海水水槽の底床・底砂について!生体に合わせた選ぶべきポイントとオススメの底床
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海水水槽の底床は淡水の熱帯魚のものと比べて選択肢が少なく、砂を考えるということはそんなに重要なポイントでないように思われるかも知れません。
ですが底床選びを失敗してしまうと生体(特にサンゴ)が死んでしまうこともあるほど。
抑えるべきポイントを抑えて、特に後から失敗して砂を入れ換えることの無いようセット時に要点を抑えておきましょう。
海水水槽で用いる底床についてのあれこれを説明し、初心者や成体に合わせたオススメの砂もご紹介します。
サンゴ砂が基本
海水水槽で用いられる底床はほとんどの場合は死んだサンゴ由来の素材を使った「サンゴ砂」が使用されています。
販売名としてアラゴナイトサンドとして売られている場合もありますが中身としては死んだサンゴが主な内容になっていますので同じサンゴ砂と言えます。
海水水槽は硬度が高いアルカリ性に保つ必要がありますが、サンゴ砂(アラゴナイトサンド)を敷くことによって簡単に維持することができます。
何も考えずにサンゴ由来の砂であれば問題ありません。
むしろ底床として考えなければならないポイントは素材よりも粒の大きさと敷く厚さの2つです。
海水魚を飼うならサンゴ砂を入れてネ!
粒の大きさ
サンゴ砂の大きさは大きく分けると「パウダータイプ」、「細目」、「中目・粗目」に分けられます。
パウダー・超細目
粒がとても小さく粉に近い粒度のものをパウダータイプと呼び、メーカーによっては超細目と記載されているタイプです。
砂に潜る生物に最適な底床でベラやチンアナゴなどは砂に潜る生体を観察することができます。
雪化粧のようにとても綺麗な見た目で人気のあるタイプになりますが、取扱には注意が必要な砂です。
汚れや病原菌が溜まりやすい
通気性がほぼ無いため汚れが溜まりやすく現病菌の温床にもなってしまいます。
掃除などの際に砂を舞い上がらせただけで魚が病気になってしまう可能性があります。
そうならないためには薄めに敷くか、ナマコやマガキガイなどの砂を撹拌する生物を入れるようにしましょう。
サンゴと相性が悪い
また砂が舞いやすいことはサンゴにとっても良くありません。
パウダータイプの砂や水流ポンプや魚が動くことにより砂が舞うことがあり、舞った砂はサンゴの上に乗ってしまうことが良く起こります。
サンゴは自分の上に乗った砂を縮んだり、粘液を出したりして取り除こうとします。
意外にもこの運動がサンゴにとって非常に体力を消費する行動で、何度も続けることによりサンゴが縮んでしまい腐ってしまいます。
丈夫なソフトコーラルはあまり影響を受けにくいですが、チョウジガイを代表とした共肉があるハードコーラルは避けたほうが良いでしょう。
細目
粉よりは砂利に近いタイプの粗さになります。
パウダータイプほど綺麗ではありませんが、見た目もそこそこ良く、取扱もしやすいので、個人的にはこの細目タイプの粗さがオススメです。
粒度が荒いため重くあまり舞わないのでサンゴとの相性も良いです。
ソフトコーラル中心だとパウダータイプのものでも良いのですが、あとからステップアップとしてハードコーラルにチャレンジした場合、パウダータイプのものだと砂が原因でハードコーラルがうまく育成できない場合があります。
立ち上げ当初はハードコーラル難しそうだから辞めておこうと思っていても意外に簡単なのでステップアップとして手を出す方も多く、パウダータイプが足を引っ張ることが多々あります。
そうなってしまうと砂を入れ換える他ありません。
水槽のリセットに近い多大な労力がかかりますため、最初から細目タイプのものがオススメです。
将来的にハードコーラルを飼うことになっても砂で失敗しないんダ!
