キフォティラピア・フロントーサの飼育情報。混泳や飼育ポイントなど!
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キフォティラピア・フロントーサ
簡単
弱酸性 | 中性 | 弱アルカリ |
---|---|---|
○ | ◎ | ◎ |
主な特徴
「キフォティラピア・フロントーサ」は青白い体に複数本の黒いバンドが入るアフリカ産のシクリッドです。
東南アジアで大量に養殖されている代表的な熱帯魚であり、日本においても安定的に安く入手することができます。
最も流通しているタイプでオスが25cmほどと大きくなりますが、メスは15cmほどとかなり小柄です。
成長すると頭部にコブが発達していき、大きな個体ほど立派なコブを持つようになります。
バリエーション
本種はいくつかのバリエーションが知られていますが、代表的なものを紹介します。
ブルンディ(一般流通タイプ)
アフリカのブルンジ国のロカリティとされるのが「ブルンディ」です。
最も大きくなるフロントーサで知られ、自然下では30cmを超えることが知れており額のコブも最も大きく成長します。
東南アジアの養殖フロントーサはこのブルンディが元になっているため、東南アジア産の一般的なフロントーサをブルンディと呼ぶこともありますが、東南アジアはロカリティに対して無頓着で、交雑は平気でやるためブルンディの純血性は疑わしいことは注意が必要です。
(稀に来るヨーロッパブリードのブルンディとは微妙に形質が違うと思われます)
7バンド(キゴマ)
一般的なフロントーサは縦のバンドを6本持ちますが、バンドを7本持つバリエーションが「7バンド」です。
バンドの変異は本数だけではなくバンドが目の下に大きく広がり、逆にオデコの部分は乗りません。
その他背ビレに入る黄色も発色が強いことや頭部のコブがあまり発達しないことから、一般的なフロントーサとかなり異なる印象を受けるバリエーションと言えます。
7バンドで最も有名な産地が「キゴマ」であるため、7バンド=キゴマとされることもありますがキゴマ以外にも7バンドのロカリティは存在するのと、アジア圏で養殖されたものがインボイスの段階でキゴマではなく7バンドと表記されたりすることから7バンド=キゴマとするのはやや不適切です。
なお通常のフロントーサは黒いバンドが横に広がってバンド同士が繋がることも多いのですが、7バンドのタイプは黒白の均等がとれバランスよく黒バンドを持つ傾向にあります。
ザイールブルー
「フロントーサ ザイールブルー」と販売されるキフォティラピアです。
古くから青みが強いフロントーサのバリエーションとして知られていましたが、本バリエーションは2003年にフロントーサではなく同属の「ギベローサ種」に分類されました。
本サイトでもザイールブルーはキフォティラピア・ギベローサとして紹介していますので、より詳しい内容は以下の別記事をご参照下さいませ。
混泳・性格
サイズの割に温和なシクリッドで、混泳に向いています。
見た目が厳つい熱帯魚でありますが、シクリッドの中では(大きさの割には)非常に温和です。
自分より小さいシクリッド類・アナバス類に対しては近づいてきたら軽くいなす程度で収まりますので、混泳させる場合は他魚の方に気を使うべきでしょう。
なお口が思ったより大きく魚食性がありますので、食われない程度のサイズ感は抑えておきましょう。
同種同士の混泳
幼少期はテリトリーもほぼ持たないので特に気にしなくてもOKです。
成長すると小競り合いを始めますが噛み合いのケンカになることはまずなく、酷くてもヒレがバサバサになるくらいなので「危ないな」と思ったら配置換えをしてみたり水槽を移動してみたりする余裕があります。
これは1つの目安ですが90cm水槽であればアダルトでも5匹程度なら十分収容が可能です。
(理想は90cmにオス1メス2~3ぐらい)
エサ
選り好みせず何でも食しますが、沈下性の顆粒状フードが適します。
エサはそれなりに何でも食しますが、元々水深の深いところに生息しているため浮上性のエサよりかは沈下性の方が適します。
具体的な製品としては「テトラ ディスカス」が「沈下性」「高嗜好性」「良消化吸収」と揃っており、そこそこ安くてオススメです。
小さいうちはテトラミンなどの一般的な熱帯魚のエサでもOKですが、大きくなってくると顆粒状の方が食い傾向があります。
飼育ポイント・注意点
非常に丈夫な熱帯魚です。pHの降下し過ぎには注意が必要です。
非常に丈夫な熱帯魚で基本的に魚を飼える最低限の設備さえ整っていれば飼育可能です。
ただし換水頻度がフン尿の量にあってないこと等によるpHの降下し過ぎには弱いのでこの点だけ注意しましょう。
