海水魚の水槽サイズについて!魚の数や初心者にオススメの大きさは!?
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海水魚飼育を始めようと思った場合、まず考えなければならないのが水槽サイズ及び水槽をどこに置くか?です。
水槽サイズによって飼育できる魚の種類や魚の数に上限があり、また他にも選ぶポイントがいくつかあります。
そんな水槽サイズの考え方や置き場所など水槽に関するあれこれを解説します。
またこれから始めようと思っている初心者にオススメの水槽サイズと飼育できる海水魚をご紹介します。
意外と飼育できる魚の数は少ない
飼育できる魚の数は水槽サイズに対して思ったより少ないのが海水魚飼育です。
例えば30cmキューブ水槽であれば数センチぐらいの小魚2~3匹が適切な飼育匹数だといわれています。
45cmでは3~4匹、60cm水槽になってやっと5~6匹飼えるくらいの少なさです。
水量あたり10Lあたり小魚1匹飼えるくらいが目安になります。
6,7cmぐらいのやや大きい海水魚を飼育しようと思った場合は数cmぐらいの小魚と比べると2倍ほど水を汚してしまうため、45cm水槽で飼育した場合は他には小魚が1,2匹かえるかどうかの少ない匹数になってしまいます。
初心者の方はもちろん、淡水で熱帯魚を飼育していた経験のある方も海水魚では想定外に少ないと思ってしまう少なさです。
だから海水魚は汚れに対する耐性を持ってないヨ!フンの量、つまり魚の数を抑える必要があるんダ!
水換えを多くやれば匹数は増える
より多くの魚の数を飼育するためには、より多くの換水を行うことによってカバーすることが可能です。
例えば1匹あたり1日1の量の汚れを出して、汚れが10の時点で換水を行うと仮定しましょう。
水槽に1匹だけの場合は10日後に換水が必要となりますが、5匹飼育した場合は2日後に換水を行うことによって対応が可能です。
もし多くの魚を飼育したいと思っている場合は換水を多くするのも手です。
人工海水のランニングコストがかかることに注意
しかし海水魚飼育においては換水に頼った飼育はオススメできません。
手間もかかりますし、換水する度に人工海水のコストがかかってきてしまうためです。
例えばレッドシーの人工海水「コーラルプロソルト 210L分」では大体4,000円ぐらいで販売されていますので、1リットルあたり19円かかる計算になります。
※大阪市の水道料金が1リットル0.1円程でしたので水道料金については無視しています。
30cm水槽の水量が約30Lのため1/3水換えするとして水換え1回10L、つまり190円のランニングコストがかかります。
これを先述した2日に1回行おうとすると月に15回、つまり2,850円にもなってしまいます。
30cm水槽という小さな水槽で算出しましたが、60cm水槽であれば月6,000円の出費にもなり、けっこうな出費となります。
水換え自体も手間がかかりますので、水槽に対して丁度よいとされる匹数に留めておくのがオススメではあります。
飼育したい魚の大きさ
海水水槽をはじめたいと思ったきっかけは1匹の綺麗な魚に心を奪われた、という方も多いでしょう。
そのような理由で始めたいと思ったのであれば、まず飼育したい魚がどれくらいの水槽サイズを必要とするかをチェックしましょう。
意外と大きくなる海水魚の例
海水魚の中には動きまわったり、成長が早くて大きな水槽が必要だったりするものが一定数いるのです。
人気のある魚であればファインディング・ニモに登場するドリー。
ドリーはナンヨウハギという名前の海水魚ですが大きくなると30cm近くにもなり、また成長も早く大きな水槽が必要な海水魚です。
ナンヨウハギの飼育には最低でも60cm(横60cm×縦36cm×奥30cm)水槽が必要で、将来的に寿命まで飼育することを考えると60cmワイド水槽(横60cm×縦45cm×奥45cm)は欲しいところです。
その他人気のある海水魚である程度大きな水槽を必要とするものは以下のような感じになっています。
「ツノダシ」、MAX:30cm、水槽サイズ90cm以上
「キイロハギ」、MAX:20cmm、水槽サイズ:45cm以上
「ハリセンボン」、MAX:30cm、水槽サイズ90cm以上
カクレクマノミに必要な水槽サイズ
最も人気のカクレクマノミは最大10cm程と小型の海水魚です。
さらにテリトリー及び水槽サイズに合わせて成長が止まるので小型水槽に向いた海水魚です。
