海水水槽の殺菌灯とは?効果と必要性、選び方などを解説
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海水水槽の飼育設備として定番と言われているのが殺菌灯です。
淡水と比べ海水魚への恩恵が大きく、使用している人は少なくありません。
そんな殺菌灯について、仕組みや効果、かかる費用と必要性、選ぶべきポイントなどを解説していきます。
殺菌灯って何?
殺菌灯の仕組みは「強力な紫外線を水に放射して、水中の菌や汚れを分解する」ということです。
紫外線は細胞や分子レベルで変質させる作用があります。
人間ですら長時間の日差しは皮膚がんのリスクが高くなりますが、これは紫外線がもたらす皮膚細胞への変化作用によるものです。
殺菌灯はこの紫外線が持つ、いうなれば破壊力を利用して水中にある有害な雑菌などを滅殺をする飼育用品になります。
構造
多くの製品は筒の中に強力な紫外線を放射して、その筒の中に飼育水を通すことにより浄化を行います。
殺菌灯を通った飼育水は有害な雑菌が滅殺されるという仕組みです。
殺菌灯の効果
殺菌灯は強力な紫外線により、様々な効果があります。
白点病などの病気予防
殺菌灯は白点病などの原因である病原体を破壊します。
殺菌灯を設置していれば水中にいる病原体の数が大幅に少なくなるので、非常に病気にかかりにくくなります。
魚がかかる病気というのは外部からの病原体由来のものがほとんどなので、多くの病気を予防することが可能です。
コケの抑止
その他、コケの予防にも効果があります。
コケは胞子が水中に舞っており、これが水槽の壁、岩などに付くことによりどんどん勢力を伸ばしていきます。
殺菌灯を設置すると水中にいるコケの胞子も滅殺されますので、コケが飛散して増えるスピードを抑止することができます。
汚れの分解
殺菌灯は細菌・胞子の滅殺のほか、フンなどの有機物も分解することができます。
紫外線は有機物の分子結合を切断することで無機物に変化させることにより、汚れを気化および無害化します。
プロテインスキマーは有機物を外に排出する装置ですが、有機物を処理するという点では同じ能力を持っていると言えますね。
殺菌灯のコスト
殺菌灯は大きさにもよりますが60cm水槽であれば1万円~2万円ほどで入手が可能です。
1つ注意しなくてはならないのはポンプの有無ですね。
殺菌灯単体だと水を循環させるポンプがついていないので、別途水中ポンプや外部式フィルターを接続したりして水を循環させる必要があります。
ポンプは3000円~6000円ほどしますので、別途ポンプが必要な場合は注意しましょう。
接続するためのホースも必要になります。
ランニングコスト
紫外線ランプには通常の電球と同じく使用に限りがあり、定期的に交換する必要があります。
例えばカミハタのターボツイストZに使われているUV管は放電管寿命:約8,000時間となっています。
つまり333日ごとに交換する必要があります。
交換球自体は2000円ほど(8Wの場合)なので年2000円ちょっとですね。
加えて8Wの電気代がかかるため、月あたり150円の電気代が発生します。
※1kWhを26円で計算
つまり合計すると月350円程度のランニングコストがかかることになります。
※但しポンプの電気代は入っていません。
海水水槽に殺菌灯って必要?
殺菌灯はライブロックや浄化装置と比べると優先順位は低く、必須器具ではありません。
水流が効いててプロテインスキマーも十分な環境では病原菌の数自体も少なく、殺菌灯がもたらすメリットはあまりないでしょう。
ただし完璧な状態というのは中々難しく、ベテランでもふとした時に調子を崩したり、セット後しばらくは安定しません。
そんな時には殺菌灯を設置することで効果的に働きます。
白点病に非常に効果的
殺菌灯が最も有効に働くのは、白点病が蔓延している水槽です。
殺菌灯を設置することで水中の病原体を大幅に減らすことができるので、魚にかかる負担が減り治癒させやすくなります。
白点病が起こりやすい海水魚には殺菌灯が必須と言われることもあるほど。
特に白点病にかかりやすいハギやフグの仲間には予め殺菌灯と設置しておくと良いでしょう。
そのほか高価な魚や大事な魚がいる場合にも有効です。
特に新しい魚やサンゴを入れた際には外部から菌が持ち込まれやすく、病気から守るという点でも効果的でしょう。
汚れ除去能力はプロテインスキマーの方が上
殺菌灯には有機物を分解する能力あり、プロテインスキマーと同じ能力を持っています。
しかしながら分解能力はプロテインスキマーの方が上です。
光による分解では処理できる大きさに限界があり、どうしても小さな粒子を崩す程度に収まります。
プロテインスキマーは有機物であれば多少大きくても除去できるのでプロテインスキマーと殺菌灯で迷っているならばプロテインスキマーの方がオススメです。
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殺菌灯の選び方
殺菌灯で選ぶ上では適合水量は勿論のこと、設置方式と交換球はチェックしておきたいポイントです。
設置方式
ポンプで動かすのか、ポンプがついているのかをチェックします。
ポンプ接続式
ポンプ接続式であった場合、設置には水中ポンプを接続して水を循環させる必要があり、別途ポンプとホースが必要になります。
外部式フィルターなどと接続する場合はむしろポンプが無いほうが都合が良いでしょう。
接続の際は流量が満たすように注意して下さい。
大きくても少なくても本来の効果を発揮することができません。
特に水中クーラーなどの別機器と合わせて接続する場合は流量が思った以上に減衰していますので、実際に出ている流量を確かめつつ接続を行いましょう。
モーター内蔵式
モーターが殺菌灯側についているタイプもあります。
ポンプ接続式と比べて、大きく設置に制約がありますが手頃に設置できるのは大きなメリットです。
交換部品
交換部品がいくらぐらいなのかもチェックしておきましょう。
長期使用することを踏まえると、そのメーカーが長期的にリリースしてくれるかどうかも考えたほうが良いです。
安くても廃盤で合った場合、付属ランプが無くなれば使えなくなってしまいます。
また、あまり名前を聞かないメーカーは避けたほうが良いと思います。
まとめ、個人的な所感
殺菌灯は紫外線の力により水中の菌や汚れを滅殺することが可能で、病気予防にも効果的です。
海水魚飼育が失敗する最も多い理由が白点病とも言われており、殺菌灯を設置することで失敗を大幅に防ぐことができます。
海水魚はかなり白点病にかかりやすく、海水魚に殺菌灯が必須と言われる大きな理由にもなっています。
殺菌灯は必須器具というよりかは海水水槽で起こりうる失敗を予防するための器具と言えるでしょう。
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