ポリプテルス・モケーレムベンベの特徴・飼育情報
公開:
ポリプテルス・モケーレムベンベ
簡単
弱酸性 | 中性 | 弱アルカリ |
---|---|---|
◎ | ◎ | ◎ |
主な特徴
「ポリプテルス・モケーレムベンベ」は体長20cmほどの小型ポリプテルスです。
他の小型ポリプテルスと比べて特徴的なのは丸みをおびた可愛らしい頭部であり、愛嬌のあるポリプテルスとして知られています。
体色は産地・個体差で幅がありますが全体的に茶色から黒色であり、環境・成長ステージによっては光沢感のある緑色も発色され非常に美しくなります。
モケーレムベンベは2006年に新種記載された魚ですが、アクアリウムではしばらくこのポリプテルスがレトロピンニス種だと誤認されていました。
そのため現在でもその名残で「レトロピンニス」のまま販売されていたり、「旧レトロピンニス」の名前で販売されることもあります。
混泳・性格
温和で混泳に向いていますが、食べられてしまうサイズの魚とは混泳できません。
ポリプテルスは非常に温和な熱帯魚であり、非常に混泳に向いています。
ただし肉食魚であり丸呑みにできそうな魚は積極的に狙いに行きますため、小型魚との混泳は適していません。
摂食形態はカジって食べるタイプではなく丸呑みタイプですので、丸呑みできないほど大きい魚であれば問題ないということです。
同種同士の混泳
同属の他のポリプテルス、同種のポリプテルス共に混泳しても問題ありません。
ただしモケーレムベンベは他のポリプテルスと比べてエサ食いが遅いので、この点には注意します。
エサ
沈下性の肉食魚フードや、冷凍アカムシやメダカなどがエサに適します。
ポリプテルスは肉食魚用の人工飼料のうち沈下するものが一般的なエサとなります。
具体的な製品としては「ひかりクレスト キャット」または「ひかりクレスト ミニキャット」が人気です。
始めは人工飼料を食べない個体もいますがその場合は冷凍アカムシを与えつつ、様子を見て人工飼料を与えていくと良いでしょう。
飼育ポイント・注意点
とても強健な熱帯魚です。飼育は非常に容易です。
ポリプテルスは非常に丈夫で飼いやすい熱帯魚であり、魚を飼育できる最低限の環境さえあれば飼育可能です。
相当ひどい環境でないとポリプテルスは弱りません。
飛び出しに注意
ポリプテルスは驚いた時に急発進することがあり、それで水槽から飛び出してまうこともあるため水槽フタなどで飛びださないように工夫して下さい。
(特にフレーム水槽はフチがないため強く推奨)
排泄量にみあったフィルターを
よく食べる肉食魚の性質から「生体の排泄量に対して見合ったフィルターであるか?」は頭の隅に置いておくと良いでしょう。
とてもタフな熱帯魚ではありますが、フィルターの能力が見合ってないと自分の排泄物で自分を弱らせ、抵抗力がなくなり病原菌が体内で増えて死ぬといった事が起こります。
古代魚は一般的な魚の治療薬を使えませんので、病気にかかるとリカバーすることは難しいと認識しておきましょう。
水槽サイズの目安
最終45cmほどの水槽サイズがあればOKです。
小型で成長も遅いことから最初は小さな水槽でも十分飼育可能であり、最終的にも45×30×30cmぐらいのサイズがあればOKです。
なおポリプテルスは水槽が狭いと水槽壁によくぶつって鼻先がスレますので、その徴候が見られたらすぐにサイズアップを検討して下さい。
繁殖
飼育下での繁殖は聞かないレベルに繁殖が難しいです。
ポリプテルスは飼育下での繁殖も聞く熱帯魚ですが、残念ながらモケーレムベンベ種においては飼育下での成功例を聞きません。
モケーレムベンベは飼育者が非常に少ないため単に母数が少ないだけの可能性はありますが、東南アジアからの養殖幼魚も入ってない現状を考えると繁殖事態が難しい可能性が極めて高いです。
