水槽で増えるウミケムシについて!害や駆除方法、食べる生物など
公開:
「夜水槽を除くとゴカイのようなものがいた・・」
それはウミケムシではないしょうか。
ウミケムシの生態、魚への害、駆除方法など水槽にいるウミケムシのあれこれを解説します。
ウミケムシについて
ウミケムシは海中に生息するゴカイの仲間で、ゴカイに白い毛が生えたような、名前通りケムシのような生き物です。
普段は砂中で生活し、デトリタス(汚れ)や食べ残しなどを食べて生活しています。
マリンアクアでは主にライブロックと共に水槽に持ち込まれ、水槽内のデトリタスをエサにどんどん増えてしまうことがよく起こります。
夜になると活発になり地表に出てくることがあるため、夜水槽を見ていたら大量のウムケムシを発見してしまいショックを受けてしまった飼育者も多いです。
ウミケムシたちには体毛に毒針を持つものがおり、針が手や腕などに刺さると痛みを伴う場合があります。
(痛みは数日ほどで収まることが大半です)
ウミケムシの種類
ウミケムシには何種類かいて、一般的にウミケムシと言えば「Chloeia flava」を指しますが、マリンアクアではそれを含むウムケムシ類のことを指します。
水槽でよく目にするのは本来の「ウミケムシ(Chloeia flava)」ではなく、「ハナレウミケムシ」や「ニホンウミケムシ」であることが多いでしょう。
ウミケムシの害
ウミケムシたちは毒を持ってはいるものの魚を襲ったり麻痺させてしまうことは無く、生体に害はありません。
むしろ砂中のデトリタスを掃除してくれているので、砂中の病原菌が抑えられ病気になりにくい環境にしてくれるメリットがあります。
砂掃除のためにナマコを入れる場合がありますが、それと同じ役割を果たしてくれます。
しかしながら素手でメンテナンスをしていたら毒針が刺さってしまうリスクがあり、「ウミケムシがいるかもしれない」と思うだけでもメンテナンスがしにくくなります。
何より見た目が受け付けないという人も少なくありません。
益虫やんけ~♪ pic.twitter.com/r9GXqlrZKG
— 犬水ジュン (@junwtdg) 2018年4月10日
駆除方法
ウミケムシをすぐに駆除したい場合はリセットしかありません。
ライブロックを全て取り出し、ゴム手袋などをして砂やアクセサリー類をしっかり洗浄あるいは取り換えてしまいます。
ウミケムシがいた水槽のライブロックにはほぼ間違いなくウミケムシが潜んでいるため、ライブロックにいるウミケムシもできるだけ取り除いておきましょう。
キュアリング
ライブロックをバケツに入れてキュアリングを行います。
バケツの底にプラケースなどを置き、出てきたウミケムシがライブロックに二度と戻ってこれないようにセットしておきエアーレーションを開始します。
この時、サンゴ用の害虫駆除薬を入れてやるとウミケムシが苦しんでライブロックから出てくるので効果的です。
私はハートトレードから出ているコーラルディップソリューション(製造終了?)なるものを使っていましたがライブロックから「こんなにいたのか」というレベルで出てきたので薬剤は使う方がオススメです。(無いとライブロックから離れるのを待たないといけないので・・・)
ライブロックのデスロック化
いくら薬剤によるキュアリングを行っていても、ライブロックから完全に駆除することは困難で、水槽に戻したらまた増えてしまう可能性があります。
完全に駆除するにはライブロックをお湯で煮たり、何日も天日干ししたりしてデスロックにしてしまう他ありません。
デスロックにしてしまうと本来のライブロックの機能は失われてしまうのですが、それでもウミケムシを見たくない場合の選択肢です。
砂を薄くする
砂が厚いとウミケムシのエサであるデトリタスが溜まりやすくなり、ウミケムシが大繁殖しやすくなります。
可能であれば砂を薄くしておいた方がウミケムシの数を抑えることができます。
何なら砂を一切しかないというのもアリで、ライブロックから出てきたウミケムシも見つけ次第そのまま駆除できるので数がかなり抑えられます。
その場合好気性バクテリアの数はかなり減るので、外部式フィルターや強力なプロテインスキマー、それなりに多いライブロックなどでカバーする必要があります。
ウムケムシを抑制する生物
多くのウミケムシを除去したところで、元の環境に戻すとライブロックに残ったウミケムシから再度増えてしまいい元通りになることがあります。
そうならないためにはウミケムシの繁殖を抑制する効果のある生物を入れるのが効果的です。
オニヒメブンブク
オニヒメブンブクは砂中で生活するウニの仲間で、ウミケムシと同じく砂中のデトリタスを食べて生活しています。
つまりウミケムシの食べるもの・生活エリアを全て奪うことができ、小さなウミケムシにいたってはオニヒメブンブクのエサにもなります。
深いトコロまで潜れるので砂が厚い場合にもバッチリ対応でき、魚同士の相性も考えなくても良いので一番オススメ。
ベラ類
イエローコリス、キュウセンベラなどのベラの仲間は悪食であり、ゴカイ類も好んで食べています。
ウミケムシも彼らにとってエサにしかならず、見つけ次第つついて食べようとします。
イトヒキベラやクジャクベラではなく砂に潜るような正真正銘のベラじゃないとあまり食べてくれないため注意。
ただ魚ということもあり水槽によっては入れるのが難しいのがネックです。(ベラ同士や近い魚だとケンカします)
アローヘッドクラブ
ウミケムシを食べる生物といえばアローヘッドクラブが有名です。ただ動きの遅いカニということもあり、あんまり食べてくれないのが実際ではないでしょうか。
砂に潜むウミケムシにはどうしようもありませんし、間抜けなウミケムシがときおり捕まる程度。
そもそもアローヘッドクラブはウミケムシだけを食べるカニでは無いので、性格によっては全く食べないこともあります。
別途砂を掃除する生物を入れたり、砂を薄くするなど地中に潜むウミケムシへの対処は平行したほうが良いでしょう。
ベントス食性ハゼ
ベントス食性を持つハゼもウミケムシの抑制には効果があります。
砂ごと口に含んで水中のデトリタスおよび砂についた微生物を食べる食性のため、デトリタスが解消され砂が綺麗に保たれます。
つまりウミケムシの食べるものが少なくなり繁殖を防ぐことができます。
ただし砂が厚いと底にはデトリタスが残ってしまうことになり、また大きな個体じゃないと砂全てをカバーすることができないため制約は多いです。
マガキガイ
マガキガイがいる水槽といない水槽では後者の方がウミケムシが大繁殖しやすいです。
というのもマガキガイも砂に潜り、砂を撹拌する効果があるためです。
ウミケムシのエサであるデトリタスが溜まりにくくなり、生活圏も多少は圧迫するので抑えられるというワケです。
とはいえグイグイ砂に潜ったりするわけでもないためちょっとした予防程度に考えるのが良いでしょう。
まとめ、個人的な所感
ウミケムシは生体に害は無く、むしろ砂中のデトリタスを掃除してくれるのでむしろ良いヤツではあるんです。
ただ見た目が受け付けない人も多く、できれば駆除したいものですよね。
残念ながら完全除去は困難であり、デスロックにでもしない限りは発生を抑えるレベルでしか対処できないのが辛いところ。
とはいえあらかた駆除した上でウミケムシを抑える生物を入れればほとんど見なくすることも十分可能ですし、ある程度は仕方のない部分でもあります。
シェアしてね!
Sponsored Link
この記事へのコメント