砂利・底砂の種類と選び方
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熱帯魚の用品コーナーにいくと様々な砂利・底砂が販売されており初心者であれば何を買えばいいのか判断がつかないと思います。
ソイル・大磯砂・サンゴ砂など底砂の種類はいくつかありますが、それぞれに特性があり魚種や飼い方によっては選んではいけない組み合わせが存在します。ただ単に色や形だけで選んでしまうと失敗してしまうこともあります。
アクアリウムで用いられる底砂の種類と選び方をご紹介します、
底砂の種類
ショップに並んでいる底砂は以下の種類に大別することができます。
- 砂利・砂系
- サンゴ砂
- ソイル
- セラミック製
- アクセサリー系
種類によって特性がありますので、それぞれ解説していきます。
砂利・砂系
岩や砂利などを採集してきた石由来のタイプで、粒を選別して揃えたり砕かれているものになります。
自然素材で出来ているため見た目が自然になり、最も利用されている底砂だと思います。
岩系の素材になりますのでカルシウム成分が溶け出し水質が「弱アルカリ性」に傾きがちです。
使い始めは特に傾きやすいですね。
どの程度「弱アルカリ性」に傾くかは素材によっても異なり、全く水質に影響しない底砂もあります。
【例えば】
大磯砂:弱アルカリ性
川砂:やや弱アルカリ寄りの中性
砂浜の砂:弱アルカリ性
また長期間の使用によって溶けだす成分は減少していくので、「弱アルカリ性」に傾く性質は弱くなっていきます。
- 素材によって異なるが「中性」~「弱アルカリ性」の水質
サンゴ砂
サンゴの死骸を砕き、底砂に加工したものです。
水質を「弱アルカリ性」に傾むける特性が強いことが一番の特徴。
弱アルカリ性を好む魚にとっては棲みやすい環境にすることが出来ますが、飼育できる魚・水草は限られてしまいます。
また多孔質という特性があることもポイント。
これはどういうことかというと、目には見えない小さな穴が多く空いており、濾過バクテリアが多く棲みつくことができます。
その結果濾過能力を底上げすることが可能であり、濾材としても使用することが可能なほどです。
白くて初心者がついつい買ってしまいがちですが、水質を「弱アルカリ性」になることに注意が必要です。
弱アルカリ性は多くの魚が好まないためやや取扱いの難しい水質です。
- 水質を「弱アルカリ性」にするが、それを好む魚は少ない
- 多孔質素材で濾過能力が高い
- 濾材としても使用が可能
ソイル
栄養を添加した土を焼き固めたものになります。
イメージ的には園芸で使用する土を固めたものに近いですね。
水質を「弱酸性」に傾ける性質を持っています。(一部の製品は「中性」に傾けるものもあります。)
そのためアマゾン川の熱帯魚をはじめとし弱酸性を好む魚にとって棲みやすい環境にすることが出来ます。
弱酸性の強軟水しか受け付けず育成が難しいとされているチョコレートグラミーもソイルでは容易に飼育することができます。
ソイル一番の特徴として水草育成に必要な栄養を多く含んでいるため水草育成に最適。
殆どの水草水槽は底床材にソイルを使用しており、綺麗な水草水槽を目指す場合はソイルしか選択肢がないと言っても過言ではありません。
今までは育成が難しいとされていた水草もソイルの登場で比較的楽に育成させることが可能になりました。また土であるため濾過バクテリアも棲みやすく濾過能力の底上げに貢献します。
ただし土であることはデメリットでもあります。
メンテナンス及び水洗いなどが出来ず再利用が効きませんし、長く使っていると形が崩れ泥のようになってしまい一定期間で交換する必要があります。
交換周期は1,2年程が目安で、また砂をほじくり返すような魚も飼育不可になります。
導入直後は栄養成分が多く溶け出す場合があり、使い始めは水質が不安定になる場合も。
商品にもより、最初から安定するものありますが、およそ2週間程は水槽を空回しする方が安全かもしれません。
使い始めに栄養が多く溶け出す製品は落ち着くまで毎日換水して、水中の栄養濃度が高くなり過ぎないようにしないとコケまみれになってしまいます。
このように水草水槽であればソイル一択と言われる程良い環境をもたらしますが、半面扱いが難しく初心者には失敗してしまうリスクの方が高いのがネックです。
ただし取扱いが難しいので注意!
