ポリプテルス・アンソルギーの特徴・飼育情報
公開:
ポリプテルス・アンソルギー
簡単
弱酸性 | 中性 | 弱アルカリ |
---|---|---|
◎ | ◎ | ◎ |
主な特徴
「ポリプテルス・アンソルギー」は斑点模様を持つ大型のポリプテルスです。
稀ですが個体によっては最大サイズで70cmを超え、大きくなりにくい飼育下でも大きな現地採取個体を購入し70cm超えに育てた愛好家もいるほど。
同じく最大級のポリプである「ポリプテルス・ビキール・ビキール」と比べ、体格や頭部が太いことから、大きな個体は恐怖感を抱くほどの貫禄があります。
体色には黒いチェック模様が乱れたような斑点模様を持ち、美しいことも本種の魅力と言えるでしょう。
YOUTUBEの動画
YOUTUBEで掲載されているアップロード動画の中から、魚の種類があっていて特徴が分かりやすいものを紹介します。
混泳・性格
温和で混泳に向いていますが、食べられてしまうサイズの魚とは混泳できません。
ポリプテルス・アンソルギーは非常に温和な熱帯魚なのですが、エサ食いがかなり遅いそして臆病という特性を持ちます。
このため、ダトニオやオスカーなど大きくてエサをすぐに食べる大型魚との混泳は向いていません。エサを投与しても他の魚を気にして恐る恐るエサを探しているうちにほとんど食われます。
なお同じポリプテルスであるエンドリケリーは物怖じせずエサをバクバク食いまくるため、こちらと同居することでもエサを奪われがちになりますので注意が必要です。
他のポリプテルスと比べた性格
アンソルギーは大きな怪魚でありますが、意外にもポリプテルスの中では繊細で臆病という性格です。
エンドリケリーなどのように泳いで水面付近にエサ待ちすることはなく、基本的には底でジッと動きません。この性格からポリプテルス同士の混泳にもやや注意が必要です。(後述)
エサ
沈下性の肉食魚フードや、小さい個体であれば冷凍赤虫やメダカなどもエサに適します。
ポリプテルスは肉食魚用の人工飼料のうち沈下するものが一般的なエサとなります。
具体的な製品としては「ひかりクレスト キャット」または「ひかりクレスト ミニキャット」が人気です。
ベビーの個体は人工飼料を食べない個体もいますが、その場合は冷凍赤虫を与えつつ成長とともに人工飼料与え始めて切り換えていくと良いです。
ミドルサイズ~アダルト個体であれば飼育者の好みで「小赤」「ドジョウ」などの活餌や、「冷凍キビナゴ」「冷凍アジ」などの冷凍魚もバリエーションとして与えれば栄養状態が良くなり大型化させやすくなります。
飼育ポイント
強健な熱帯魚ですが、臆病でエサ食いが悪いので混泳には注意します。
ポリプテルスは非常に丈夫で飼いやすい熱帯魚であり、アンソルギーも同様です。
ただしアンソルギーは性格が臆病でエサ食いが遅いという注意点があり、混泳相手によってはエサをあまり食べれなくなるのでこの点には注意して下さい。
自分より大きい魚がいるとビビッてエサを食べなかったり、そもそも落ち着いた状態でもトロくエサ食いスピードが遅いので、アンソルギーが食べる前に他の魚に食べられやすいです。
同じポリプテルスでも特に「エンドリケリー」は、物怖じせずエサをバクバク食べに来る性格から、一緒に同居するとエサがあまり食えなくなる傾向があるので注意して下さい。
エンドリケリーとの混泳がダメなわけではありませんが、アンソルギーの方のサイズを大きくしたり、エンドリケリーが肥満になるぐらいにエサを過剰に与える必要があります。
(でなければアンソルギーがずっと成長しない)
水槽サイズの目安
90cmの水槽サイズがあれば可。大きくしたい場合は120~180cm以上が必要です。
アンソルギーは最も大きくなるポリプテルスではありますが成長スピードはかなり遅い上、飼育密度やエサ・水槽サイズによりあっさり成長しなくなります。
加えて大きな個体であっても基本的にはほとんど動かないため鼻スレなども起こりにくく、最大級ポリプの割には大きな水槽を必要としません。
もちろん60cm超えの大型化を狙うのであれば最低でも120cm以上の水槽が必要ですが、90cm水槽でも十分終生飼育は可能です。
繁殖
飼育下での繁殖は可能ですが、他のポリプテルスよりかは難易度が高いです。
ポリプテルス・アンソルギーは東南アジアで養殖されたものが定期的に日本に来ているため、繁殖自体は可能だと思われます。
ただし国内の飼育下で増えたという話は聞きません。
これはアンソルギー自体がかなり大型のため繁殖にはかなり大きい水槽が必要である点と、性格が臆病なポリプテルスであるため他の大型魚や他種のポリプテルスと一緒にすると萎縮して繁殖行動を起こさないと考えられます。
繁殖を狙う場合は120cm以上の水槽で、アンソルギー単独にする必要があるでしょう。以下は一般的なポリプテルスの繁殖について述べます。
オスとメスの違い
ポリプテルスのオスとメスの違いは尻ビレの大きさ(幅)で見分けることができます。
オスはメスから卵を受け取るため尻ビレが大きくなっており、メスは幅が小さいです。
小さな個体では尻ビレの大きさに差異がほとんど無いのですが、成長してセミアダルト付近になってくると判別できるようになります。
成熟個体の用意
