アピストグラマ・ビタエニアータの特徴・飼育情報
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アピストグラマ・ビタエニアータ
気をつけたい
弱酸性 | 中性 | 弱アルカリ |
---|---|---|
◎ | △ | ✕ |
主な特徴
「アピストグラマ・ビタエニアータ」は細身のボディと身長する背びれ、ライヤーテールの尾びれが特徴的なアピストグラマです。
特に成長した個体のフィンスプレッディングは非常に美しく見事なため、最も美しいアピストグラマとも評されます。
当然ながら熱帯魚愛好家からの人気はとても高く、アガシジィ・カカトゥオイデスに並んで最も人気のアピストグラマの1つと言えるでしょう。
産地バリエーション
ビタエニアータは採取産地によるカラーバリエーションの幅が大きく、いくつか代表的なものを紹介します。
カレイロ
「カレイロ」はブラジルのCareiroという地域周辺で採取されたとされるビタエニアータです。
ヒレの青のカラーリングと黄色が美しいのが有名な産地で、日本では最も人気のある産地バリエーションの1つ。
(威嚇するとヒレの青は紫色に変化します)
ビタエニアータは主にブラジルかその西側の国であるペルーから自然採取されたものが入荷しますが、ブラジル産のビタエニアータはペルーのものと比べてひと回り小さい傾向があり、オスで6cmぐらいが目安です。
ナナイ
「ナナイ」はペルーのナナイ川周辺で採取されたとされるビタエニアータです。
身体上部に紫が入る個体群が代表的で、これもまた代表的なビタエニアータの産地バリエーションの1つ。
ナナイもそうですがペルーから来るビタエニアータはブラジルから来るビタエニアータとくらべて一回り大きい傾向があり、うまく育てれば8cmほどに成長してとても立派になります。
ワイルド個体は流通名が同じでも、シッパー(および採取漁師)や採集地が異なると色彩が異なるアピストグラマが来ることがあります。
「この産地名でくるのはあの色彩を持つものが多い」という傾向はありますが、同じ産地名で売られていてもタイミングによっては産地イメージと異なるカラータイプのものが販売されるのも普通にありますので、この点は留意しておきましょう。
混泳・性格
温和なシクリッドで混泳に向いています。ただし同じシクリッド類の魚とはケンカする傾向があります。
シクリッド以外の魚に関しては大体無関心ですので、ネオンテトラを始めとする小型テトラやラスボラ、コリドラスなどとの混泳は全く問題ありません。
同じシクリッド類の熱帯魚とはテリトリー争いを行う傾向があるため注意します。
殺し合うほどではありませんが逃げれるような大きな水槽を用意したり、遮蔽物を置いたりして工夫する必要があります。
メスへのあたり
アピストグラマはオスがメスをいじめる傾向がありますので注意します。
ビタエニアータは比較的メスと仲良くやるタイプのアピストグラマではありますが、相性が悪いとメスを虐げる部分がありますので観察は必須です。
様子を見て流木など遮蔽物を追加したり、より大きな水槽にしたりする必要があります。
エサ
エサは何でも食べます。最も適しているのは沈下する人工飼料です。
一般的に売られている熱帯魚のエサはだいたい沈むのと、慣れてくれば浮かんでいるエサも取りにくるので割りと熱帯魚のエサであれば大体OKです。
オススメは粒状の沈下するエサで、具体的な製品名をあげれば「コトブキのフライミックス 小粒~中粒」、「どじょう養殖研究所のグロウ C」、「デルフィスのデルフレッシュフード SM」などがよく使われています。
飼育ポイント・注意点
飼育は難しくありませんが、弱酸性の水質を好むためソイルを使ったりする工夫が必要です。pHが高くなったり清潔さが失われたりすると調子を崩しますので気をつけましょう。
ネオンテトラやゼブラダニオのような入門熱帯魚と比べ、基本が出来ていないこと(アンモニアが検出される。水質変化が激しい等)による耐性がありませんので、魚がちゃんと飼えるような環境を用意する必要があります。
その上で水質は弱酸性を要求するので、ソイルを使ったり水換え量を調節したりしてpHが高くならないように注意を払う必要があります。
数値的にはpH5.0~6.5ぐらいが目安で、理想6.5~6.0を目標にして飼育すると良いでしょう。
実際にはソイルを使っていれば水質面は特に問題ないことが多いのですが、最初のうちは水換え後、水換え数日後、水換え直前などのタイミングでpHを測定しておくのがオススメです。
衛生管理の重要性
アピストグラマの飼育において、特に注意が必要なのが単純な清潔さです。
底砂などに沈殿するフン・ゴミなどを長期間放置するとそこから病原菌が多く発生し、これにより病気になって死ぬことがアピストグラマに限らず小型シクリッドでは多い死因です。
そうならないように定期的な底砂の掃除とフィルターが目詰まりしない程度のメンテナンスが重要になります。
(特にスポンジフィルター+ソイルのコンボはフィルターが詰まりやすい)