中目・粗目
中目・粗目タイプのものは細目より大きいタイプになります。
大きいので舞い上がることは殆ど無く強力な水流ポンプを用いた大型水槽に使用されることがあります。
粒度が荒いため逆に隙間などに大きなゴミが溜まりやすく、人力で定期的に砂の掃除をする必要があります。
また粗目タイプのものは底床として使用されるより、濾過材として使用される方が多く、砂を敷かないレイアウトには濾材として使用されていることがほとんどです。
でも特定の用途でたびたび使用されることがあるんダ!
砂の厚み
砂を厚く敷けば敷くほど汚れや病原菌が溜まりやすくなってしまうため、薄く敷くのが良いでしょう。
平均2,3cmぐらい敷けば十分な量で、砂に潜ったりするような生体を飼う場合を除き、それ以上敷く必要はありません。
厚くてもライブロックをしっかり支えれる程度に抑え、無駄に厚くしてしまうことは避けましょう。
奥行き感を出す砂の敷き方
手前を低く、奥を厚くすると単純に平らに敷いた場合と比べ奥行き感が出ます。
手前は1cm、奥は4~5cm程度盛れば雰囲気が出ます。
敷かない選択肢もある
砂を敷くと病原菌の温床と砂が舞うことによるサンゴへのダメージリスクがあるため、サンゴのキープ水槽などではサンゴ砂を敷かないケースもあります。
砂には水質の安定化(アンモニア、硝酸の処理、pHを上げ硬度を上げる)という役割がありますので、敷かない場合は濾過装置の濾材としてサンゴ砂を入れると良いでしょう。
また水槽に適切な量のライブロックを入れて浄化能力が低くならないようにするのもポイントです。
砂を綺麗にするマガキガイが潜れる深さである3cmまでを目安にすると良いヨ!
水槽に入れる生物を考えた底床選び
水槽に入れる生物に合わせて砂の大きさと厚さをチョイスする考え方もあります。
砂に潜る魚
砂に潜って生活するチンアナゴや夜間砂に潜って寝るベラの仲間はパウダータイプの砂を厚めに敷くと本来の生態を観察することができ、魚自身も落ち着くことができます。
チンアナゴやニシキアナゴの場合は10cmぐらいは欲しいところです。
カザリキュウセンやイエローコリスなど砂に潜って寝る魚の場合はやや厚めに5cmぐらいあれば良いでしょう。
砂に潜る生物は砂中の汚れや病原菌には強いため、砂を厚くすることによって病気になることはありあません。
タンクメイト(水槽の同居魚)には気を使う必要がありますので砂を撹拌するナマコなどの生物を入れるか、いっそ砂由来の汚れや病気に強いハゼ類などでタンクメイトをまとめてしまう方法もあります。
タンクメイトには砂由来の病気に強いハタタテネジリンボウはどうかナ?
ランドルールピストルシュリンプも入れると共生する様子が観察できるヨ!
巣穴を作る生き物たち
共生ハゼと共生エビやジョーフィッシュの仲間など砂を掘って巣を作る生き物はパウダーをベースに細目・中目を入れ粒のサイズをごちゃまぜにして、やや厚めに敷いてやると良いでしょう。
巣穴を掘る際、単純にパウダータイプの砂だけでは崩れてしまって巣を作ることができませんが、様々なサイズの粒があれば崩れずに巣を作らせることができます。
一部分だけ粒を混ぜたエリアを作ることにより目的の位置に巣穴を作らせることも狙うことができます。
こちらも同じく巣穴を作る魚は病気に強いため砂を厚めに敷くことによる健康面での被害はありません。
※タンクメイトは病気に強い魚を選ぶと良いです。
生き物だからしょうがないネ!
