海水水槽のライブロックとは!?機能と量や配置・置き方について!
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海水水槽及びマリンアクアリウムではライブロックという自然界から採取された岩が飼育用品のひとつとして知られています。
海水水槽では必須とも言われるほどの飼育グッズで海水魚を取り扱っているショップではほとんどライブロックを取り扱っているほど。
そんなライブロックについて、機能や役割、入れるべき量、導入方法・設置方法など、ライブロックに関するあれこれを解説します。
目次
ライブロックとは?
ライブロックとは「サンゴの死骸などの骨格をベースに微生物や小さな生き物が付着している海中の岩を採取したもの」のことを指します。
販売されているライブロックは自然界にあるものを採取、またはサンゴの死骸などを海に沈めて微生物などが住み着くのを待った半人工のもので、ライブロックは自然の海から採取されたものになります。
「live rock」の名前通り生きた岩と言えます。
ライブロックに住み着いている生物も様々でサンゴやカイメン、海藻などが付着していたり、小さなカニなどが住み着いている場合もあります。
じゃあライブロックがもたらすメリットを解説するヨ。
ライブロックの機能・役割
ライブロックにはいくつかの役割がありますが、主な機能は水の浄化作用です。
バクテリアによる浄化作用
ライブロックは多孔質の素材になっており、水を綺麗にする微生物及びバクテリアが繁茂しやすい構造になっています。
ライブロックには複数の浄化バクテリアが付着しており、複数種類の有害物質を浄化することができます。
特に水槽立ち上げ時は浄化バクテリアがいないためライブロックから有益なバクテリアがやってくることにより水槽の浄化システムを作ることができます。
またライブロックに付着しているゴカイなどの生物は砂中の掃除を行ってくれたり、海藻が付着している場合は海藻による浄化作用も期待できます。
ライブロックを導入しないとこの浄化作用が無いため、ライブロックが海水水槽に必須だと言われているのはこのためです。
砂やフィルターにもある程度浄化作用がある
砂を厚めにしいたり、フィルターを設置することでも水の浄化を行うことができます。
しかしライブロックの浄化能力に比べると砂やフィルターによる浄化能力は低くなりがちなため、ライブロックを導入するのがオススメです。
浄化できる範囲も生物濾過のみのため、ライブロックが浄化できる様々な要素(ゴカイによる砂中の浄化作用、海藻による浄化作用、嫌気バクテリアによる脱窒などなど)と比べるとカバーできる範囲も劣っています。
強力なフィルター(外部式フィルター+リング状濾材など)を使用している場合でも、ライブロックが分解できる有害物質「硝酸」が分解できないためライブロックを導入するメリットがあります。
魚の隠れ家
ライブロックは入り組んだ形状をしているため組み合わせることで魚の隠れ家となることができます。
水槽にライブロックで暗いところを作るだけでも魚が安心するため魚が受けるストレスを緩和する機能があります。
ある程度大きいライブロックは小さなくぼみがあることもあり、ハゼ類などの良い住居にもなります。
サンゴの土台
ライブロックはサンゴの土台としても使用することができます。
増えてきたサンゴを小さなライブロックに活着することにより、置きたいところにサンゴを置くことができます。
ソフトコーラルは必ず土台が必要になりますので、株分けする際に小さなライブロックがあれば便利です。
レイアウト素材
ライブロックはレイアウト素材としての役割もあります。
ライブロックで組んだだけの水槽レイアウトでもスゴイ!と言わせるようなレイアウトにすることができます。
ライブロックは軽く扱いやすいので、積み上げて組み合わせることが容易です。
そのため初心者でも組み方を工夫することにより見栄えのあるレイアウトを作りやすくなっています。
水槽に入れるライブロックの量
ライブロックには水の浄化作用がありますが少量入れただけでは浄化能力が不十分なので、ある程度の量を導入することが必要です。
少なくとも水槽の5/1を占める量を投入したいところです。
ライブロックを多く入れると浄化能力を高めることができます。
多すぎないこと
しかし導入するライブロックが多すぎてしまうこともいけません。
ライブロックを多く入れてしまうと水が通らない「淀み」が多くできてしまい、水質悪化や病原菌の温床になってしまいます。
そのため水通しがあまり悪くならない量に留める必要があります。
水槽サイズに対するライブロックの費用
ライブロックは質などにもよりますが、適切な量だと30cm水槽で3,000円~10,000円程度のライブロック代になります。
60cm水槽で10,000円~30,000円ほどの費用になります。
ライブロックはそこそこ値段がするため、初心者にはあまり大きくない水槽のほうが値段が抑えられるため、ある程度大きくない水槽の方がオススメです。
良質なライブロックの選び方
質の悪いライブロックは微生物が住み着いておらず、浄化能力が低いためある程度状態の良いライブロックを選ぶことがポイントです。
店によっては状態の悪いライブロックは販売していないショップも多いため、ホームセンターよりかは実績のありそうなショップで購入するのがオススメです。
色が紫で、白い部分が少ないこと
白い部分は微生物が付着していない証拠です。
ライブロックの紫部分は「石灰藻」と呼ばれる藻で、この石灰藻は良い環境じゃないと付かない藻です。
石灰藻が付着して紫色及び赤色をしているということは良いライブロックだと言えます。
びっしり紫なライブロックは満点ですね。
ショップによってはSグレードと区別して売られている場合もあります。
ある程度紫色をしていれば一定の水準はクリアしていますので、全身紫じゃないとダメということはありません。
逆にほぼ白いものは死んだライブロック「デスロック」と呼ばれてライブロックとは区別され避けられています。
腐ったような臭いがしないこと
ライブロックに付着している生物及び微生物が死んでいるとライブロックから腐ったような匂いがします。
入荷直後は輸送中にダメージを受けているため、ある程度仕方ないのですがショップの管理が雑だと腐敗が止まらずに質の悪いライブロックに変化してしまいます。
腐った生体及び微生物は後述する「キュアリング」を行って綺麗にすることができますが、できれば匂いの無い方が良いでしょう。
良いライブロックは程よく磯の匂いがする程度で腐ったような匂いはしません。
明らかに「臭い!」というものは避けヨウ!