以下は一般的なポリプテルスの繁殖について述べます。
オスとメスの違い
ポリプテルスのオスとメスの違いは尻ビレの大きさ(幅)で見分けることができます。
小さな個体では尻ビレの大きさに差異がほとんど無いのですが、成長して大きくなると判別しやすくなります。
(上記の写真はポリプテルス・デルヘッジィ)
発情~産卵まで
オスは発情すると尻ビレが丸いカップ状(おわん状)に変化し、繁殖可能であることを知らせます。
オスが上記のようになったら産卵場となるボルビティスや十分茂ったアヌビアスなどの水草、または毛糸をモップ状に束ねたもの、もしくは市販の人工水草を沈めて産卵場を用意します。
ポリプテルスはかなり大きい水槽でないと繁殖行動を行わないので、繁殖を狙うのであれば(セネガルスの場合で)90cm以上の水槽サイズが必要です。
そういった産卵場所と十分なサイズの水槽環境を用意していると、オスがメスにアプローチを始めます。
オスはメスに寄り添い「頭部でメスの胴をコンコンと叩く行動」をして産卵を促し、カップ状になった尻ビレでメスの卵を受け取り受精、そして基質に付着させます。
産卵行動は水換えをトリガーにして行われることが多いのですが、水槽水より低めの水温や硬度高めの水を水換えに用いるのがより確実なトリガーになると言われています。
なおポリプテルスは年齢を重ねるとオスが発情しなくなる傾向があります。そのため繁殖を狙う場合は加齢があまり進んでいない若いうちに狙わないと繁殖が不可能になりますので注意して下さい。
卵~保育
産卵された卵は放っておくと親魚が食べてしまう傾向があるため、親魚をのけるか卵を回収して管理します。
回収する場合はエアーレーションによる水の循環とメチレンブルーやアグテンなどの水カビを抑止する魚病薬を投与してカビさせないように予防します。
カビた卵は早い段階で取り出さないと他の卵にカビが伝搬してしまうため、こまめな観察が必要です。
孵化した稚魚はオタマジャクシのような見た目をしており、孵化後しばらくはヨークサックで栄養を吸収します。
(以下はYOUTUBEにアップロードされていたポリプテルス・オルナティピンニスの稚魚です)
ヨークサック吸収後に食事を始めますが、エサは孵化直後のブラインシュリンプまたはマイクロワームが用意しやすいエサになります。
その後のエサは成長にあわせて、例えばグリンダルワーム→イトミミズ→赤虫など段階を踏んでいきましょう。
その他・補足情報
非常に成長が遅いポリプテルス
モケーレムベンベは私が飼育したポリプテルスの中で最も成長速度が遅かったポリプテルスです。
これは私の記録に残っている1つの例ですが、
- 10cmぐらいの幼魚サイズを購入
- 1年で14cm
- 2年で17cm
- 3年で18.5cm
という感じで、非常に成長が遅いのです。
これがデルヘッジィやセネガルスであれば半年で20cmぐらいになる場合も普通にありますから、それらと比べると圧倒的に成長が遅いポリプテルスと言えるでしょう。(他が早すぎなのかもしれませんが・・・)
特に小さいモケーレムベンベを迎えた場合、最初は他のポリプテルスとサイズ感が丁度良くても、時間が経てばサイズ差が出やすくなります。
エサ食いが遅い
モケーレムベンベはエサに対する貪欲性が低く、セネガルスやデルヘッジィと比べるとあまり率先してエサを食べない傾向があります。
流通しているのは野生採取されたものであることも含め、初期フードとしては人工飼料よりは冷凍アカムシの方がやや適すと感じます。
特に混泳してるなら最初は冷凍アカムシでとりあえず食わせたいところ。
単独飼育なら他のポリプテルスにエサを食われることがないのでいきなり人工飼料でも構いません。
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