30cm以上の水槽であれば飼育が可能で、共生するイソギンチャクも合わせて飼育したい場合は45cm以上の水槽がオススメです。
カクレクマノミは丈夫で飼育しやすく安価なことも相まって初心者にとてもオススメの海水魚です。
小型ヤッコや小型バタフライフィッシュに必要な水槽サイズ
小型のヤッコ類やバタフライの仲間は10cm程に成長します。
成長は遅めですが活発で動きまわる性質を持っているため45cm以上の水槽サイズが必要になります。
水槽が小さすぎると水温が安定しない
水槽が小さいと気温の影響を受けやすく水温を安定させることができません。
例えばコップの水を温めるのはすぐですが、ヤカンの水を温めるのは時間がかかってしまいます。
同じように小さな水槽だと夜の冷え込みがすぐに水槽に伝わり、また昼間の暑さもすぐに伝わってしまいます。
昼と夜で水温が大きく変動してしまうと魚の体力を奪ってしまい、病気になりやすくなり衰弱死してしまいます。
我々人間でも季節の変わり目や昼と夜の気温差がある場合は風邪をひきやすかったり体力を奪われたりする程で、布団・衣類や空調による自己調節が出来ない魚は想像以上のダメージがあります。
初心者ではまずは小さな水槽で試してみようと始める方も多いのですが、小さな水槽だと病気になりやすく失敗する可能性が非常に高いのです。
最低でも水量が30L以上ある水槽サイズがオススメで、できるだけ大きい方が病気などのトラブルが少ないでしょう。
60cm以上もあれば温度差により奪ってしまう体力はかなーり少なく抑えられます。
朝や晩の寒いタイミングと昼の暑いタイミングでできるだけ温度差が無いような水槽サイズが望ましいでしょう。
大きすぎても一度の管理が大変に
先ほどとは逆のことを言って申し訳ないのですが、初心者には大きすぎる水槽もオススメしません。
なぜなら一度の水換えやガラス面の掃除にかかる手間が多くなってしまうためです。
あまり時間をかけずにさっと終われるようなあまり大きすぎないサイズにとどめておくのが良いでしょう。
またそもそも大きいとフィルターや照明、ライブロックなどの設備も大きくなりますので初期費用も高くなります。
個人的には45cmぐらいのサイズがオススメです。
置き場所について
水槽に置き場所に合わせて水槽を選ぶのも手です。
リビングの空いたスペースや玄関、テーブルの上など置き場所をイメージしながら水槽サイズを選ぶと良いでしょう。
その際、水槽の置き場所にもポイントがありますのでご説明します。
直射日光が入らないこと
直射日光は思ったより非常に強力な熱を持っています。
日光があたってしまうと水温が急上昇して茹で上がってしまうほど。
サンゴや海藻に良かれと思って日光を取り入れようとするとほぼ例外なく失敗するので避けるのがベターです。
温度差があまりない場所が良い
先述した通り気温が変動しやすい場所はあまり適していません。
例えば玄関などは外の気温の影響を受けやすく夜の冷え込みは相当なものですので、小型水槽を玄関に置くのはオススメできません。
他にも温度差が大きい場所として窓の近くや風呂場、脱衣所などが挙げられます。
気温の変動が多い場所に置くような水槽は気温の影響を受けにくいある程度大きい60cm以上の水槽が良いでしょう。
振動があまり無い場所に置く
振動が無いかどうかも水槽を設置する際のポイントになります。
魚にとっては水槽を突かれただけで「ドンッ!ドンッ!」と大きい衝撃音が発生するようなもの。
これでは心休まることが無く、神経質になってしまい隠れて出てこなくなります。
過剰なストレスを与えることは病気の原因や体調不良にも繋がってしまいます。
ストレス死は人間だけでは無く魚にも起こり得ることです。
扉の近くや幼児の手の触れるところには置かないようにしましょう。
床には置かない
特に床は我々が歩く度に振動が水槽に伝わるため不適切です。
低い水槽台などを設置して床から直に振動音が伝わらないようにしましょう。
重さに耐えられる場所であること
水槽は重いため置く場所が重さに耐えられるかどうかもポイントです。
例えば30cmキューブ水槽では水が25リットル程入ります。
1リットルは約1kgですが砂や岩などを入れることを加味すると40キロほどは見ておいた方が良いでしょう。
小型の水槽であれば割と重量はありませんが大きい水槽、例えば60cm水槽であれば100kgぐらいの見積もりになるため相当重いということが分かります。