軽いこと
ライブロックが軽いということは、ギッシリ詰まっておらず小さな穴が多い多孔質です。
多孔質ということは表面積が大きくなるため、バクテリアが繁茂できる面積が広いのです。
そのため軽いライブロックは重いライブロックに比べると浄化能力が高いということです。
それに軽いとライブロックを積む際にも取扱いが楽です。
レイアウトに使いやすそうな形であること
ライブロックは組み合わせがしやすい形であるかどうかもポイントです。
例えば球体に近い形は組み合わせる時に使いづらい形の代表です。
ある程度形が曲がっていたり、複雑な形をしているとライブロックを組んだときに噛み合わせることができるため、安定感ができて使い勝手が良いです。
大きいライブロックだけではなくやや小振りなライブロックも購入するとレイアウトの際に活躍するでしょう。
キュアリング
ライブロックは水槽に入れると、新しい環境に馴染めなかった生物が死んでしまって水を汚してしまいます。
またショップで販売されている段階で死んでしまっているのもあり、そのまま水槽に入れるのは適していません。
死んだ微生物や生体をかき出すのが「キュアリング」と呼ばれる作業です。
キュアリングの方法
バケツに海水を張り、強めのエアーレーション(ぶくぶく)を行って水流とエアーにより汚れをかき出すようにして3日~一週間ほど放置します。
汚れてきた海水は何度か取り替えて汚れがある程度でなくなるまでキュアリングを継続します。
あまり汚れが出なくなり、匂いも臭くなくなったら水槽に投入することができます。
特にいまある水槽に追加を行う場合は、水を大量に汚してしまうことにより今ある生体に被害を与えてしまうため必ずキュアリングを行うようにしましょう。
ショップによってはキュアリング済みのものを販売している場合もあります。
既存の水槽にライブロックを追加する時は必ずキュアリングが必要だヨ!
水槽でのキュアリング
新しく立ち上げる水槽の場合はバケツでキュアリングをせずに、水槽に設置して設置してある水流ポンプにより汚れを吐き出してキュアリングを行う方法もあります。
バケツでキュアリングをした場合と比べ水槽の水が非常に汚れるので、キュアリング後は硝酸塩の測定を行って硝酸塩濃度をある程度のラインまで落とすことが必要です。
シャコは取り除く
ライブロックをキュアリング中、夜間に「パチッ、パチッ」と弾けるような音がする場合はシャコもしくはテッポウエビが住み着いています。
テッポウエビであればほぼ無害ですが、シャコの場合は取り除く必要があります。
シャコは強力なパンチで魚を襲って食べてしまいます。
しばらく被害が無くてもシャコが成長して大きくなってくると魚を襲うようになります。
後からシャコの存在に気づいた場合、駆除には多大な労力がかかりますのでこの段階で取り除いてしまいましょう。
シャコの取り除き方
ライブロックを分けていって、音がするライブロックを特定します。
特定したライブロックを目視で確認していそうな穴に対して強力にエアーレーションを行うようにすることで、たまらずシャコが穴から出てきます。
その際ライブロックを宙吊りにするか、下にプラケースなどを置いて出ていったシャコがライブロックに戻れないようにしましょう。
これでも取れない場合はライブロックをハンマーで砕いてシャコを取り除くか、いそうな穴に熱湯を注いであぶり出します。
熱湯を注いだ部分はデスロックになるため、ライブロックを砕いたほうが良いかはケースバイケースです。
ライブロックはハンマーで簡単に割れるので小さなライブロックが欲しい場合は割るほうがよいでしょう。
カニは大丈夫?
