ペルヴィカクロミス・プルケールの特徴・飼育情報

ペルヴィカクロミス・プルケール

学名
他の販売名
老舗の熱帯魚店で稀に「ペルマト」表記されることがある(旧属名ペルマトクロミスから)。
大きさ目安
9cm
飼育難易度

簡単

適応水質
弱酸性中性弱アルカリ
水温目安
22~29℃(普通の熱帯魚)
繁殖難易度
性格
注意点あり
遊泳タイプ
底を中心にパトロール
群れやすさ
群れない
価格目安
400円~800円

目次




主な特徴

「ペルヴィカクロミス・プルケール」は、アフリカの河川に棲むシクリッドの仲間。

横一線の黒いラインと腹部に淡い色が入るのが特徴で、特にメスは体色の黄色と腹部の鮮やかな桃色とのコントラストが非常に美しいです。

最も美麗な小型シクリッドとして人気があり、昔から東南アジア圏で大量に養殖されています。そのため価格も500円前後と非常に安いです。

水槽内での繁殖も簡単で、オスメス共に子育てを行う様子も楽しめることも魅力の1つ。子育てをするシクリッドの魅力が詰まったスター熱帯魚と言えるでしょう。

ペルヴィカクロミス・プルケールのオスオスは各ヒレが伸長し、ヒレに鮮やかな色彩があります。
ペルヴィカクロミス・プルケールのメスメスはヒレが地味ですが、黄色と腹部のピンクは鮮やかです。
一般的に売られているペルヴィカクロミス・プルケールの幼魚一般的に売られている若魚。
ペルヴィカクロミス・プルケール、美しいヒレの色彩成長して発情すれば鮮やかな色彩になります。

YOUTUBEの動画

YOUTUBEで掲載されているアップロード動画の中から、魚の種類が分かりやすいものを紹介します。

混泳・性格

温和なシクリッドで混泳に向いています。

ペルヴィカクロミス・プルケールのメスの顔頭部も丸みがあってキュート(メス)

シクリッド以外の魚に関しては全く無関心ですので、ネオンテトラを始めとする小型テトラやラスボラ、コリドラスなどとの混泳は全く問題ありません。

同じシクリッド類の熱帯魚とはテリトリー争いを行う場合があるため注意して下さい。サイズが自分より小さい小型シクリッドは攻撃の対象となります。

とはいえこの魚はシクリッドの中ではかなり温和で、攻撃的性は低いです。大きい水槽であれば別のシクリッドがいてもあまり問題にはならないでしょう。

雌雄のサイズ差に注意

ペルヴィカクロミス・プルケールは攻撃性は低いものの、同種間で争う魚です。

基本的にはオスメスのペアで水槽に入れられますが、サイズ差があるとどちらかが負けがちになってヒレが損傷する場合があります

場合によっては流木などの遮蔽物を置いて、あまり攻撃されないように工夫して下さい。

エサ

エサは何でも食べます。最も適しているのは沈下する人工飼料です。

一般的に売られている熱帯魚のエサはだいたい沈むのと、慣れてくれば浮かんでいるエサも取りにくるので割りと熱帯魚のエサであれば大体OKです。浮上性のものは適しません。

具体的な製品名をあげれば「コトブキのフライミックス 小粒~中粒」「どじょう養殖研究所のグロウ C」「デルフィスのデルフレッシュフード SM」などが良いでしょう。

混泳魚に注意

水草水槽で泳ぐペルヴィカクロミス・プルケールのオス特に水草水槽では、エサがしっかり食えているかに注意したい。

水槽に「テトラ」「ラスボラ」など泳ぎが早い混泳魚がいる場合は、ちゃんとエサを食えているかに注意して下さい。

本種はエサにすぐ食いつくタイプではなく底に落ちたものをモソモソと少しずつ拾うタイプなので、他魚によりエサが一瞬でなくなってしまう場合は何らかの工夫が必要です。

飼育ポイント・注意点

飼育は難しくありませんが、清潔さが失われたりするといつのまにか病気になりますので注意が必要です。

丈夫な熱帯魚なので、熱帯魚初心者にも十分飼育できます。

ただし底面の清潔さが失われると、病気に感染して突然弱って死んでしまうことがあるのでその点には注意して下さい。
(観察していると調子の悪さに気付いて対処することも可能ではありますが、難しいのでここでは割愛します)