オスは発情すると尻ビレが丸いカップ状(おわん状)に変化し、繁殖可能であることを知らせます。
オスが上記のような行動をするまで結構年数がかかり、養殖物のセネガルスであれば1年程度でも発情するのですが、ワイルドの個体だと飼い込んで少なくとも2~3年ぐらいが目安です。
あとはメスがしっかり抱卵するよう普段から良質なエサをしっかり与えて下さい。
メスは抱卵してれば良いのですが、オスは発情するタイミングにムラがあるため1匹のメスに複数匹のオスをあてがうとより繁殖の機会に恵まれます。
産卵
産卵場となるボルビティスや十分茂ったアヌビアスなどの水草、または毛糸をモップ状に束ねたもの、もしくは市販の人工水草を沈めて産卵場を用意します。
エンドリケリーなど繁殖が容易な種類は産卵床がなくても産卵を行うことがありますが、基本的には産卵床があったほうが良いです。
オスはメスに寄り添い「頭部でメスの胴をコンコンと叩く行動」をして産卵を促し、カップ状になった尻ビレでメスの卵を受け取り受精、そして産卵床に付着させます。
以下はYOUTUBEにアップロードされているポリプテルスの繁殖行動動画です。非常に参考になります。
産卵行動は水換えをトリガーにして行われることが多いのですが、水槽水より低めの水温や硬度高めの水を水換えに用いるのがより確実なトリガーになると言われています。
なおポリプテルスは若いうちは結構発情するのですが、年齢を重ねるとオスが段々発情行動をしなくなる傾向がありますので、繁殖を狙うのであればそれを念頭において早いうちに成熟した雌雄を揃えるのがオススメです。
卵の孵化から保育
産卵された卵は放っておくと親魚も他のポリプも食べてしまうので、親魚をのけるか卵を回収して管理します。
カビた卵は早い段階で取り出さないと他の卵にカビが伝染してしまうため、こまめな観察が必要です。(エアーレーションやマラカイトグリーンなどの防カビ剤を使うテクニックもあります)
孵化した稚魚はオタマジャクシのような見た目をしており、孵化後しばらくはヨークサックで栄養を吸収します。
以下はYOUTUBEにアップロードされていたポリプテルス・オルナティピンニスの稚魚です。
ヨークサック吸収後に食事を始めますが、エサは孵化直後のブラインシュリンプが用意しやすいエサになります。
その後のエサは成長にあわせて、例えばグリンダルワーム→イトミミズ→赤虫など段階を踏んでいきましょう。
その他・補足情報
底床の影響を最も受けるポリプ
アンソルギーは底色が体色に最も影響するポリプテルスであり、床の色によってはかなり地味になります。
ポリプテルスの発色には「ガーネットサンド」などの黒みが入った赤が効果的ですので、もし体色に不満があるならそのような砂利を敷いてみるのも良いでしょう。
(同一個体)
最も成長が遅いポリプテルスなので注意
アンソルギーは最大級ポリプテルスなのですが、反面成長速度がかなり遅いポリプテルスです。
定期的に東南アジアで養殖されたかわいいベビーも入荷されますが、これがナカナカ成長しません。
じっくり育てられるのは可愛いのですが、お伝えしておきたいのは成長の早いポリプテルスと一緒に飼育していると、あっさり体格に差ができてしまうということです。具体的に言えば小さいサイズの段階で「エンドリケリー」との混泳ですね。
小さいエンドリケリーとアンソルギーを一緒の水槽に入れてて、エンドリはバクバク食ってどんどん成長してミドルサイズになったのに、アンソルギーはほぼ成長してなくって育ったエンドリケリーに負けて死ぬっていうのがよくあるパターンです。
大きなアンソルギーを購入する場合は「全然成長せん!!」で済みますが、他のポリプテルスと一緒にベビーサイズを育てる場合は注意して下さい。
(なおラプラディは同じく成長速度もエサ食いも遅いので安心!)
でかい水槽で飼育すべきかアンソルギー
最大サイズは70cmを超えるため、「アンソルギーには最低でも120cmが必要やぞ!!」という考えの人もいるためこれについて述べたいと思います。
まず60cmや70cmのサイズに関しては「大きくしたくても出来ん」ということです。
アンソルギーは成長速度がかなり遅く、水槽サイズ・飼育密度・エサの質によりあっさり成長しなくなります。90cm水槽ではせいぜい50cmぐらいが関の山です。
(ちなみに人工飼料だけだと2.5年で37cm→39cmしかサイズアップしなかった・・・)
加えて養殖されたベビーは矮小化しており、チビから育てた養殖アンソルギーは120cm水槽を使って大きくできても50cmぐらいかと思います。そして養殖個体に多くみられるショート気味の個体(長さが短い)を選んだら40cmいかないです。
野生個体には70cm超える個体がいるのは確かですが、日本人でも2m超すのは稀です。栄養状態が良くても普通は170cmなので、この点からいっても大きくしようと思っても中々出来ません。
そしてアンソルギーはほとんど動きませんので、他のポリプより体の割には水槽が小さくても問題なく、90cmでも全然良いと思います。
(もちろん水槽がデカい方が魚にとって快適なのは確か)
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