病気しない海水水槽を作るための4つの予防ポイント
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海水魚を飼育していると必ずと言っていいほど病気になる確立が高く、飼育の課題のひとつです。
病気にかかるたびに治療を行っていてはイタチごっこ。
治療はもちろん、殺菌灯による殺菌に頼らない病気がかからない環境作りを目指すことが重要です。
病気がかからない環境作りのための3つのポイントをご紹介します。
水槽サイズ
水槽サイズもとい水槽に入る水量は病気を予防するための重要なポイントのひとつです。
理由としては「水温が変動してしまうと魚の体力を奪ってしまう」からです。
水量が少ない小さな水槽だと1日の水温変化量が大きく、魚の体力を奪ってしまうため病気になりやすい環境となってしまうのです。
そうしないためにはある程度の水量を確保することで外気の温度がクッションされ水温の変動がゆるやかとなり、水温変化による体力低下を予防することができます。
つまり水量が大きいほど水温が変化しないため病気になりにくく、魚の抵抗力を高めることができます。
人間で例えると
寒暖差で体力が奪われるのは我々人間も同じです。
特に季節の変わり目で寒暖差がある季節は風邪をひきやすいタイミングです。
我々人間は寒い・暑いと感じた場合は服を着るなり空調を入れたりすることが出来ますが魚はそうすることができません。
水槽の大きさの目安
60cm程度の水量があれば気温の変化による病気はほぼ無くなります。
60cm水槽は初心者の方からすればかなり大きい水槽と感じると思いますが、できる範囲で水槽が大きい方にしておくと良いでしょう。
もし30cmと45cm水槽で悩んでいるなら45cmの水槽を選択するのが断然オススメです。
最低でも45cm以上はあった方が病気ばかりで嫌になってしまうことを防げると思います。
小型水槽で病気に悩んでいるなら大きな水槽へお引っ越しすることを検討してみて下さい。
どうしても小さな水槽しか置けない場合
予算やスペースの関係でどうしても小さな水槽しか置けない場合は病気に強い魚のみで揃えてしまうのも手です。
底生ハゼの仲間など砂に潜る性質の魚は病気にとても強いため、初心者にオススメの海水魚グループです。
水槽の置き場所も重要
また大きさとあわせて1日の温度差が少ない場所に水槽を設置するのもポイントです。
例えば、玄関などは外気の影響を受けやすいため水槽を設置する場所としてはふさわしくありません。
関連海水魚の水槽サイズについて!魚の数や初心者にオススメの大きさは!?
淀みを無くす
「淀み」とはライブロックの設置やレイアウトアイテムで生まれた水流の無い場所のことです。
淀みはフンやゴミなどデトリタスの溜まり場となり白点病などの病原菌が繁茂しやすい場所になってしまいます。
いくら魚にかかった白点病を治療したところで元を断たないかぎりは再度病気にかかってしまいます。
淀みをなくして病気の元を根絶しましょう。
ウェーブポンプを使用する
コントーラー付きのウェーブポンプを設置して力強い水流を作り出し淀みが無くなるようにしましょう。
コントローラー付きのウェーブポンプを利用することでランダムに広い水流を作れるため淀みを大幅に無くすことができます。
単一のウェーブポンプでは水流に変化が無いため水流の相殺などにより新たに淀みが生まれてしまいますので、コントローラー付きのモデルがオススメです。
コントローラー付きのモデルは力強いパワーがあるものばかりですので水流を水面に向けることで全方位に水流を行き渡らせることができます。
単一のウェーブポンプとディフレクターではダメか?
単一のウェーブポンプをベース海流とし、淀みが生まれないように回転式ディフレクターを淀みができそうな場所に向けて複数設置する方法もあります。
しかしこの方法はあまりオススメできません。
複数設置した場合は1つ1つの水流が弱いことが多く、コントローラー付きのパワーのあるモデルには束になっても叶いません。
加えて小さなポンプだとゴミが詰まりやすく定期的な清掃が必要になります。
私も単一のウェーブポンプ1台+ディフレクター2台で維持していましたが、コントローラー付きウェーブポンプとは雲泥の差でした。
特にディフレクターは全く使い所がなくなってしまったので、下手に複数設置するよりかはコントローラー付きのしっかりしたモデルの方をオススメします。
私は少しずつポンプの数を増やしていましたが結果的にコントローラー付きのウェーブポンプを買ったほうが安上がりでした。
コントローラー無しやったら4,000円であるで
さらにコントローラーでパワーの調節も行えるため強すぎると感じた場合は流量を落として使えるから失敗がほぼ無いんダ!
水通しの良いレイアウトにする
ライブロックの設置の仕方、すなわちレイアウト自体も淀みが無いように心がけるのが重要です。
いくら強力なウェーブポンプを使用したところで完全に障害物に阻まれていては水流は通りません。
水通しの良いようにライブロックを組むことで淀みを無くしましょう。
壁と隙間を空ける
ライブロックを設置する際は壁もといガラス面と隙間をあけて設置して下さい。
壁と隙間をあけることにより水槽をぐるっと一周する水流が生まれてライブロックの周りに水流があたることになります。
結果水槽全体とライブロック全体に水流を行き渡らせることができ、淀み・病原菌が生まれにくいレイアウトにすることができます。
ライブロックスタンドを使うことでライブロックの下まで水流を通せるから淀みはほぼ無くなるネ!
