アピストグラマ ヴィエジタ “スーパーレッド”の特徴・飼育情報
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アピストグラマ ヴィエジタ(スーパーレッド)
気をつけたい
弱酸性 | 中性 | 弱アルカリ |
---|---|---|
◎ | ◎ | ✕ |
主な特徴
「アピストグラマ ヴィエジタ(スーパーレッド)」は改良品種のアピストグラマ。
コロンビア産のアピストグラマを元にヨーロッパで何代にも渡って赤が強くなるよう品種改良されてきたアピストで、そのヨーロッパから日本へ輸出されたものが熱帯魚ショップに並んでいます。
水槽内で長らく累代繁殖されていたことから野生採取された”ワイルド”もののアピストグラマと比べて飼育がしやすく、アピスト入門にも最も向いたアピストグラマの1つ。
赤の強さ・面積によっては「エクストリーム レッド(Extreme )」など、より赤が拡張されたバリエーションも流通することもあります。
なお販売名は「アピストグラマ ヴィエジタ」として売られていますが、本来の「アピストグラマ・ヴィエジタ(Apistogramma viejita)」種より「アピストグラマ・マクマステリィ」種の方が外見的に一致するため、愛好家の間ではアピストの種としては「アピストグラマ・マクマステリィ」もしくは「マクマステリィとヴィエジタとのハイブリッド」とされています。
混泳・性格
温和なシクリッドで混泳に向いています。ただし同じシクリッド類の魚とはケンカする傾向があります。
シクリッド以外の魚に関しては大体無関心ですので、ネオンテトラを始めとする小型テトラやラスボラ、コリドラスなどとの混泳は全く問題ありません。
シクリッドですので同じシクリッド類の熱帯魚とはテリトリー争いを行う傾向があるため注意します。
殺し合うほどではありませんが逃げれるような大きな水槽を用意したり、遮蔽物を置いたりして工夫する必要があります。
なおアピストグラマはオスがメスをいじめる傾向がありますが、本種はメスへのあたりが少なく比較的メスに優しいアピストグラマです。
エサ
エサは何でも食べます。最も適しているのは沈下する人工飼料です。
一般的に売られている熱帯魚のエサはだいたい沈むのと、水槽内では浮かんでいるエサも取りにくるので熱帯魚のエサであれば大体OKです。
オススメは粒状の沈下するエサで、具体的な製品名をあげれば「コトブキのフライミックス 小粒~中粒」、「どじょう養殖研究所のグロウ C」、「デルフィスのデルフレッシュフード SM」などがあります。
飼育ポイント・注意点
特別なことはほぼ必要ないのですが基本は抑えておかないと失敗しやすいです。また清潔さが失われたり、pHが7.5以上になってしまうと調子を崩すのでこの点は注意します。
ネオンテトラやゼブラダニオのような入門熱帯魚と比べ、基本が出来ていないこと(アンモニアが検出される。水質変化が激しい等)による耐性がありませんので、魚がちゃんと飼えるような環境を用意する必要があります。
水質面では改良品種のためワイルドアピストとくらべて水質範囲が広いですが、それでもpH7.5以上の高pHは飼育に適しません。
pH的には5.5~7.0、理想6.5前後が目安ですがpH7.5以上でなければ概ねOKです。
pHをあげない砂・ソイルどちらも使用可能ですが、地域・時期によっては水道水がpH7.5やpH8.0が測定される場合がありますので、その場合は底床にソイルを使った方が調子は維持しやすいでしょう。
衛生管理の重要性
アピストグラマの飼育において、特に注意が必要なのが単純な清潔さです。
底砂などに沈殿するフン・ゴミなどを長期間放置するとそこから病原菌が多く発生し、これにより病気になって死ぬことがアピストグラマに限らず小型シクリッドでは多い死因です。
そうならないように定期的な底砂の掃除とフィルターが目詰まりしない程度のメンテナンスが重要になります。
(特にスポンジフィルター+ソイルのコンボはフィルターが詰まりやすい)
ソイルを使った水草水槽の場合は「外部式フィルターなどの流量の多いフィルターを使って水通しを良くする」、「週1の定期的な換水」などで清潔に保ちましょう。
水草を植えない場合の底床は”極薄に敷く”のが、メンテナンスしやすくオススメです。
繁殖
繁殖は容易で、産卵セットを組めば十分繁殖を狙うことが可能です。
洞窟状の狭くて暗い場所に卵を産む「ケーブスポウナー」であるため、産卵場所になりそうな流木か、100均などで売られている小さな植木鉢を割って産卵場所を用意しておきます。