例えば玄関の靴箱の上は最も置きやすそうなポイントですが靴箱自体は重いものを想定していませんので100kgという重量には耐えきれない可能性が高いです。
メタルラックなどのラック類も置きやすいポイントですが許容重量はいくらまでかはチェックが必要です。
テーブルの上なども重いものは乗せれませんため小型水槽にするか、足の長さが調節できるテーブルであれば水槽台を下に置いてテーブル台を乗せるという使い方も出来ます。
王道は水槽台
一番適しているのは水槽台を設置することです。
水槽台は水槽を乗せるように設計されているため作りが頑丈です。
また扉がついているのもありフィルターや小さなバケツや餌を収納することができ、とても使い勝手が良いのでオススメです。
夜は照明が消灯するところがベター
これは海水というかサンゴ特有なのですが、気難しいサンゴを飼育する場合は規則正しい照明を行ってストレスの無いようにする必要があります。
夜間に水槽の照明としては消灯しているのにも関わらず、部屋の照明がついたり消えたりではサンゴが驚いて弱ってしまうことがあります。
水槽の照明に比べて部屋の照明はかなり弱いので影響は少ないのですが、一部の気難しいサンゴ(チョウジガイ系)はこれで弱ってしまうことも。
私は諦めて気難しいサンゴは飼育しないようにしていますので、そのようなサンゴの導入を避けるのも良いでしょう。
できれば水道の近く
水道の近くであれば換水などのメンテナンスを行う際に楽になります。
水道が遠いとバケツで運ぶ距離が増えるためやや面倒です。
すぐ隣であればそのまま排水溝に流すことや、浄水器をつけてそのまま水槽に直で注ぐようなことも出来ますのでメンテナンスは格段に楽になります。
鑑賞しやすい場所
上記をすべて満たすように設置しても鑑賞が出来なければ意味がありません。
鑑賞しにくい場所に設置してしまうと気軽に鑑賞できなくなり、飼育に対する意識、モチベーションを失ってしまいます。
モチベーションを失うと換水などのメンテナンスが苦行になってしまい、だんだんと飼ってるのが嫌になってしまうことに繋がってしまいます。
私は2Fにある水道場所から最も遠い3Fの自室に水槽を置いています。
水換えの時はバケツを持って階段を乗り降りしなければなりませんが、自室で気軽に鑑賞ができるためこれがベストだと思っています。
寝室やリビング、デスク横など気軽に鑑賞しやすい場所に設置して毎日鑑賞するようにしましょう。
魚やサンゴの環境を重視して本末転倒にならないようにネ!
初心者にオススメのサイズは!?
私が初心者にオススメする水槽サイズを紹介します。
ハイタイプの30cm水槽(横30cm×縦35cm以上×奥30cm)
30cmキューブ水槽(30cm×30cm×30cm)が手ごろで良いのですが水量が25Lほどと海水魚飼育にはやや物足りなさを感じます。
そこで30cm水槽のうち水槽の高さが35cm以上のいわゆるハイタイプと呼ばれる水槽がオススメです。
私が愛用している水槽は高さが40cmとなっていて34Lほどの水を入れることができ、30cmキューブ水槽と比べて水量の安心感があります。
ここまで水量が大きいと気温からの寒暖差による病気になりにくいです。
更に高さがあるため高さを生かした石の配置にすることで簡単に見栄えのする水槽を作ることが出来ます。
水が蒸発しても全体に対する水位が変わりにくいメリットもついています。
オススメのレイアウト
右奥または左奥にライブロックの塔を建てるレイアウトや、ある程度高くライブロックを持ってアーチ状のレイアウトにすると良いでしょう。
先ほどの画像のものはアーチ状のレイアウトになっています。
導入可能なオススメの魚
この水槽で飼育する魚は数cmぐらいの小魚を3匹までに抑えましょう。
数cmぐらいの小魚としては例えば「カクレクマノミ」、「シリキルリスズメ」、「ルリスズメダイ」、「デバスズメダイ」、「ハタタテハゼ」、「ハタタテネジリンボウ」、「イシガキカエルウオ」、「テールスポットブレニー」、「マンダリンフィッシュ」などがあります。
組み合わせの例としては「カクレクマノミ2匹と共生イソギンチャク 」、「ハタタテネジリンボウ+ランドールピストルシュリンプ(共生セット)と小型のスズメダイ」、「スズメダイ系3匹」、「カクレクマノミとハタタテハゼとイシガキカエルウオ」などなど・・。
30cmの小型水槽とはいえ様々な魚と組み合わせがありますので十分楽しむことができます。
高さもあって見栄えもイイ!
