います。
病気とそのケア
白点病
キンペコにおいて最も発生する病気なのが「白点病」です。
原因としては外部から魚を導入した持ち込みによるのが最も多く、あとは稀ですが季節の変わり目など環境が変わった時にも発生します。
白点病は放置しておくと普通に死にますので発見次第の対応を行いましょう。
対処方法
一般的な観賞魚の場合、白点病の治療にはマラカイトやメチレンブルー系の薬浴が一般的ですが、キンペコは残念ながらそういった薬に弱く一般的な白点治療薬を行うと死にます。
キンペコの白点病治療で用いるのは「グリーンFゴールドF顆粒」と「28~30℃の高水温」です。
ゴールドF顆粒は本来は細菌性の治療薬ですが、白点病治療にも効果がありマラカイト・メチレン系が使えない魚には活躍します。
用法・容量については規定量通りで良いのですが、規定量より少しでも濃度が高くなると死にますのでこの点は注意が必要です。
(計量をミスることを考えるとやや少なめ~半分ぐらいがベターかも)
ゴールドF顆粒とあわせてヒーターを用いて28℃に設定すれば白点寄生虫の活性を激下げできますので更に効果的です。
水換え後、グリーンFゴールド顆粒を投与し、そこから1週間もあれば白点が抜けます。
なお似た名前の薬にグリーンFゴールドリキッドというのがありますが、名前が似てるだけで成分は全く異なるため注意しましょう。
(ゴールドリキッドは効きが弱いです)
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