レッドファントムテトラの特徴・飼育情報

レッドファントムテトラ

学名
Hyphessobrycon sweglesi (Géry, 1961)
他の販売名
大きさ目安
4cm
飼育難易度

簡単

適応水質
弱酸性中性弱アルカリ
水温目安
22~29℃(普通の熱帯魚)
繁殖難易度
狙える
性格
注意点あり
遊泳タイプ
中層を中心にゆったり遊泳
群れやすさ
条件があえば群れる。自分よりデカい魚がいるとビビって群れでまとまりやすい。
価格目安
200円~800円

目次

主な特徴

「レッドファントムテトラ」は透き通った赤い体色が特徴の熱帯魚。

昔から定番の熱帯魚として知られますが、その透け感のある赤色は緑の水草に絶妙にマッチし、水草水槽が定番となった現代においても非常に人気があります。

本種は東南アジアで養殖されたものと、現地で採集されたワイルドのものが流通します。

ワイルドもののうち赤味が強い赤いものは「ルブラ」と名前が付き、やや高価ながらも最もメジャーなタイプです。

赤味が強い「ルブラ」という名称に留まらず、レッドファントムテトラには様々なタイプがあり、背びれに模様が入らないもの、背ビレが伸長するもの/しないもの等いろいろ混在しています。このため図鑑で見た魚と販売名が一致しないことも多いのでこの点には注意が必要です。(詳しくは末尾後述)

YOUTUBEの動画

YOUTUBEで掲載されているアップロード動画の中から、魚の種類があっていて特徴が分かりやすいものを紹介します。

混泳・性格

平和主義で混泳相手は選びませんが、フィラメント状のヒレはかじる性質があります。

基本的には温和で同種・他魚ともにケンカをけしかけませんので、混泳相手は選びません。

ただし細くヒラヒラしたヒレを食う性質がありますので、例えば「コンゴテトラ」や「コリドラス スーパーシュワルツィ」などのフィラメント状に伸びるヒレはエサと思って齧られます。

ケガさせることはありませんが、美しいヒレは損ねてしまうのでその点だけ注意して下さい。

なおオス同士でヒレを広げて威嚇することはありますが、威嚇止まりでケガすることは無いです。

エサ

エサはえり好みせず、何でも縦横無尽にバクバク食べます。気にする必要なし。

エサは一般的に売られているエサであれば、どのエサであろうが何でもバクバク食べます

水面に浮いているエサであってもシュバッと取りに来ますし、底に沈んだエサもついばんで食べます。特に気にしなくても大丈夫です。

飼育ポイント

丈夫な熱帯魚であり、飼育で特に気にすることはほぼ無いです。

丈夫で体力のある飼いやすい熱帯魚です。どのような水質でも雑に管理しようが普通に飼育できます。

強いて言えば入門魚の中では白点病にかかりやすい印象を持ちますので、季節の代わり目や他の魚を導入してしばらくは体表をよく観察しておくとベターでしょう。

白点病のベタ・ユニマクラータ
体に白いツブツブが付着していたら要注意!

繁殖

十分狙えます。親は稚魚やエサを食べるので、繁殖のための専用水槽が必要です。

東南アジアで養殖されたレッドファントムテトラの場合、日頃から定期的に産卵を行っております。

ただ親は産んだそばから卵を拾って食べるため、繁殖するためには卵を即回収するか専用水槽で産卵させた後親魚を取り出す必要があります。

以下は近縁種のブラックファントムテトラの繁殖例を示しますが、方法としては全く同じです。

繁殖水槽での産卵例

ブラックファントムテトラの繁殖水槽の例

上記は繁殖水槽の例で、「スポンジフィルター+底に鉢底ネット」という簡素な繁殖セットです。鉢底ネットを敷くことで底に落ちた卵を食べられないようにします。

本来は藻場・水草場などの茂みに産卵するため、ウィローモスなどのモサモサした塊があると繁殖行動や受精率のアップなどが見込めます。ただ養殖されたものであれば特になくとも受精卵が得られます。

