魚の数を増やしたくてマッドシステムを使ったリフジウムを作ってみた!
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45cmキューブで海水魚を買っているのですが入っている魚が8匹にもなり、キャパシティがパンパン・・。
でももっと魚を増やしたい!
そこでリフジウムを作って水槽のキャパシティを上げようと試みました!
本記事は「JUNの簡易オーバーフロー スレンダー」を利用したリフジウム立ち上げレポートになります。
現在の水槽状況の魚について
現状の水槽情報は以下の通りです。
水槽 | リーファーナノ(45キューブで水量105L) |
---|---|
浄化装置 | ベンチュリー式プロテインスキマー RLSS R5i |
タンクメイト | カクレクマノミ×2匹、ブラックオセラリス×1匹、クダゴンベ×1匹、テールスポットブレニー×1匹、ハタタテハゼ×1匹、キイロハギ×1匹、ロイヤルグラマ×1匹 |
45cmキューブ水槽に対して合計8匹となっており一般的にいうと「入れすぎ」の領域に踏み込みつつあります。
硝酸塩濃度
気づいたら硝酸塩濃度は4ppmをマークしてました。
最後のロイヤルグラマを追加した際に「水槽で処理できる汚れ<生体の排泄」になってしまったようです。
ロイヤルグラマを追加する前は2ppmを切ってたので硝酸塩が少しずつ蓄積してしまったようです。
ミドリイシを入れ始めたので3ppmは切っておきたいところ。
ミドリイシを諦めればこれでも十分システムが回っているんですが、やっぱり海水だしミドリイシやってみたくなるじゃないですか!
換水に頼りたくないので硝酸塩除去剤を投与し2ppmになりましたが、これからも魚を増やしたいと考えていましたのでリフジウムを作って植物に汚れを吸収させることを考えました。
リフジウムとは?
リフジウムとは「本水槽と接続された隔離水槽のひとつであり、海藻が繁茂した隔離水槽」のことです。
リフジウムには以下のようなメリットがあります。
- 気性が荒い魚やいじめられた魚を隔離することができる。
- 海藻に湧く虫やヨコエビを増やすことができるため、生き餌を供給できる
- 光合成により海藻に硝酸塩を吸収させること
などなど・・。
私が欲しいのはこの「光合成により海藻に硝酸塩を吸収させること」です。
水槽で処理できる汚れの量をパワーアップして「水槽で処理できる汚れ>生体の排泄」の状態に戻そういうのが狙いです。
リフジウムのベースにマッドシステムを
作成するリフジウムはそのまま海藻だけを設置してもよいのですが、マッドシステムをベースにします。
マッドシステムはEcosystem Aquarium®が提唱しているナチュラルシステムである「エコシステム」の一部であるミラクルマッド(Miracle Mud®)という泥を使った海水水槽のシステムのことです。
Miracle Mud® is a product of EcoSystem Aquarium®.
Miracle Mud is comprised of up to 80% oceanic mud, harvested from deep waters, and is then dried on land.
The remaining 20% is a formulation of minerals and trace elements that make Miracle Mud a true “MIRACLE.”