底床に病原菌を貯めない
先述した「淀み」と同じく砂の中も現病菌が繁茂するポイントになっています。
砂はデトリタスが溜まりやすい箇所であるため現病菌の温床となりやすくなっています。
メンテナンス時などで砂が舞うことにより汚れ(デトリタス)とそこに繁茂する病原菌が舞い上がってしまい、魚が病気にかかってしまいます。
水換え等のメンテナンス直後に魚が病気になるのは砂にデトリタスが溜まっている可能性が高いです。
砂の中にデトリタス・病原菌を溜まらせないようにしましょう。
底床は薄く敷く
底床を厚く敷いてしまうと下の方にある砂の通気性が悪くなりデトリタスが溜まりやすくなってしまいます。
厚みがあるとそれだけデトリタスが溜まりやすくなるため、薄く敷いてデトリタスが溜まりにくいようにしましょう。
底床は1cmほど敷けば十分で、厚くてもライブロックを支えれる程度に抑えておくのがオススメです。
パウダータイプの砂は避ける
パウダータイプの砂は砂中の隙間がほぼ無いため通気性が悪いデメリットがあります。
通気性が悪くなると病原菌が繁茂しやすい環境になってしまいます。
さらに砂が軽いため、メンテナンス時や水流などにより舞いやすく病原菌もバラまきやすいという一面も持っています。
そのためパウダータイプの砂を使うことは避け、細目のサンゴ砂に変えることで病気がでにくい環境にすることができます。
砂を撹拌する生物を入れる
砂の通気性を確保するために砂を定期的に撹拌すると病原菌の温床となるのを解消できます。
手動で砂を撹拌するのは非常に手間となってしまうため、砂を撹拌する生物を入れて作業してもらいましょう。
パウダータイプの砂を使用したい場合も砂を撹拌する生物を入れることでパウダータイプの病原菌が溜まりやすいデメリットを解消することができます。
ナマコの仲間
最も強力に砂中の病原菌の温床を解消するのはナマコの仲間です。
ナマコの仲間は砂の撹拌だけでなく汚れや現病菌の温床そのものであるデトリタスを砂ごと食べ、デトリタスの無い綺麗になった砂を排泄します。
撹拌だけでなくデトリタスそのものを食べるため底床のトラブル解消に最適な生物です。
手入れの難しいパウダータイプの砂を使用している場合はナマコを入れることによって綺麗な砂を保つことができます。
ベントス食性のハゼ
砂ごと口に含んで口の中でエサと砂を分離するベントス食性を持つ魚を入れると砂を撹拌してくれます。
アカハチハゼやミズタマハゼはこのベントス食性をもっており、ベントスハゼとも呼ばれています。
ベントスハゼは主に表面の砂を掃除するためコケも付きにくくなります。
またダイナミックに砂を掘り起こすため、砂でライブロックを支えている場合は注意が必要です。
オニヒメブンブク
砂に潜って生活するオニヒメブンブクも砂を撹拌する生物のひとつです。
ゆっくりと砂中を動き回ってゴカイや有機物を食べて生活しているため砂を撹拌することができます。
ナマコは見た目が受け入れられないことも多く、またベントスハゼも大きく成長してしまうため、ナマコとベントスハゼの両者を受け入れられない場合はこちらのオニヒメブンブクがオススメです。
マガキガイ
コケ取りで有名なマガキガイも砂を攪拌する生物のひとつです。
砂に潜って休む性質があり微力ながら砂を攪拌することができます。
潜る厚さは2cmほどと浅いので、マガキガイに砂の攪拌を依存する場合は底床を浅くするのがポイントです。
関連海水水槽の底床・底砂について!生体に合わせた選ぶべきポイントとオススメの底床
硝酸塩濃度、水の汚れ
水の汚れである硝酸塩濃度が高いと魚の体力を継続的に奪ってしまいます。
体力が低くなると免疫力が低下しあらゆる病気にかかりやすくなるリスクがあります。
残念ながら水の汚れは目で見ることはできず、初心者は実は汚れだらけだったということもあり得ます。
海水魚のためには硝酸塩濃度:30~50ppm未満を維持したいところです。
1回測定してみようヨ!
硝酸塩濃度の測定を行う
水の綺麗さは測定してみなければ分かりません。
硝酸塩濃度測定キットを用いて一度水槽の硝酸塩濃度を測定しましょう。
詳しい使い方など:硝酸塩濃度測定キットのススメ!飼育できるサンゴや適切な水換えタイミングが分かる!
水の綺麗さを保つためには
水の綺麗さを保つためには換水頻度を高くするのが最も有効です。
もし測定して水槽内の硝酸塩濃度が50ppmを超えていた場合、換水頻度が足りていないこということになります。
またフンを水槽外に吐き出すプロテインスキマーを導入することでかなり水をキレイに保ちやすくなりますので、長期的に見るとプロテインスキマーの導入をオススメします。
関連海水魚の飼育にプロテインスキマーは必須?効果と必要性について解説!
まとめ
ひごろから病気が出にくい環境を心がけると魚の抵抗力もあがり、少しのことでは病気にかからなくなります。
私の環境では砂を入れ替えるという病気の起爆剤とも言える要因がありましたが、白点病になりやすいと呼ばれているキイロハギですら病気にかからなかったほどです。
病気の無い環境を目指すためのポイントを以下にまとめます。
- 水槽サイズは45cm以上が推奨サイズで、60cm以上になればだいぶ病気にかかりづらくなる
- 水通しの良いレイアウトとコントローラー付きのウェーブポンプで病原菌の繁茂場所である淀みを無くす
- 砂はパウダータイプのものは使用を避けて、薄く敷くのが良い
- 砂を撹拌する生物を入れることで病原菌の温床となるのを防ぐ
- 一度硝酸塩濃度を測定し、水が汚れていないかをチェックする
もし病気が頻発しているのならばまずは水槽サイズを疑ってみて下さい。
メンテナンス時に病気になりやすいのは砂か水流を見直してみると良いでしょう。
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