- 製品にもよるが水質を「弱酸性」にする
- 植物の育成に必要な栄養分があり水草水槽に最適
- 多孔質素材により濾過能力が高い
- 使用してくると粒が崩れ交換が必要。再使用・水洗いもできない。
- 砂を掘り返す魚は飼育不可
- 取扱が難しく、失敗するとコケまみれになりやすい
関連ソイルの選び方や種類、使い分けなど。初心者にオススメなのは?
セラミック
ソイルと同じく土を焼き固めたものですが、こちらは崩れないほどガチガチに焼き固めたものです。
そのためソイルと違い形が崩れたりはせず丸洗いも可能。
反面水草に必要な栄養もほとんど供給しません。
とはいえ砂利系と比べると水草育成に向いているでしょう。
多孔質であるという特性も持ってるため、濾過能力の底上げが可能です。
着色されてカラフルなものも販売されており、カラーバリエーションが多彩であるということも特徴です。
素材が土であるため弱酸性に傾ける性質を持ってはいるものの、ガチガチに固めてあるためほとんど影響は与えません。
- 多孔質であり濾過能力が高い
- 水質への影響はほとんど無いか、僅かに弱酸性に傾く程度
ガラス・アクセサリー系
ガラスなどの素材で出来たものです。ビーズのようなものもや、ビー玉の小さいタイプもあります。
何よりも透明感があり、キラキラ綺麗・幻想的で、他の砂利には無い見た目の良さがあります。
ただし表面がツルツルしておりバクテリアが棲みづらいので、浄化能力があまり無いというデメリットがあり、熟練者からは避けられがち。
弱酸性や弱アルカリ性に傾けるような水質の作用はありません。
綺麗な底砂ではありますが、底砂は濾過能力も兼ねているため初心者にはあまりオススメしない底砂です。
- 水質作用は無いが、濾過能力も無い
底砂種類の機能表
それぞれの砂利と特徴を表にまとめると以下のようになります。
種類 | 水質の維持 | 濾過バクテリアの居住量 | 水草の栄養 | 再利用 | 砂利・砂系 | 中性~弱アルカリ性 | 並 | 無し | 可 | サンゴ | 強めの弱アルカリ性 | 多い | 無し | 可 | ソイル | 弱酸性 | 多い | 有り | 不可 | セラミック | 様々 | 多い | あまり無い | 可 | ガラス系 | 無し | 少ない | 無し | 可 |
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底砂の選び方
以上を踏まえて初心者に合った底砂の選び方を紹介します。
水質と合うか
一番重視するのは水質作用です。
魚によって適応する水質というのは異なり、例えばネオンテトラなら弱酸性~中性、グッピーなら中性~弱アルカリ性の水質を好んでいます。
底砂は水槽の水質のベースとなりやすいので、飼育する魚の水質に合わせて考える必要があります。
例えばネオンテトラは弱酸性の水を好みますが、正反対の弱アルカリ性にするサンゴ砂は相性が悪いのです。
ネオンテトラであればソイルが最もよく、セラミックなども適しています。
生体にあった砂利を選択することが第一に考えるポイントです。
本格的な水草水槽か
本格的な水草水槽の場合はほとんどソイルになります。
水草を育成する点においては他の砂利ではソイルに敵いません。
ただし、ソイルは扱いが特殊であるため熱帯魚ビギナーであれば他の砂利のほうがオススメではあります。
最初からソイルを使ってコケまみれにしてしまい失敗したビギナーは多くいます。
そもそも育てる水草の種類さえ選べばソイル以外でも育成することは十分可能であるため、水草ではなく綺麗な熱帯魚を飼いたいと思って始めたのであればソイル以外の砂利がオススメです。
関連ソイルの使い方。水槽への入れ方や手入れ、種類の使い分けとか
粒の形・大きさ
種類とは少しズレますが粒の大きさも選ぶ上でのポイントです。
細かすぎると砂利掃除が面倒に
粒が細かいものは掃除する際にホースに吸い込まれやすいので手入れが面倒です。
パウダーは避け、ある程度大きい小粒サイズにしておいたほうが掃除はしやすくなります。
ただし、あまりに粒が大きい圧迫感があり、美観を損ねてしまうので程々に。
砂を掘る魚は細かい方がよい
砂を掘ったり潜ったりするタイプの魚は掘れるような細かい砂の方が適しています。
加えてあまり尖っていないものであれば理想的。
掘る・潜る本来の生態を観察することができ、魚にとっても良いですね。
底面式フィルターの場合は細かすぎないものを
底面式フィルターを使用する場合、細かいパウダーや超小粒のものは詰まりやすいため避けた方が良いです。
フィルターのスリットに入らないような小粒が適しています。
初心者にオススメの底床材は?