ミラクルマッドにより還元層を作り出し還元バクテリアにより硝酸を還元、そしてマッドからサンゴや海藻を活性化する各種ミネラル分が供給されるという仕組みになっています。
還元層は作り出すことは正直「ホンマかいな」と思いますが、各種ミネラルが供給されるのは面倒くさがりには嬉しいメリットです。
Ecosystem Aquarium®によるとマッドシステムだけで海水水槽を構築することも可能でスキマーも不要だそうですが果たして・・・。
リフジウム設備について
リフジウムの水槽は「JUNのスレンダー水槽」を使用します。
水槽の上に設置するタイプのガラス水槽でポンプで循環させることができるようになっており、簡易オーバーフロー水槽になっています。
リーファーナノはサンプへのダウンパイプが背面のオーバーフローボックスに収納されていますが、オーバーフローボックスは10cmも奥行きがあるため、その上にスレンダー450(奥13.5)を置けば光の遮断があまりないので相性がいいんじゃないかと考えました。
外部式フィルターを使ってないためポンプと接続用の穴が加工されたタイプ、「スレンダー450オーバーフローセット」にしました。
リーファーは縁が無いフルガラスの水槽なので設置用の「重ねらレール」も合わせて用意しています。
機材の加工と設置
実際に届いたスレンダー450をリーファーナノにセットしたところ配管とオーバーフローボックスが微妙に干渉して、右寄りになってしまいレールの突起に干渉してしまいました。
あと少し左によればレールに収まるんですがが・・。
メーカーの採寸表記ならギリギリアウトかセーフだと思っていましたがギリギリアウトだったようです。
傾いた状態で使うことも考えましたが8L+ミラクルマッドの重さを考えると均一にしておいた方が良いでしょう。
ボックス前に設置する選択肢もありますが、そうすると奥側は光を遮ってしまうので奥側にはミドリイシなどの光を必要とするサンゴが置けなくなってしまいます。
少し加工して乗せることにしました。
最初は手元にあるカッターやノコギリで切ろうと試してみましたがアクリルにはアクリルカッターが一番ですね。
アクリルカッターで切った後は紙ヤスリの120番→800番で切断面を平らにして完成です。
ピッタリ乗るようになりました!
オーバーフローによる発生する泡の対策
オーバーフロー水槽なのでそのまま使うとあふれた水が水槽に落下する際に空気と混ざってしまいます。
直下にウェーブポンプを設置しているためこのまま使用すると水槽内に泡が散乱していました。
対策のためホームセンターにいって配管を探し、L字にすることで水面に向かって排水するように工夫。
私の水槽ではウェーブポンプを水面に向けて水流を起こしているので泡が出てこないよう粗目のスポンジで前に出てこないように区切っています。
ミラクルマッドの量
Ecosystem Aquarium®によるとミラクルマッドは「1インチ」つまり「2.54センチ」の厚みで敷くようです。
思ったより薄いですね。
Level it to create an evenly distributed, 1-inch thick mud bed when packed down (at least 1 to 1.5 inches of dry Miracle Mud), to ensure adequate denitrification takes place.
引用元:Ecosystem Aquarium® ウェブサイトのMiracle Mud Set-up Instructionsページより
店頭で量を見てきたのですが数センチひくとなると2kgかなぁと思います。
ポンプ流量
Ecosystem Aquarium®によるとエコシステムにはポンプ流量が決められていますが本水槽では強力なプロテインスキマーを利用したベルリンシステムをベースにしていますのでまぁ弱めでも良いかなと思います。
スレンダー450に付属していたエーハイムのコンパクトオンをそのまま使います。
マッドシステムを海水水槽のベースシステムにする場合はきちんとした流量が決められていますのでご注意下さい。
照明
使い勝手の良い薄型LEDを使用しました。
使用したのは「GEXのCLEAR LED POWERⅢ 450」です。
薄型でそこそこ明るいLEDという位置づけの照明器具になっています。
ADAのアクアスカイなどがあればそちらのほうが海藻の成長は早そうですが、そこまでお金かけるのも躊躇しましたので様子見です。
リフジウムに入れる海藻について
一般的に日本のリフジウムでは「ウミブドウ」や「ホンジュズモ」が多く使われています。
ミラクルマッドの製造開発元であり、マッドシステム(エコシステム)を提唱しているEcosystem Aquarium®では以下のように示しています。
During the second week, add macro-algae (we recommend Chaetomorpha Caulerpa).
Tie the macro-algae and/or plant strands to small pieces of live rock or other rock, with fishing line.
Scatter the macro-algae/plant “rocks” over the MIRACLE MUD® bed.