水質
アフリカンシクリッドは弱アルカリ性の水質が基本ですが、フロントーサはpH6.0程度の弱酸性であれば普通に耐えるほど水質の融通範囲が広いです。
フン・尿の量にあわせて適切に換水してさえいれば特に難しいことは無いでしょう。
ただpHが5.0台と非常に低い値になってしまうと「肌に艶がなくなる」「白いニキビが出る」「食欲が低下する」等の症状が現れますので早急な対応が必要です。
ろ材にカキ殻やサンゴ砂を入れると安定して高pHを維持できるので、それらを用いれば水質面に気を払うことはなくなります。
水槽サイズ
一般的なタイプはオスで大体25cmほどになりますので、大きくして楽しみたいのであれば90cm水槽が適します。
ただフロントーサは水槽サイズ・魚の密度によって成長がかなり抑圧される魚のため、60cm水槽などでも楽しむことは十分可能です。
成長は非常に遅いことから、最初は30cmや45cm水槽で始めてみるのも良い選択肢です。
(90cm水槽でもフルアダルトになるまでは環境にもよりますが5年はかかります)
個人的には60x45x45の60ワイドと呼ばれる大きさが(フロントーサをメインにするなら)最低限そこそこ格好よく楽しむことができるかなと思います。
繁殖
当サイトでは十分なデータがありません。一般的な範囲で触れておきます。
産卵形態
フロントーサは主にメスが卵を口に咥えるマウスブルーダーです。
産卵直後から口で保護しますが、孵化後もヨークサックが吸収されるまでしばらくの間は口で稚魚を保護します。
口から出てくる段階の稚魚はかなり大きく、初めからブラインシュリンプを余裕で食べられるため稚魚の育成は容易です。
YOUTUBEに産卵動画がありますので紹介しておきます。(ギベローサものですが)
東南アジアで多く養殖されていることとマウスブルーダーであることから繁殖は容易と考えられますが、親魚を育てるには年数がかかることと繁殖行動が行えるほどの大きな水槽が必要なことは繁殖のポイントとなるでしょう。
その他・補足情報
7バンドが元祖?
実は記載論文には一般的なブルンディタイプでは記載されておらず、7バンドのタイプがフロントーサとして記載されていると聞いたことがあります。
そのため海外のマニアでは7バンドタイプがfrontosa種で、6バンドの一般的なやつは「sp. “North”」として扱われることがあります。
この辺のフロントーサかフロントーサじゃない問題は論文で度々議論が行われていますが、最終的には「検証したが7バンドも6バンドも同じフロントーサで、それらはモルフの違いに収まる」という論文が出て、その見解で落ち着いている印象です。
(まぁフロントーサは1906年とかなり古い時代に記載されたので色々と議論の余地があったわけです)
魚食性はあるが・・・
本種は夕暮れ時などで「キプリクロミス」などの小魚を食べに来ることが確認されており、水槽内でも「多分食わないだろう」というサイズの魚でも食うことがあります。
ただ率先して襲うということはなく先述した「キプリクロミス」や「クセノティラピア」など、隠れることなくウロウロしている魚を、数日~2週間かけて少しずつ食べるという感じでした。
逆に小さくても「ジュリドクロミス」など岩場にスッと隠れるやつは全く食べなかったので、食べる魚食べない魚は意外とハッキリしています。
まぁそもそもメインはエビ食性だと思うのでその点からも魚食性はあまり無いのでしょう。
岩場レイアウトを是非組みたい
非常におしゃれな魚なので飼育の際は是非岩場を組んでレイアウトするのがオススメです。
まことにありがたいことに現地動画はYOUTUBEで沢山見ることができるので、それを参考にして考えてみるとよいでしょう。
海外のフロントーサ兄貴はでかい水槽でモルタルを使って岩場を作ったりするらしいのですが、私もいつかやりたいなと考えています。
あと植木鉢や爬虫類のシェルターをおいておくと、好んで身を隠すため隠れ場所はあったほうが落ち着くようです。
マリンボーダーのタンガニーカ湖シクリッド
この美しいマリンボーダー模様を持つ魚は同タンガニーカ湖に複数種いることが知られています。
上にあげたやつらは10cmちょいなので「フロントーサの模様、好きなんだけど25cmはちょっと・・・」と踏みとどまっているなら、それらもオススメです。
ただ性格的にはフロントーサの方が温和で非常に混泳させやすく狭い水槽だと成長も抑圧がかかることから、個人的にはフロントーサの方をオススメしたいところではあります。
(特にトレトケファルスは荒かった・・・)
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