オトシンクルスの特徴・飼育情報。食べるコケなど。
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オトシンクルス
難しい
弱酸性 | 中性 | 弱アルカリ |
---|---|---|
◎ | ◎ | △ |
主な特徴
「オトシンクルス」は吸盤状の口を持つ3.5cmほどのナマズの仲間です。
コケ取りとして最も人気がある熱帯魚で、現在ではあらゆる水槽に入れられるほどの定番熱帯魚。
吸盤状の口で水槽内で最もよく生える「茶ゴケ」を食べ、小型で水槽内で目立たないことから水草水槽では非常に重宝されます。
体色は白をベースに背中側がグレーで体の横には黒いラインが入るのが特徴ですが、輸入ロットによっては同じ「オトシンクルス」と販売されていても微妙に模様や体型に差異が見られることがあります。
オトシンクルスと並ぶコケ取りとして「オトシンネグロ」という魚も人気でありますが、それと明示的に区別するため「並オトシン」と呼ばれることもあります。
食べるコケの種類
茶ゴケ |
A
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糸ゴケ, アオミドロ |
D
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緑のスポット状コケ |
–
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黒ひげ状コケ |
–
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藍藻, シアノバクテリア |
–
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短くフサフサのコケ |
–
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オトシンクルスが食べてくれるのは「茶ゴケ」になります。
茶ゴケはガラス面や水草につく柔らかい茶色のコケであり、ライトがあたっている水槽では必ずといっていいほど生える厄介なコケです。
同じく代表的なコケ取りであるヤマトヌマエビやミナミヌマエビなど、エビが食べれないガラス面を掃除してくれるため、エビ+オトシンクルスは水草水槽の定番コンビと言えるでしょう。
食べるのは茶ゴケ含め手で簡単にはがせる柔らかいコケだけなので、水草を食害してしまうこともなく安心です。
茶ゴケ以外は食べないことに注意
ただしオトシンクルスが食べれるコケは茶苔(とその他柔らかいコケ)だけなので、それ以外のコケには効果が無いことには注意しましょう。
水槽では他にも緑の糸状の「糸ゴケ, アオミドロ」、濃い緑でベタァとへばり付く「藍藻, シアノバクテリア」、硬い「黒ひげ状のコケ」、壁についた「硬い緑のコケ」などのコケも生えますが、これら全てオトシンクルスは食べません。
ショップではコケ取りとして真っ先にオススメされることも多いですが、上記コケを対処したいのであればオトシンクルスでは不可能です。
オトシンクルスは小さくて水槽の美観を損ねないということも含めて人気なため、単純なコケ取り性能だけでいうとブッシープレコなどのコケを食べるプレコが非常に優れています。
混泳・性格
温和な魚であり混泳にとても向いた魚です。
同種とも他の魚とも争うことは無いため、問題なく同居させることが出来ます。
ただ大きな魚に飲み込まれた場合ピンと硬いヒレを張って口の中で抵抗するため、食べた魚の喉に刺さって口が詰まり両者とも死ぬ恐れがあります。
食べられそうな中型~大型魚との混泳はより避けて下さい。
エサ
藻類のみの食性ではなくどちらかというと雑食性で柔らかいコケも食うといった食性であるため、必要に応じて熱帯魚用フードも与える必要があります。
オトシンクルスに与えるエサとしては熱帯魚用フードのうち沈下性で食べれる大きさのものが適しています。
例えば粒の小さいグロウ【下の】や、粒の小さいデルフレッシュフード、またコリドラスフードを砕いて与えるのも良いしょう。
なお素早い魚と混泳している場合、エサにありつけないことがあるため注意が必要です。必要に応じてオトシンクルスを別水槽に移動して管理できればベターです。
飼育ポイント・注意点
販売されているものは輸送ダメージで弱っているものが多くどうしても一定数は死にます。一度落ち着きさえすれば丈夫な方と言えますが、コケが無くなると餓死しやすいことには注意しましょう。
入荷後一定数は死ぬ魚
オトシンクルスはコロンビアより野生採取個体が大量に流通しますが、輸送のダメージで飼育環境が完璧でもある程度はどうしても死ぬ魚です。
(一部コロンビア以外からも入りますが、安い数百円のやつは大抵コロンビアの大量入荷)
そのような個体を複数匹購入しても1~2ヶ月以内にポツポツと少しずつ死んでいきますが、輸送ダメージは見た目には出ないので厄介です。
入荷後しばらく経って輸送ダメージを耐えた”落ち着いたオトシンクルス”を購入できれば良いのですが、オトシンクルスは定番のコケ取りであるためショップでの回転が非常に早く、現実的には難しいでしょう。
購入したうち半分以上は死ぬものとして購入するか、もしくは小さな熱帯魚店等で長期ストックされているような個体がいればそちらの方がオススメです。
(ホームセンターよりも多少高くても小さな熱帯魚店で長期ストックされてるのが安くつきます!)