We recommend that you prepare a minimum of 10 to 20 macro-algae/plant rocks to avoid a macro-algae/plant mass die off.引用元:Ecosystem Aquarium® ウェブサイトのMiracle Mud Set-up Instructionsページより
2週間目、海藻を入れます。(ジュズモ類、カウレルパ類がオススメです)
釣り糸を使って小さなライブロックまたはその他の岩に海藻をまきつけて下さい。
その海藻ロックをミラクルマッドの上に散りばめて置いて下さい。
密集して枯れ死しないように避けて、10~20の海藻ロック作ることをオススメします。和訳:犬水ジュン
ジュズモ類とカウレルパ類が推奨されています。
カウレルパ類と聞くと「なんのこっちゃ」ですが、「ウミブドウ」や「タカノハヅタ」が属しているグループになりますので特に特殊な海藻を使うようではないようです。
その後のレイアウトにも使えそうなのでカウレルパ類である「タカノハヅタ」と「ウミブドウ」を入れることにします。
砂を敷かないリフジウムの場合は「ジュズモ」の方がええかな?という気がします。
作成したリフジウム
完成したリフジウムがこちらになります。
照明が薄型で突起もないためぴったり収まってくれました。
一部の海藻は輸送や海藻ロックを作る際にダメージを受けていたようで白化が見られますがすぐに回復すると思います。
海藻はデリケートですね。
また夜間はメイン水槽に光が入らないように板材を置いています。
というか明るすぎて寝れない・・・。
真っ暗じゃないと寝れない人は四方を板で囲むなど対策しないとダメだと思います。
ずっと板材を置いたままでも別に良いんですが折角作ったので眺めたい(¬з¬)
20日経過後の様子
汚くなっていますがご覧の通り、すくすく育っています。
よく見るとヨコエビがわんさか湧いており、これだけでも小さな小魚が飼えそうでワクワクしますね。
驚いたのが照明が一番あたるポイントが白化してて海藻の調子が悪いということです。
中央部が最も照明が強く当たるエリアなのですが伸びているエリアをみると左奥、右奥のエリアで最も照明が当たらない部分なのです。
どうやら海藻の育成には照明が強すぎてはいけないようです。
コケ・海藻が減った
マッドシステムベースのリフジウムを設置しての実感ポイントですが、コケが全体的に減りました。
水槽前面のガラス掃除が3日1回から一週間に1回くらいに落ちています。
ただリフジウム設置前は茶苔はほぼ出ていなかったのですが設置後は微妙ーに茶苔が出るようになってしまいました。
どうやらミラクルマッドは微量ながらケイ素を含んでいるようです。
全体的に見ればコケの量が減ってるので良しとします。
厄介な海藻に効果大
特筆すべきはライブロックに生えた厄介な硬い海藻ですね。
こちらは進行が止まりました。
どうやらリフジウム側で栄養が吸い尽くされてしまい成長できなくなるみたいです。
水槽にはキイロハギも入れてるので仮に生えてきたとしても食われる量に収まっているようです。
サンゴについて
ナグラトサカのポリプが開きがとても良くなりました。
細かく繊細になっています。
どうやら栄養を求めてポリプを開いているようで、ミラクルマッドからの栄養に反応しているようです。
あとは気持ちミドリイシの成長率があがっているような気がします。
ミドリイシ類は添加剤やカルシウムリアクターがないと成長しませんが、ミラクルマッドは添加剤やカルシウリアクター代わりになるようです。
ただトランペットコーラルや他のサンゴは変わっていないため栄養もりもり!っていうわけでは無いようです。
気になる硝酸塩は!?