衛生管理

小型シクリッドを飼う上で飼育のポイントとなるのが単純な清潔さです。

底砂などに沈殿するフン・ゴミなどを長期間放置するとそこから病原菌が発生する場合があり、これにより病気になって死ぬことが小型シクリッドでは多い死因です。

小型水槽では「スポンジフィルター」がよく使われますが、流量が少なく底面にゴミがたまりやすいので病気のリスクがあります。

ソイルのゴミ掃除プロホースでソイル間の汚れを取り除いている様子。
このゴミが蓄積すると病気の温床になりやすい

そうならないように定期的な底砂の掃除を行うか、もしくは流量のあるモーター駆動のフィルターを選択するのが飼育のポイントです。

「外掛け式フィルター」「上部フィルター」などモーターで動くフィルターを利用すれば、底面の清潔さが保たれやすいので失敗する確立はかなり低くなるでしょう。

繁殖

繁殖は容易で、産卵セットを組めば十分繁殖を狙うことが可能です。

産卵場所の用意

本種は非常に繁殖が容易ですが、産卵場がないと繁殖が始まりません。

「タコツボ」など入り口があって中が空洞となっている場所に産卵しますので、そのようなモノをまずセットしましょう。(ケーヴスポウナーと呼ばれます)

ペルヴィカクロミス・プルケールの繁殖水槽繁殖水槽の一例。
ペアリングが出来てるペアであれば、40cm水槽にタコツボのみでも良い。

あとは成熟した雌雄を状態良く飼育していれば、いずれ勝手に産卵が始まります。流木などを多く入れている場合は洞窟状となっている場所を見つけて勝手に産卵していることもあります。

なおメスはオスに向けてブルブルと体を震わせる行動をとりますが、その行動が見られたらペアリングが出来ていると考えてOKです。(繁殖誘発行動か、服従行動だと思われます)

また他魚が多くいるなど親魚が子供を育てられないと判断すると食卵することがあります。水槽で稚魚が産まれない場合は遮蔽物(流木など)を増やしたり、混泳魚などの環境を見直して下さい。

産卵から稚魚誕生まで

基本的には卵を見ることはできませんが、産卵した場合メスの姿が見られなくなり巣にこもりがちになるのでそれを目安とします。

孵化は3日前後で始まりますが、孵化後3日ほどは巣穴の中にとどまり、お腹についた栄養で過ごします。

産卵からおよそ6日頃に稚魚が巣穴から出てきてエサを探し始めるので、そのタイミングで生きたブラインシュリンプを与えられるようあらかじめ用意しておきましょう

市販されている稚魚用フードでも食べないことはないのですが、ブラインと比べて食いがかなり悪く稚魚の生存数が大きく落ちます。特に理由がなければブラインシュリンプが定番です。

稚魚の遊泳開始から

巣穴から出てきたペルヴィカクロミス・プルケールの小さな稚魚

孵化後一週間後ぐらいには、両親が稚魚をひきつれて稚魚達のごはん探しを行います。エサを与えましょう。

基本的には孵化したブラインシュリンプを1日朝晩の2回、可能であれば1日に何度も与えるのが良いです。(稚魚は食い溜めができません)

ブラインを食べたペルヴィカクロミス・プルケールの稚魚ブラインを食べると腹部がオレンジ色になる。
子供をひきつれるペルヴィカクロミス・プルケールのオス

ブラインシュリンプは孵化後2日もすれば栄養がほとんどなくなりますので、その点には注意して下さい。孵化器2台体制で日をズラして常に孵化直後のブラインを与えられるようにします。
(極端な言い方をすれば孵化後数日のやつでも育ちはしますが、圧倒的に育ちが遅い上生存数も落ちます)