良い水槽環境ができていると長時間放置していても問題ないこともありますが、ふとしたきっかけ(大換水・底の汚れの巻き上げ)でいっきに調子を崩すリスクがあるので過信は禁物です。
ソイルを使った水草水槽の場合は底床の掃除ができませんが、「外部式フィルターなどの流量の多いフィルターを使って水通しを良くする」、「週1の定期的な換水」などで清潔に保つよう心がけましょう。
水草を植えない場合の底床は”極薄に敷く”のが、メンテナンスしやすくオススメです。
繁殖
繁殖は容易で、産卵セットを組めば十分繁殖を狙うことが可能です。
洞窟状の狭くて暗い場所に卵を産む「ケーブスポウナー」であるため、産卵場所になりそうな流木か、100均などで売られている小さな植木鉢を割って産卵場所を用意しておきます。
産卵場所があって状態良く飼育できていればそのうち産卵に至りますが、他に魚がいるとストレスで食卵してしまうので基本的にはペアのみを水槽に入れるのが望ましいです。
(ごく少数のオトシンクルス、エビ程度であればそこまで障害になりません。もちろん本当にペアのみにするのがベターですが)
産卵から稚魚浮上まで
暗くて狭い場所に産むため基本的には卵を見ることはできませんが、産卵した場合メスの黄色・オレンジがひときわ強くなり産卵場にこもりっぱなしになるのでそれを目安とします。
産卵後5日頃に稚魚が巣穴から出てきてエサを探し始めるのでそのタイミングで与えられるように予めブラインシュリンプを用意しておきましょう。
稚魚のエサやり回数は朝・晩の2回が最低ラインと思って、できれば1日に何度も与えるようにするのがベターです。
その後しばらくはブラインシュリンプが主食になりますが、成長にあわせて砕いた人工飼料や冷凍アカムシなどを交えていきます。
なおオスは稚魚の保育に関与しないのと保育中は逆にメスから攻撃されがちになるため、可能であればどこかのタイミングで取り出しておくとベターです。
個人的な所感
ビタエニアータは超定番アピストグラマの1つで、人気アピストグラマの第一軍。
アガシジィ、カカトオイデス、ボレリィときたら次はビタエニアータですね。(異論は認める)
人の手で繁殖された「ブリード」ものが流通するアガシジィ・カカトオイデスと比べると、こちらは現地採取されたワイルドものになりますので水質面はちゃんと弱酸性をキープする必要がありますが飼育自体は容易種です。
現在では簡単に弱酸性にできるソイルを底床に使うことが当たり前になりましたし、入門アピストとしてもオススメできます。
ビタエニアータは体色、ヒレの豪華さもそうですが体も細身系でスレンダーさがあり、さっき上であげた3種と比べるとまた違った雰囲気で好きな人にはたまらないアピストグラマでしょう。
なお明るい底床だと体色が白飛びしてしまうので、色がしっかり引き出される黒いソイルや黒い底砂で飼育するのがオススメです。
体型が崩れやすいアピストグラマ
スレンダーさは人工飼料をメインに飼育していると、富栄養により体高が高くなって失われやすいということは覚えておいた方が良いです。
スレンダーさも含めて魅力を感じているのであればエサを絞りつつ、適度な水流をあててある程度運動させたりする必要があります。
しかしながらそういう工夫をするのはアピストをある程度飼育できて初心者を抜けたぐらいのレベルになってからがオススメとも言えます。
なぜなら下手にエサ減らしてしまうと体力が落ちてやせ細って死ぬ場合もあるといえばあるので、まだビギナーの段階であれば気にせずマッチョ化させたほうが飼育はしやすいでしょう。
ビタエニアータらしい細身体型にこだわりを持っている愛好家はビタエニアータらしい体型を保ちつつ大きくしているので、慣れてくるとそういう意識を持って飼育に取り組んでみましょう。
(繁殖も容易なので累代繁殖させていろいろ試してみると良い)
小さい個体の雌雄ミスがある
あとビタエニアータは小さいサイズだとオスとメスの判断が難しいアピストグラマだということを紹介しておきます。
ある程度大きくて性差がハッキリしていれば良いのですが、2~3cmぐらいの小さいメスがペアとして売られているのは要注意。
オスは尾びれの上下端が伸びるためオスを間違うことはないのですが、メスだと判断されたものが「後から尾ビレが伸長してオスだった」というのは結構あります。
ショップでは卸から仕入れる際、基本的に雌雄差がしっかり出ているものから仕入れます(それか送ってもらう)ので基本的には大丈夫なのですが、たまーに「これメス確定でいいんかな??」というのを目にするのも事実。
(これはどちらかというと小さいショップよりも大型ショップで目にすることが多い。小さいショップだと店長がしっかりチェックするからだと思われ)
ビタエニアータはブリードされたものが売られることはなく基本的に野生採取されたワイルドものですので、信頼できるショップを見つけておくと心強いですね。
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