硝酸塩を測る前にスプリンガーズダムセルを2匹増やしてしまいました。
なので最初の時よりは生成される硝酸塩の量が多くなっています。
20日後に測定を行ったのが以下です。
硝酸塩濃度「0」です。
・・・・嘘やん・・。
念のためレッドシーのプロテストキットに加え、プロじゃない方のテストキットも使いましたがどうやらマジらしいです。
0は下げすぎです。0.25あたりは欲しいところ。
海水魚を増やしたいと思って作ったマッドシステムが海水魚を増やさないとヤバいレベルまでしてくれました。
近いうちに魚を増やしたいと思います。
結果の振り返り
マッドシステムをベースにしたリフジウムを作りましたが、かなーり効果を実感した結果となりました。
サンゴの栄養素としてはやや物足りないかなと思うものの、コケや海藻を抑止する能力、何より硝酸塩濃度の低下は強力です。
硝酸塩0は下げすぎ!しばらくはスキマーのポンプ弱めて対応したいと思います。
スレンダー450も水槽の上に設置する水槽という面白いアイテムです。
特にリーファーナノは奥側がパイプボックスになっているので非常にフィットしオススメの製品です。
今回はマッドシステムのサンプにしましたがメイン水槽では飼えないタツノオトシゴなどを飼育する、フラグマメスナの育成場所とする、余ったライブロックの保管、イソギンを試験的に置いてみる・・・などなど活用方法は他にもありそうです!
夢が膨らみます!
- 上部オーバーフロー水槽のスレンダーは色々使えそうな良アイテム
- マッドシステムを設置することで硝酸塩濃度はかなり低下した
- ミラクルマッドの栄養供給は個人的には物足りない
- マッドシステムを設置することで厄介な海藻の進行が止まった
もっと簡単にリフジウムを導入する!:サテライトでリフジウムを作ってみた!メリットやオススメの海藻など!
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この記事へのコメント
おはようございます。
いつもこちらのウェブサイトを参考にしております、初心者マリンアクアリウムのものです。
全く同じシステムで現在リフジウム水槽を立ち上げたばかりですが、
同様の問題に直面しております。
「オーバーフローによる発生する泡の対策」の部分で
Jun V2排出口部分にどのような対策を行ったか具体的に伺ってもいいでしょうか。
いまは付属L字排出口部分に粗目スポンジを詰めているだけのたいさくをしております。
配管は詳しくなく、今のL字からさらにL字(最終的には”U字”?)にして水面方向へと
対策されているように拝見いたしましたが、VP20の塩ビパイプとエルボー(20A)を組み合わせているようすでしょうか?
ホームセンターにはVP20のパイプは1mしかなく、短いのがみあたらず、、、。
上記2点そろえると、1000円超えのパイプも余ってしまい、他に良い方法がないか
ご教授いただければさいわいです。
以上。
宜しくお願い申し上げます。
>>1
おはようございます。
>今のL字からさらにL字(最終的には”U字”?)にして水面方向へと対策されているように拝見いたしましたが、VP20の塩ビパイプとエルボー(20A)を組み合わせているようすでしょうか?
ご推察の通り、L字パイプから更にL時のパイプをつけてU時にし、水面に向かって流すように工夫しています。
ただ単純なL時同士ではなく、「VP20?から小さいサイズVP16?へと変換するL時パイプ」と「VP20?のL字」を組み合わせています。
(図中で黒部分が変換L字部品です)
あとは排出口周りをあら目のスポンジで”横に”囲っています。
泡はどうしても出てきちゃうので出た後水槽に飛散しないように、詰めずに周りを覆って工夫しています。
こんな具合です!(≧Д≦)
いつも拝見させてもらっています。私もリーファーナノユーザーで同じようなシステムにしたいと思うのですが地震によるリフジウム水槽のズレなどは大丈夫でしょうか??よろしくお願いいたします
>>3
確定的なことはなんとも言えないトコロですが、リフジウム自体重いのとちゃんと平行を保ってるのでほぼ動かないです。
なので震度が低い揺れであれば大丈夫だろう、と感じます。
あとOF水槽を乗せるアクリルパーツ、片方削ってるので、左か右に壁があるとなお安心かなと思います。
(そうすれば前面以外にはズレてこないので!)