生後3週間もすれば稚魚用の人工飼料も食べ始めるようになりますので、2週間経ったぐらいからブラインと稚魚用フードを併せて与えていき、人工飼料をしっかり食べるようになればそちらに切り替えていきましょう。

親は1ヶ月ほどで子供をひきつれることをしなくなりますので、それが1つの区切りとなります。その後はエサの大きさ以外は、親と同じ飼育方法でOKです。

1ヶ月後のペルヴィカクロミス・プルケールの稚魚1ヶ月もすれば模様が出現してくる

その他・補足情報

体の下半分が赤いタイプが存在

販売されている一般的なペルヴィカクロミス・プルケールは、腹部だけに淡い模様を持つのですがそれとは別に、オスの腹部赤が体の下半分全体に入るタイプがいます。

体の下半分が赤いペルヴィカクロミス・プルケールのオス

販売名は区別されておらず同じ「ペルヴィカクロミス・プルケール」で入荷され、値段も同じです。

一般的なタイプと同様の値段からするに同じ東南アジア養殖なのですが、入荷は一般的なタイプと比べて稀でどうやらショップが使っている卸業者というか輸入業者によって入荷することがあるみたいです。

常に色んなショップ、各種のホームセンターなどをあたってみると入手できかもしれませんね。(似たようなショップ、系列店だと卸先一緒なので注意)

あとタイプついでですが、本種にはアルビノタイプも存在します。

アルビノのペルヴィカクロミス・プルケール

昔はアルビノも定番だったのですが、近年ではショップがあまり発注してくれないようで入手しにくくなってます。こちらも欲しければタイミングを逃さないようにしましょう。(値段もほぼ同じで安価です)

英名ではKribensisだが・・・

英語名は「Kribensis」や「Kribensis Cichlid」と呼ばれていますが、別に「Pelvicachromis kribensis」がいますので、英語圏で詳しく調べる際は混同しないように注意が必要です。

Pelvicachromis kribensis、ペルヴィカクロミス・クリベンシスはカルメーン沿岸部に生息する別種のペルヴィカで、昔よく入ってたカメルーン産の「タエニアータス」にあたります。(タエニアータスはカメルーンには分布していないので)

所感:小型シクリッドの入門にして最高峰

優雅に泳ぐペルヴィカクロミス・プルケールのオス昔はド定番だったのですが・・・

現在では小型シクリッドといえば「アピストグラマ」「ラミレジィ」が人気ですが、昔は小型シクリッドといえば「ペルヴィカクロミス・プルケール」「ラミレジィ」が鉄板でした。

現在はアピストグラマの影に隠れがちなのですが、「非常にカラフルな色彩」「雌雄共に子育てをする」「安い」「丈夫」というのは初心者にオススメしたいポイント。

アピストはオスにしばかれたりオスがでかい顔をしたりする等なにかストレスを感じるとメスが細くなってうつ病で死んでしまうこともありますが、ペルヴィカクロミス・プルケールはストレスにも強く、多少しばかれたぐらいでは弱らないのでタフです。

両親共に子供をひきつれるので繁殖行動も魅力があります。アピストはメスしか保育を行いません。

色彩も最高峰といっていいほどカラフルな熱帯魚ですし、これが500円なんて素晴らしすぎます。最高の小型シクリッドです。

ペルヴィカクロミス・プルケールの尾びれの色彩オスはヒレがカラフル!!
こちらを向くペルヴィカクロミス・プルケールのメスメスは発情すると息を呑むほど体色が美しい!

個人的にはなんでコイツがアピストの影に隠れているのか不思議でなりません。アピスト飼育者は今すぐ河川アフリカンシクリッドを始めて下さい!!

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