45cmレギュラー水槽(横45cm×縦30cm×奥30cm)
横45cm×縦30cm×奥30cmの45cmレギュラー水槽と呼ばれる水槽は程よく大きいサイズでオススメの水槽サイズのひとつです。
30cm水槽のものと比べて水量が1.5倍あるためより気温の変化による病気にはなりにくいため失敗しにくいサイズになります。
これくらいのクラスになると小魚を4匹もしく中型の魚1匹と小魚2匹が飼育可能になりますので、より海水魚選びを楽しめるサイズになります。
よく泳ぐ小型ヤッコや小型ハギも飼育できる水槽サイズになり、飼育できる魚の種類はぐっと増えます。
横幅もあり空間を広く使えるため魚の泳ぐスペースを広く取れるため解放感のあるレイアウトを作ることができます。
こちらも高さのあるハイタイプのものがあり、そちらもオススメできます
オススメのレイアウト
横に長いので写真のようなアーチ状のレイアウトがオススメです。
水槽の奥に行くほど高くなるようにライブロックを置くと奥行き感のあるレイアウトを作ることが出来ます。
「手前を低く、奥を高く」は多くの水槽で活用されるレイアウトの基本的なコツです。
飼育できる海水魚
45cmとなるとより多くの種類の海水魚が飼育できるようになります。
30cm水槽で紹介した海水魚は勿論のこと以下のような中型の海水魚が飼育可能になります。
小型ヤッコ類:「フレームエンゼル」、「チリメンヤッコ」、「ルリヤッコ」、「マルチカラーエンゼル」、「レモンピール」など。
小型ハギ類:「キイロハギ」、「パープルタン」、「ゴマハギ」
ハナダイ、ベラ系:「キンギョハナダイ」、「イエローコリス」、「スカーレットフィンラス」、「ニセモチノウオ」、など。
30cm水槽と比べて1.5倍もデカイ!
60cm水槽は?(横60cm×縦36cm×奥30cm)
60cm水槽も悪く無い選択肢です。
特に水量が60Lもあり30cm水槽の倍あるため、気温に対する変化も1/2に抑えられるため気温の変化が原因で病気になることはかなり少なくなるでしょう。
ですがやや規模が大きいため水槽にあった設備やライブロックを用意することを考えるとそれなりに費用が多くなってしまいます。
そのため先述した水槽サイズと比べるとオススメ度は低いです。
またこれくらいのサイズであればオーバーフロー水槽という2段式の水槽をオススメしたいところです。
海水魚飼育にはオーバーフロー水槽が設備などの面からとても適した水槽ですが、水槽だけでも5万円以上はするシロモノ・・・。
まずチャレンジしてみようと考えている初心者にはとてもオススメできる水槽ではありません。
そのため、まずは30cm水槽または45cm水槽でチャレンジしてみて、はまって水槽を大きくしたいと思った場合は60cmまたは90cmのオーバーフロー水槽がスペックアップとしてオススメの水槽です。
まとめ
水槽を選ぶポイントを以下に箇条書きでまとめました。
- 水槽の大きさに対して飼育できる海水魚は思った以上に少ない
- 目安は10Lに対して「小魚が」1匹飼える程度
- 飼育したい魚があれば必要な水槽サイズをチェックする
- 小さい水槽は気温の変化で病気になりやすいので30L以上ある水槽にする
- 初心者にオススメの水槽サイズは30cmハイタイプの水槽、または45cmレギュラー水槽がオススメ
- 水槽の置き場所は必ず直射日光を避けて鑑賞しやすい場所におく。振動があまり無い場所が良い。
水槽選びの参考になれば幸いです!
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