産卵場所があって状態良く飼育できていればそのうち産卵に至りますが、他に魚がいるとストレスで食卵してしまうので基本的にはペアのみを水槽に入れるのが望ましいです。
(ごく少数のオトシンクルス、エビ程度であればそこまで障害になりません。もちろん本当にペアのみにするのがベターですが)
産卵から稚魚浮上まで
暗くて狭い場所に産むため基本的には卵を見ることはできませんが、産卵した場合メスの黄色・オレンジがひときわ強くなり産卵場にこもりっぱなしになるのでそれを目安とします。
産卵後5日頃に稚魚が巣穴から出てきてエサを探し始めるのでそのタイミングで与えられるように予めブラインシュリンプを用意しておきましょう。
稚魚のエサやり回数は朝・晩の2回が最低ラインと思って、できれば1日に何度も与えるようにするのがベターです。
その後しばらくはブラインシュリンプが主食になりますが、成長にあわせて砕いた人工飼料や冷凍アカムシなどを交えていきます。
なおオスは稚魚の保育に関与しないのと保育中は逆にメスから攻撃されがちになるため、可能であればどこかのタイミングで取り出しておくとベターです。
個人的な所感
ヴィエジタ スーパーレッドは改良品種ならではの飼育しやすいことに加え、温和なマクマステリィ・ヴィエジタが元になっているのでメスへのあたりも比較的なく、初心者に最も適したアピストグラマの1つだと思います。
飼育しやすく人気のアピストグラマといえばアピストグラマ・アガシジィが有名ですが、個人的には「ヴィエジタ スーパーレッド」、あと「ボレリィ」、「カカトゥオイデス」はメスとの協調性が高いのでよりアピスト入門にオススメです。
なおヨーロッパから来る改良品種アピストは強烈に色揚げされているようで、ヴィエジタ スーパーレッドも水槽で飼育していると段々と赤が薄くなってくる傾向があります。
写真の個体は色が抜けきった後の体色で、店頭のものと比べると「ぅーん色ずいぶん抜けてるなぁ~~」と実感します。
飼育して赤の色味が薄くなってしまったのであれば色揚げ効果のあるエサを与えてみると改善できますが、色揚げ効果があると書いてある熱帯魚のエサ程度では元の色ほど強力には戻りにくいのも事実。
親がめちゃくちゃ赤くて綺麗だった個体でも子供をとってみて育ててみると親とくらべて赤がショボい魚になるので、ヨーロッパ業者の色揚げ技術には凄いの一言です。
(一体何で色揚げしてるんだ!?!?)
ヴィエジタで売られているのにヴィエジタではない
コロンビア系アピスト愛好家の間ではよく言われる話ですが、アピストグラマ ヴィエジタとして販売されているのにアピストグラマ・ヴィエジタではないという罠?があります。
EUブリードのヴィエジタ スーパーレッド(以下ヴィエジタレッド)は実際的には「アピストグラマ・マクマステリィ」もしくはそれとヴィエジタ種とのハイブリッドになります。
これは人によって難しい例えですがコリドラスでいうところのコリドラス ジュリーみたいなものです。
(あれはハイブリッドかトリリネアータスだということはコリドラス愛好家なら周知の事実)
元々アピストグラマ・ヴィエジタというのは図鑑には載っていたものの、長らく輸入がなくマニア待望のアピストグラマでした。
その「ヴィエジタ」のネームバリューに業者は目をつけ、ヴィエジタという名前で販売したのがこの改良アピストグラマであります。
このあたりは愛好家によってヴィエジタレッドがマクマステリィではないか?と確信を持っている人は少なかった印象ですが、後にコロンビアからホンモノのヴィエジタが普通に輸入されるようになり、その”リアルヴィエジタ”と”マクマステリィ”そして”EUブリードのヴィエジタレッド”を比べると、多くの愛好家が「やっぱり違うよね。ヴィエジタじゃなくてマクマステリィだ。」という見解に。
今ではEUブリードのヴィエジタレッドは”マクマステリィ”もしくは”マクマステリィ×ヴィエジタのハイブリッド”であるという認識の人が多くなりましたが、少なくとも純粋なヴィエジタ種でないのは確かと言えるでしょう。
なお愛好家だけではなくショップ側でも「これもうマック(マクマステリィ)じゃん」ということでヴィエジタの名前を使わず、マクマステリィとして売っていることもあります。
とはいえマクマステリィとヴィエジタは同じコロンビア系のアピストで非常に似ているため、アピスト愛好家でもコロンビアアピストをたしなんでいるアピスト愛好家じゃないと中々違いが分かりにくいものですが・・・。
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