メスだけを隔離して抱卵した状態に育てておき、繁殖水槽でオスと一緒にすれば数日のうちに卵が確認できるでしょう。(メスは抱卵するとお腹が膨れるのでそれを見て隔離して育てます)

産卵確認後は親魚と鉢底ネットをのけてそのまま繁殖水槽で育成するか、小さなプラケなどにうつして育成を行っていきます。

卵の孵化まで

卵の孵化はとても早く1日で孵化します。

孵化までの注意点としてカラシンの卵は非常にカビやすいため、産卵直後から段ボールなどで覆って真っ暗にしたり、産卵中・産卵後しばらくはマラカイトグリーン(アグテン)やメチレンブルーなどの防カビ薬を投与しておくのが有効です。

無事孵化すれば水面底に(ビックリした時に)キビキビ泳ぐ稚魚が見られるようになります。

孵化から最初の摂食まで

孵化後しばらくはお腹についたヨークサックで栄養をまかないます。

5日程度で孵化したばかりのブラインシュリンプを摂食し始めますので、そのタイミングで孵化したばかりのブラインシュリンプが与えられるようあらかじめ準備しておきましょう。

ブラックファントムテトラの孵化後3日目の稚魚
孵化後3日目の稚魚そろそろ孵化直後のブラインを食べ始める

この時の注意点として、孵化して1日も経ったブラインはデカすぎて食えませんので孵化直後のブラインシュリンプを与えられるかどうかが非常に重要となります。ハッチャーは必ず複数台稼働させて下さい。

ブラインシュリンプの摂食から稚魚の育成

1ヶ月ほどはブラインシュリンプのみで育成します。

1ヶ月前後ぐらいから「ひかりプランクトン」などの稚魚フードや、刻んだ赤虫を与えていき生育させていきましょう。

赤虫や人工飼料を与え始めると食べ残しで水が非常に汚れますので、底面をスポイトで吸い出していきましょう。

なお水が汚れすぎると病気で死んでしまうため、同時に毎日~数日に1回:1/10ほどの微量な水換えも意識していきます。(個体密度が高ければもっと早期から水換えが必要です)

2ヶ月になる頃には体高も出てきて、親魚のフォルムになります。そうなれば親と一緒の育成方法で構いません。

その他・補足情報

色揚げが非常に有効な魚

単なる「レッドファントムテトラ」では赤味が弱い茶色い個体の方が一般的なのですが、エサによる色揚げで「ルブラ」と呼ばれるタイプと同等クラスに赤くすることが可能です。

以下は茶色のレッドファントムテトラをエサによる色揚げを行った結果です。

目安としては色揚げ用のエサを1ヶ月ほど与えると赤色に変化していき、2ヶ月も与え続ければルブラ並に赤くなります。

上記個体で色揚げに使用したエサは「咲ひかり金魚 艶姿」です。

エサによる色揚げ方法は特集記事がありますので、是非そちらを御覧ください。

いくつかのタイプが存在

販売名は同じ「レッドファントムテトラ」ですが、本種にはいくつかのタイプが混在しています

タイプとしては「ルブラ」は認知度が高い名称ですが、赤いかどうかだけで付けられる傾向があるのでルブラとそれ以外で区別するのは早計です。いくつかのタイプを実際に示しますね。