初心者にオススメなのは砂利・砂系とセラミックです。
それぞれデメリットがほぼ無く、取扱いが簡単なので使いやすいのが特徴です。
更にそんなに水質を傾けないので割りとどのような熱帯魚でも飼育が可能というのもオススメの理由ですね。
砂利は自然な感じを演出できますし、セラミックは浄化能力が高いので好みで選ぶと良いでしょう。
ちなみに他のものをオススメしない理由は以下の通り。
ソイル:上級者向けで必要な手入れが多く失敗しやすい
サンゴ砂:アルカリ性を好む魚は少ない。アルカリ性の魚でまとめる場合はオススメ。
ガラス:浄化能力が悲しい
以下のものはセラミックです。
まとめ
底砂には様々な種類がありますが、一番重要なのは水質作用です。
飼いたい魚の水質を把握して合った水質の底砂を選びましょう。
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この記事へのコメント
低床の説明って初心者には非常に重要ですよ。
このページだけ読むとセラミックが1番良いと思えてきます。
でもセラミックを使った事があって書いてるんじゃなくて理屈だけで書いてるでしょ。
セラミックのデメリットは
・多孔質なんで蓄積する
・洗っても取れないから、永遠に苔の原因になる
・セラミック自体に苔が付きやすい、そしてとても目立つから汚い
2年位で交換前提なら良いと思いますよ。
人気サイトなんで嘘を書かないで下さい。
使った事無いから知らんて書けば良いじゃんカス!!
2018/05/14 犬水ジュン:表現は丸く・見やすく編集させていただきました。原文のまま掲載できず申し訳ございません。
カスめでございます。
小さい穴に入り込むことで汚れが蓄積するのは仰る通りだと感じます。
セラミックと耐久性について今一度自分の考えが正しいかを再検討致しました。
その中で身近に多孔質として最も良く使われるものとして「多孔質濾材」があることに気づきました。
これらバクテリアの住居として作られているためセラミックよりもより汚れが溜まりやすいと考えます。
しかし濾材の洗浄をしなくても性能差を感じず使えているのが現状で、
検索エンジンにより多孔質濾材の交換についても調べてみましたが定期的に交換する習慣は無いようでした。
(交換するタイミングとされているのは粒が割れてしまった場合が多い)
確かに粒が詰まってしまうことによるデメリットは理論上あるような気がしますが、
体感的には性能差を感じたことはなく、小さい穴に汚れが蓄積することは気にせず良いと結論しました。
性能が落ちるのは指摘通り正しいとは思いますが、わざわざ新品に交換するほどでも無いと考えます。
よって同じく多孔質素材である砂利のセラミックにおいても交換は不要であると結論しました。
(コケが目立つというのは良く分かりませんでした)
個人的にも「NISSOの崩れないソイル(サムネのやつ)」、とあと1つ
底砂種類の機能表のコリドラス・シュワルツィが2匹写ってる写真の茶色いやつ
(名前忘れました_:(´ཀ`」 ∠):恐らく濾過一番サンドのような気がしていますが・・・)
の使用経験がありますが掃除していないから特別コケが生えやすいということは感じられませんでした。
とはいえ絶対的に私が正しいとも思っておらず、
匿名様の言う方が正しい可能性も十分考えられますので、多孔質と劣化については頭の片隅に入れたままにしておきたいと思います。
余談ですが濾材の洗浄も砂利の洗浄もほとんどしない飼育スタイルが理想的と感じており、
私の飼育論のベースになっています。(もちろんケースバイケースですが)
これは想像ですが匿名様は砂利とフィルターの清掃・水換えベースの飼育で長年経験を培ってきたのではないかと思い、
その経験から「これは違う!」とご指摘いただいたのではと思い、そう思うと考え方は違えど尊敬せずにはいられません。
ご指摘により、自分の理論を一度立ち止まって考えることができました!
どうもありがとうございました!