水槽における硝酸塩とは?害や濃度が高い時の対策など
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魚の排泄はフィルターなどによる浄化で硝酸塩という物質に辿り着きます。
硝酸塩は水の汚れそのもので、水換えを行う一番の理由。
そんな金魚や熱帯魚のアクアリウムにおける硝酸塩について、発生の仕組みや魚への害、測定方法、減らす方法などを解説していきます。
硝酸塩とは?
魚から出る排泄物は「アンモニア」というとても毒素の高い物質になります。
アンモニアはバクテリア(ニトロソモナス)の働きによって、より毒素の低い「亜硝酸」となります。
更に亜硝酸はバクテリア(ニトロバクター)の働きによって、更に毒素の低い「硝酸塩」になるのです。
フィルターおよび濾過装置にはこのバクテリアが多く定着しており、毒素の高い排泄物を毒素の低い硝酸塩へと変換するのです。
つまり排泄物がフィルター(バクテリアの働き)によって、低毒素化されたものが硝酸塩なのです。
熱帯魚、金魚への害
元々のアンモニアに対し、硝酸塩はかなり毒素の低い物質とはいえ毒であることは変わりません。
蓄積されれば毒素の濃度が上がります。
蓄積された硝酸塩は魚の体力を奪い、病気になりやすくなったり、寿命が減るなどの害があります。
意図的に硝酸塩が高い状態にして熱帯魚(テトラ類)を多く飼っていたことがありましたが本来の寿命2~3年に対し、半年ほどしか生きることができませんでした。
飼育する魚により許容量というのは変わりますが、理想的な1つの目安としては50~100ppm(mg/L)あたりでしょうか。
汚れに強い魚ほど許容量は大きくなり上記を超えても支障がないこともありますが、繊細な魚ほどダメージが大きくなります。
汚れに強い魚でも、全く問題ないように見えて実は寿命が削られていることも有り得ますので、できるだけ低いことが望ましいのは間違いありません。
そもそも本来棲んでいる自然環境では僅かしか検出されないのです。
特にサンゴには重要
特にサンゴは水の汚れに非常に弱く、20ppm(mg/L)は切らないと明確に弱ります。
この硝酸塩がほぼ0(1ppm)じゃないと飼育できないサンゴもいます。
サンゴを飼育する際は定期的な測定を行って問題が無いかどうかを確認することが重要です。
硝酸塩の測定について
硝酸塩濃度を測定するにはメーカーより販売されている試薬形式の測定キットが一番オススメです。
アクアショップやペットショップなどで入手することができます。
上記は水槽立ち上げ時に役立つ亜硝酸も測定できるタイプになります。
試薬に対し、紙を水に浸すだけで使用できるペーパータイプの試験キットもあります。
ペーパータイプは精度ムラ、数値の読みづらさ、コストなどが劣っていますがおおまかな目安や取っ掛かりとしては良い製品です。
サンゴのような水質にデリケートな生物になるにつれ定期的な測定が重要になりますので、試薬形式のものであるべきでしょう。
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硝酸塩濃度が高くなる原因
先述したとおり硝酸塩のもとになるのは魚の排泄のため、魚が大きい・数が多いほど排泄量が増えます。
魚の食性が肉食魚だったり、よく食べる魚であればフンの量が増えるのでそれだけ硝酸塩が増加するスピードを早めます。
水換えすれば溜まった硝酸塩を吐き出すことができますが、水換えまでの期間が長いとその分硝酸塩が蓄積するので硝酸塩濃度は高くなってしまいます。
要約すると魚が大きいまたは魚の数が多く、水換え頻度が少ないと要注意です。
硝酸塩濃度が高い時はどうする?
溜まった硝酸塩を下げるために最も有効な手段は「水換え」です。
単純に綺麗な水と入れ換えることで硝酸濃度を下げることができます。
定期的な換水を行い、硝酸塩濃度が高くなりすぎないように保つことが飼育の基本になります。
強力なフィルターを設置しても硝酸塩は減らない
フィルターはアンモニアを硝酸塩に変えることにより水を浄化する装置のため、硝酸塩自体を処理することはできません。
そのためいくら強力・オーバースペックなフィルターを使ったところで硝酸塩を減らすことはできません。
フィルターを設置したら水換え頻度が伸びるといわれるのはアンモニアを処理することができるためです。
しっかりバクテリアが繁殖していれば毒素の高いアンモニアはすぐに硝酸塩となって結果的に毒素濃度が下がるため、換水までの期間が伸びるのです。
このため排泄量に対し一定以上のレベルのフィルターを設置していれば、フィルターとしてはそれが限界なのです。
水草による吸収もあるけど僅か
また硝酸塩は水草が栄養として吸収するため、水草を植えれば硝酸塩を除去してもらうことができます。
ただし水草による硝酸塩の吸収は少なく、水草が多く繁茂した60cmの水草水槽でやっとネオンテトラ10匹ほどの硝酸塩を処理することができる程度です。
強い照明と二酸化炭素を添加し、成長の早い水草でないと吸収量はごく僅かなので過度な期待は禁物です。
魚中心の水槽に水草を数束植えたところではほぼ効果はありません。
海水だと硝酸塩除去剤もある
また海水だと硝酸塩を処理するバクテリア(嫌気性バクテリア)も多く繁殖させやすく、それらを活性化する硝酸塩除去剤というのもあります。
使用する上で元々ある程度低い濃度であることやプロテインスキマーの設置が必要ですが、有効に使えば硝酸塩を0にすることもできる優れたアイテムです。
関連意外とエコな海水水槽の硝酸塩除去剤とは!?仕組みや効果など!
まとめ、個人的な所感
フィルターおよびバクテリアによる浄化により魚の排泄から出るアンモニアは硝酸塩になります。
毒素の高いアンモニアをすぐに硝酸塩になるように適切なフィルターを設置することがまず重要なのですが、硝酸塩はアンモニアに対しかなり毒性が低いとは言え毒であることは変わりないので、換水を行って吐き出すこともまた必要になります。
いくら大きなフィルターを設置していようが、生体の排泄量に対して適切な頻度で水換えしないと寿命が削られ、短命になってしまいます。
排泄量、つまり魚の数・大きさに対して適切な換水を行うことが飼育の基本ですね。
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この記事へのコメント
誤字があるため、修正をしていただけると助かります。
>1
どこですかッ!?教えてくださいッ(゚Д゚;)
水換えによる吸収 → 水草による吸収 だと思います
>3
ホントだ・・・。ありがとうございます!!(_ _ )
ためになりました