養殖モノ

養殖モノのレッドファントムテトラ

東南アジアで大量に養殖されており、コーナンなどのホムセン等で数百円で売られているタイプです。

飼い込むと体高が出てきて、マッチョ化するのが特徴です。通常養殖個体は小型化する傾向がありますが、レッドファントムテトラにおいては養殖の方がデカくなりますね。

入荷時茶色かったりしますが、レッドファントムテトラは色揚げすればどの個体でもルブラ並に赤くなります

ルブラに混じる養殖のレッドファントムテトラ
ルブラに混じる養殖のレッドファントムテトラ。全然赤くなる。

店で色揚げ効果のあるエサを与えていて、1~2ヶ月以上キープされているならルブラ並に赤くなってるので、高価なルブラである必要性はあんまりありません。

写真のものは背びれに模様が入らないタイプですが、模様が入るタイプがあったり、背ビレが伸びるタイプがあったりと、養殖でもいろんなタイプが混在していますが、どれも体型がマッチョ化する傾向があります。

一般的なワイルドタイプ

レッドファントムテトラ(コロンビア ワイルド)

ルブラではない「THE レッドファントムテトラ」といったタイプで、養殖モノよりスレンダーに育ちます。背びれに模様があり、背びれはあまり伸びないのが一般的です。

入荷時の赤味はイマイチですが、赤味が控えめなことにより奥が透けて見えやすいのでこれはこれで美しいタイプかと思います。

とはいえ色揚げを行えば1~2ヶ月ほどでルブラ並に赤くできるので、個人的にはルブラよりだいぶん安いコイツはかなりオススメです。

一般的なルブラのタイプ

レッドファントムテトラ ルブラ

入荷時の時点で体色が赤いのがルブラの特徴ですが、多くのルブラは背びれに模様があり、背びれはあまり伸びないタイプです。

値段は先述したタイプより3~4倍もしますが、入荷時の時点で既に赤いので色揚げ用のエサを与える必要が無く、最初から赤味を楽しめるのが良いですね。

背びれが伸長するタイプ

背びれが伸長するタイプのレッドファントムテトラ

レッドファントムテトラは背ビレがそんなに伸びないのが一般的なのですが、たまに背びれが長く伸長するタイプが入荷されることがあります。
(ブラックファントムテトラのような伸長する背びれを持つ)

「レッドファントムテトラ買ったんだけど背びれが伸びません・・・メスですか??」と言われることがありますが、レッドファントムテトラは背ビレはそんなに伸びないタイプの方が普通です。

背びれが伸びるタイプが欲しい場合は、背びれが伸びるタイプのレッドファントムテトラを見つける必要があるということです。

背びれが伸び模様が入らないタイプ

体色がかなり赤く、背びれも伸長するタイプのレッドファントムテトラ

上記は背びれが伸長し、かつ背びれに模様が入らないタイプです。こちらも販売名は同じ「レッドファントムテトラ ルブラ」でした。

昔の図鑑だとこのタイプが紹介されていることが多く、これぞTHEレッドファントムテトラというイメージを持つ人も少なくないのですが、現状はこのタイプの方がレアです。

上のような個体が欲しい場合は、ルブラを定期的に入荷してくれるショップにそれなりに通う必要があります。個人的には10回に1~2回はこのタイプかなぁと思います。(ルブラ自体入荷量が多いので全く手にはいらんということは無いのですが・・・)

ルブラの中の激赤タイプ

ド赤いタイプのレッドファントムテトラ ルブラ

「レッドファントムテトラ ルブラ」と販売されている中には、更に赤味が強い個体群が存在します。

店員さんに聞いたら「今回のルブラはめちゃくちゃ赤いです!」とか教えてくれるやつで、店によっては「激赤タイプ!」や「レッドファントムテトラ ルブラ ”リアル”」など区別して売る場合もありますが、基本的には「ルブラ」の名称で販売されますね。

普通のルブラであれば茶色い個体でも色揚げで同等にできるのですが、このタイプの赤さはエサによる色揚げだけでは到達できないので、狙って購入する意義があると思います。

さてこんな感じで様々なタイプが同じ「レッドファントムテトラ」もしくは「レッドファントムテトラ ルブラ」の名前で販売されていますので注意して下さい。

お店の発注や卸の段階ではどのタイプが来るかは分からんので、定期的にルブラを入れている店をチェックする必要があります。

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