ライブロックには小さなカニが住んでいることもあります。
ライブロックについてきたカニは「サンゴガニ」という小さなカニが殆どでサンゴの粘液や藻を食べて生活していますので、魚を襲うことはありません。
時折サンゴを食べている様子が観察されていますが、腐った部分のみ食べていますので駆除する必要はありません。
ライブロックの置き方・配置方法
ライブロックを設置する上でのポイントとレイアウト例を解説します。
ガラス面から隙間をあけて配置する
ライブロックを壁と隙間なく設置してしまうと壁とライブロックの間は水が流れなくなってしまい、病気や汚れの温床になってしまいます。
ライブロックはガラス面及び壁からは少し離して設置し、ライブロックを囲むように水流が流れるイメージで設置しましょう。
水の流れを阻害しない置き方になっているかがポイントです。
一部分だけ壁に接触している等あまり阻害していないなら良いでしょう。
ウェーブポンプを新たに設置してライブロックを囲むような水流を起こすのも効果的です。
写真のライブロック群には後ろにウェーブポンプが置かれており、淀みがないように工夫されています。
底の設置面積は少ない方が良い
あまり底を埋めるようにおいてしまっては水通しが悪くなりますので全体的に低めに設置するか、ライブロックを高く積むように設置するのがベターです。
プラスチックでできたライブロックスタンドを床に設置して、ライブロックを底から浮かせるようにする人もいるほどです。
スタンドを利用して底から離すように設置するとライブロックの下にも水の流れができるため一層淀みのできにくい環境にすることができます。
壁と離して設置することも含め、「水通しが良いレイアウトになっているか?」がポイントになります。
ライブロックの組み方の例
ライブロックを組む上で参考となるレイアウト例をご紹介します。
山レイアウト
中央または左右に山のように積み上げていくレイアウトです。
サンゴも置きやすく使いやすいレイアウトです。
積むと迫力が出ますが小型水槽だと圧迫感が出てしまうためある程度抑えるか、あえて浅めの山にしても良いでしょう。
大きく積むのは小さな水槽よりかは大型水槽に向いたレイアウトです。
斜面レイアウト
右または左を頂点とした斜面となるようにライブロックを積み上げるレイアウトです。
斜面片側の空間が広く空くため圧迫感のない開放感ある印象を与えることができます。
空間が空くことは遊泳力の高い魚にとってはメリットになります。
山レイアウトの迫力と魚の遊泳層を確保できるメリットを併せ持っています。
塔レイアウト
左または右の奥にライブロックを等のように積み上げていくレイアウトです。
水面近くまで積むことによりダイナミックなレイアウトにすることが出来ます。
魚の遊泳スペースが広いため鑑賞しやすいメリットもあります。
空いたスペースに小さな塔をもう一つ作れば奥行き感を出すことも可能です。
サンゴが置きづらいレイアウトなのがデメリットでしょうか。
ひな壇レイアウト
サンゴを置く土台をひな壇のように積んでいくレイアウトです。
ショップの販売水槽でよく見られるレイアウトで、とてもサンゴが置きやすいためサンゴ主体のレイアウトに向いています。
デメリットはサンゴが大きく育たないと見栄えがしないことです。
アーチ状レイアウト
ライブロックの橋をかけるようにアーチ状に組んだレイアウトです。
ライブロックスタンドを使わなくても床と設置する面積を少なくすることができ、水通りが良いレイアウトスタイルです。
アーチをくぐる魚の様子が観察でき、見ていて楽しいレイアウトです。
砂場レイアウト
ライブロックをあえて控えめにするレイアウトもあります。
ハゼやベラなど砂に潜る魚はライブロックが多いと活動場の砂場の面積が低くなり、またライブロックの裏側に巣を作ることがあるためどこに巣を作っても観察できるように浅めのレイアウトと相性が良いです。
空間も広々とするので開放感のある印象も与えることができます。
ライブロックが少ないため水の浄化能力が低くなりがちなので砂を厚めに敷いたり、強力なフィルターを使うと良いでしょう。
組み合わせ、コンビネーション
先述したレイアウトの例に限らず、様々なレイアウトを試してみて下さい。
先述したレイアウト例を組み合わせて考えるのも良いでしょう。
デスロックはライブロックにできる?
デスロックとなってしまったライブロックは良質な飼育環境で維持していると微生物が付着していき、ライブロックとして復活することができます。
ライブロックにする方法
デスロックに良質な石灰藻がついたライブロックをくっつけて置くことにより、石灰藻をうつすことができます。
石灰藻が増える条件は「低栄養塩」と呼ばれる硝酸塩が少ない環境で、茶苔や緑苔が生えにくい環境で増やすことができます。
最低でも良質な環境を半年ぐらい続けることが必要なので新しく購入した場合が良いかもしれませんが、他にライブロックが多くあれば気長に待つのも良いでしょう。
ケチらずにちゃんとしたライブロックを用意してネ!
まとめ
ライブロックに関するポイントを箇条書きにまとめます。
- ライブロックは自然海の岩で、水槽に持ち込むことにより自然の浄化作用を持ち込むことができる。
- ライブロックを選ぶポイントは「紫・赤」が多く、軽くて腐った匂いがしないものが良質なライブロックである。
- ライブロックを水槽に入れる前にはキュアリングという作業が必要である。
- キュアリング中シャコがいると判明した場合は必ず取り除いておくこと。
- ライブロックを置く際は水通しがあまり悪くならないように、壁と少し離して設置を行うこと。
参考になれば幸いです!
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