コケ切れによる餓死に注意
どのショップでもコケ取りといったらオトシンクルスがオススメされますが、コケのうち主に茶ゴケしか食べないため、それらが無くなってしまうと餓死しやすいことには注意しましょう。
「ガラスにコケ生えてて食ってるから大丈夫」と思っても実は食べれるコケが無い場合が結構多く、オトシンクルスの死因ランキング2位は餓死といっても過言ではありません。(もちろん1位は輸送ダメージ)
必要に応じてエサを与えるようにしましょう。
なおオトシンクルスにエサを行き渡らせるくらいやると他の魚が超肥満体型になるデメリットもあるため、可能であれば別水槽に移して管理してやるのがベターです。
繁殖
飼育下での繁殖は不可能ではありませんが、非常に困難です。
オトシンクルスは数多くの人が飼育していますが、にも関わらず繁殖させている方は非常に僅かであり繁殖はかなり難しい魚です。
以下はYOUTUBEで繁殖させた方ですが、これは非常にレアケースであります。
ただいくつかの繁殖成功例を見ると、日本に「オトシンクルス」として最も多く入ってくるタイプとは印象が微妙に違うようにも感じられるため、繁殖できているのは一般的なオトシンクルスとは別種の可能性もあります。
日本では単にオトシンクルスと表記されて売られますが、入荷する便によって「Otocinclus vittatus」だとか「Otocinclus affinis」などが区別されずに入ってきています。
最も日本で入荷されているのが仮に「O. affinis」とすると、繁殖できたのはそれではなく「O. vittatus」であったというのは可能性として十分考えられます。
オトシンクルスは非常に見た目が似ている種が多く存在しているので種の断定は難しいのですが、繁殖にチャレンジしてみたい場合はその辺も意識してオトシンクルスを見てみると良いかも知れません。
オトシンクルスは繁殖が非常に難しいですが、オトシンクルスネグロは繁殖させやすいです。
オトシンクルスを増やしてみたい場合はまずネグロからチャレンジしてみるのも良いでしょう。
個人的な所感
ある意味飼育者数の最も多い熱帯魚といっても過言ではないのがオトシンクルス。
昔はコケ取りといえばプレコのうちコケ食性の強いものが代表的だったのですが、小型水草水槽とマッチしないということから現在では小さく目立たないオトシンクルスが代表的なコケ取りになりました。
コロンビアから大量に野外採取されて300円ほどとメチャクチャ安いのですが、コロンビア便特有の「輸送ダメージが強く、入荷しても一定数は死ぬ魚」なのは注意が必要。
輸送ダメージを乗り越えたオトシンクルスはずっと水槽で飼育できるんですが、輸送ダメージがジワジワ効いてて1~2ヶ月ほどで死んでしまうこともあり悲しい魚です。
オトシンクルスネグロの方がひとふた回り高いのですが、そちらは輸送状態が良く入荷後死ぬ傾向はかなり薄いので単なるコケ取りであれば個人的にはネグロの方が(結果的に)安くてオススメです。
(でも見た目はオトシンクルスの方が可愛いかな?)
オトシンネグロのほうがサイズ感が小さく弱そうには見えますが、実際はオトシンクルスの方が圧倒的に死にます。
オトシンネグロが死んだら飼育に何らか問題があると言えるんですが、オトシンクルスの方は輸送ダメージで死んだのか飼育がマズくて死んだか分からんのでその辺も初心者向けではない印象がありますね。
オトシンネグロの方はコロンビアからじゃなくてパラグアイとかから来ているんですが、まれにオトシンクルスもパラグアイとかブラジルとかからも入ってくるのでそのような個体は比較的死なないので狙い目だったりします。
(といっても一般的なショップでコロンビア産とかパラグアイ産とか表記されて売られることはほぼ無いんですが・・・)
またオトシンクルスと売られているものは輸入ロットによっていくつかのタイプや種が存在していますが、ショップおよび卸の販売名では区別せずに単に「オトシンクルス」として販売されています。
というのもオトシンクルスは非常に似た種が多くいて一見するとただのオトシンなのが、「O. vittatus」「O. affinis」を始め「O. vestitus」,「O. bororo」,「O. hoppei」,「O. macrospilus」や、もしくは未記載だったりと色々あって判別が非常に難しいのです。
図鑑には「Otocinclus vittatus」または「Otocinclus affinis」と表記されていますが、販売されているオトシンが実際なんなのかは正直不明。
ショップで「オトシンクルス」と販売されていても、産地が違ったり、同じコロンビアでもシッパーが違ったり、漁師が別の所にとりにいってたりで実はいつものと別種ということがあります。が、見た目はほぼ同じです。
僕も「いつも入ってくるのと違和感があるな??」という程度の見分けしかつきません。
インターネットとかで繁殖された方を見るといつものオトシンより体型や模様に違和感を覚えるので、もしかしたら繁殖に成功する種というのがあるかも知れませんね。
マニアなんかは入荷したのを随時チェックして違いを楽しんだり、産地とかも気にしたりするので意外と奥が深い魚です。
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