共肉が大きいサンゴ
ナガレハナサンゴやホンタコアシサンゴなどサンゴの共肉部分が大きいサンゴは共肉部分に砂が落ちてしまうと弱ってしまうため、舞わない細目以上の粗さのサンゴ砂が良いでしょう。
目が細かすぎると強い水流を必要とするサンゴのためウェーブポンプによる力強い水流で粒が舞ってしまいサンゴの上に落ちることがあります
思い切って砂を敷かないという選択肢も良いでしょう。
サンゴには非常に良くないネ
砂を掃除する生物
パウダータイプは砂を撹拌・掃除する生物を入れないと病原菌の温床となり、少し舞っただけで水槽内に病気が蔓延してしまいます。
病気が蔓延しないためには病原菌の温床とならないように生物たちに砂を定期的にかき回してもらうのがベストです。
特にパウダータイプの底床にする場合はメンテナンス時に少し砂が舞っただけでも病気になってしまうため、砂を攪拌する生物は必須と考えていいくらいです。
ナマコの仲間
最も強力に砂を掃除してくれるのはナマコです。
ナマコは砂中で過ごしており、砂を飲み込んで腹の中で砂に付着した生物や藻などを吸収し、きれいになった砂を排出します。
見た目はグロいですが生活は砂の中であまり出てこないため、パウダータイプの砂を使う場合はナマコを1匹は入れたいところです。
これを入れたらデバスズメとかカクレクマノミも入れやすくなるヨ!
オニヒメブンブク
砂に潜って生活しているウニです。
砂中の汚れなどを食べており、ゴカイやウミケムシも食べることがあるようです。
海中を動き回るため砂を撹拌して病原菌の温床となるのを防ぎます。
ナマコと比べると能力は劣りますが、ナマコとくらべて可愛い見た目をしているためナマコが受け入れにくい場合はこちらがオススメです。
マガキガイ
コケ取りとして定番のマガキガイも砂の撹拌に貢献します。
ゾウのように長い口で底床表面の砂についたコケを吸いとりますが、移動や休憩の際に砂に潜るため表面近くの砂であれば撹拌することができます。
深く潜ることはないため砂を厚めに敷いている場合はクロナマコを入れたいところです。
マガキガイは砂の中ばかりにいるわけじゃないので水槽の大きさに合った数を入れてミヨウ!
ベントス食性のハゼ
アカハチハゼなど砂ごと口に含んでゴカイなどの生物を選り分けて、探し終わった砂を吐き出すベントス食性を持つ魚を入れると砂を撹拌することができます。
こちらも奥深くの砂を掘り起こすことはしないため、表面のみになります。
代表的なアカハチハゼやミズタマハゼは最大で20cm近くもなり、水を汚したり圧迫感が出てしまうのがデメリットでしょうか。
砂を大きく掘って巣を作ることもあるためレイアウトを損ないやすいのも気を付けるポイントです。
まとめ
以上の海水水槽の底床に関するポイントを箇条書きにまとめます。
- 海水魚の底床はサンゴ砂である
- 砂に潜る生物を飼う場合はパウダータイプのサンゴ砂がオススメ
- 砂に潜らない生物を飼う場合は細目タイプのサンゴ砂がオススメ
- 砂の中は病原菌と汚れの溜まり場になるため、砂は薄めに数センチぐらい敷くのが良い
- 砂に潜る生物を飼う場合は生体に必要な厚さを敷く
- 砂に潜る生物は砂由来の病気に強いので厚く敷いても問題無い。
- パウダータイプは特に病原菌や汚れが溜まりやすいため、ナマコやマガキガイなどの生物を入れて砂を適度にかきまわしてもらう
砂に潜る魚を入れたい場合はパウダータイプの砂がベストマッチしますが取扱には注意が必要です。
見た目が綺麗なため初心者のみならずベテランからも人気がありますが、初心者はパウダーよりやや粒が大きい細目のものがオススメです。
私はしばらくパウダータイプを使っていましたがパウダータイプのデメリットを痛感し、砂の全入れ替えを行うハメになり・・・。
かなーり大変な作業だったので最初から細目を選んでおけばと後悔しました。
そんな悲劇がなくなれば幸いです( ˘ω˘ )
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