ポリプテルス・セネガルスの特徴・飼育情報

ポリプテルス・セネガルス

学名
他の販売名
大きさ目安
20cm
飼育難易度

簡単

適応水質
弱酸性中性弱アルカリ
水温目安
22~29℃(普通の熱帯魚)
繁殖難易度
性格
温和な平和主義者
遊泳タイプ
大体底でベタァっとくつろいでいるが、たまに泳ぐ
群れやすさ
群れない
価格目安
1,200~1,600円

目次




主な特徴

「ポリプテルス・セネガルス」は無地色で小型のポリプテルスです。

ポリプテルスはアフリカに棲む原始的な形質を持つ魚で、その独特の見た目は恐竜を思わせ古くから観賞魚として親しまれている熱帯魚。

60cmや1mになる大型魚としても知られるポリプテルスですが、セネガルスはその中でもかなり小型なポリプテルスであり大型水槽でなくても飼える古代魚・ポリプテルスとして人気があります。

ショップで普通に売られているのは東南アジアで養殖されたものですが、それらを育成しても20cmほどにしかなりません

本種は現地採集されたセネガルス”ワイルド”も少しながら流通しており、そちらは30cmまたは30cmを超え40cmほどと大きく成長する素養を持っています。(個体差はアリ)

ワイルド個体の方が貴重で値段が高いため、特に表記されていなければ養殖されたものになります。

ポリプテルス・セネガルスの幼魚よく販売される幼魚
こちらを向くポリプテルス・セネガルスペットフィッシュとしても人気が高い

本種には「アルビノ」や胴が短い「ショート」といったバリエーションも定番であり、通常のセネガルスに準じて安価に手に入れることができます。

ポリプテルス・セネガルス(アルビノショート)アルビノかつショート個体は定番タイプの1つ

なおポリプテルスは下顎が突き出ているのを下顎系ポリプ、そうでないのを上顎系ポリプと大きく2種類に分別されますが、本種は下顎が出ない上顎系ポリプテルスにグルーピングされます。

混泳・性格

温和でありどの熱帯魚にもちょっかいを出すことはありません。

しかしながら肉食魚ゆえに丸呑みにできそうな魚は積極的に狙いに行きますため、小型魚との混泳は適していません

ただあくまで食べるのは丸呑みにできる魚ですので、丸呑みできないほど大きい魚であれば混泳が可能です。
(カジって食べるという食性ではありませんので)

エサ

肉食性のため肉食魚用のエサまたは冷凍赤虫、メダカなどの小魚がエサに適します。

人工飼料を食べるポリプテルス・アンソルギーポリプテルスは肉食魚の中ではとても人工飼料に餌付きやすく、食べない個体はほとんどいない

特にこだわりがなれば肉食魚用の人工飼料のうち沈下するもの(ひかりクレスト キャット)が楽で安価なのでオススメです。

始めは人工飼料を食べない個体もいますがその場合は冷凍アカムシを与えつつ、様子を見て人工飼料を与えていくと良いでしょう。

とはいえセネガルスはポリプテルスの中で特に人工飼料への反応がよく、普通の熱帯魚のエサであるフレークフードですら食べなくはないほどです。なので餌付けで困ることはほぼありません。

エサ
幼魚 冷凍アカムシ◎、人工飼料◯
成魚 人工飼料◎、メダカ◎、冷凍アカムシ△

飼育ポイント・注意点

とても丈夫な熱帯魚で、基本的に熱帯魚を飼育できる最低限の環境があれば飼育可能な強健種です。

ただポリプテルスは驚いた時に急発進することがあり、それで水槽から飛び出してまうこともあるため水槽フタなどで飛びださないように工夫して下さい
(特にフレーム水槽はフチがないため強く推奨)

またよく食べる肉食魚の性質から「生体の排泄量に対して見合ったフィルターであるか?」は頭の隅に置いておくと良いでしょう。

とてもタフな熱帯魚ではありますが、フィルターの能力が見合ってないと自分の排泄物で自分を弱らせ、抵抗力がなくなり病原菌が体内で増えて死ぬといった事が起こります。

古代魚は一般的な魚の治療薬を使えませんので、病気にかかるとリカバーすることは難しいと認識しておきましょう。

とはいえ余程のことが無い限り、(飛び出しなどを除き)死ぬようなことはない強健な魚です。

水槽サイズの目安

一般的な養殖されたセネガルスの場合、最終45cmほどの水槽サイズがあればOKです。

養殖モノに対し、現地で採集された”ワイルド”個体の場合は大きくなるため60cm水槽クラスか、大型化を狙う場合は90cmを用意しましょう。
(ワイルドの方が貴重で価値が高いため、その場合は区別して売られています。特に表記がなければ養殖されたモノです。)

あとポリプテルスは水槽が狭いと水槽壁によくぶつって鼻先がスレますので、その徴候が見られたらすぐにサイズアップを。

繁殖

飼育下での繁殖は可能ですが、難しめの部類です。

ポリプテルスは広い水槽でないと繁殖が行われないため、一般的な趣味の水槽サイズでは繁殖が困難です。

とはいえポリプテルス・セネガルスはポリプテルスの中でもサイズが小さく飼育下での産卵例も多いため、比較的繁殖を狙うことができるポリプテルスになります。

オスとメスの違い

ポリプテルスのオスとメスの違いは尻ビレの大きさ(幅)で見分けることができます。

ポリプテルスのオスの尻ビレ(ポリプテルス・デルヘッジィ)オスの尻ビレ(幅が広い)
ポリプテルスのメスの尻ビレ(ポリプテルス・デルヘッジィ)メスの尻ビレ

小さな個体では尻ビレの大きさに差異がほとんど無いのですが、成長して大きくなると判別しやすくなります。
(上記の写真はポリプテルス・デルヘッジィ)

発情~産卵まで

オスは発情すると尻ビレが丸いカップ状(おわん状)に変化し、繁殖可能であることを知らせます。

オスのポリプテルスの発情した尻ビレ(ポリプテルス・セネガルス)カップのように尻ビレが片側に曲がってくぼむ。

オスが上記のようになったら産卵場となるボルビティスや十分茂ったアヌビアスなどの水草、または毛糸をモップ状に束ねたもの、もしくは市販の人工水草を沈めて産卵場を用意します。

ポリプテルスはかなり大きい水槽でないと繁殖行動を行わないので、繁殖を狙うのであれば(セネガルスの場合で)90cm以上の水槽サイズが必要です。

そういった産卵場所と十分なサイズの水槽環境を用意していると、オスがメスにアプローチを始めます。

オスはメスに寄り添い「頭部でメスの胴をコンコンと叩く行動」をして産卵を促し、カップ状になった尻ビレでメスの卵を受け取り受精、そして基質に付着させます。

産卵行動は水換えをトリガーにして行われることが多いのですが、水槽水より低めの水温や硬度高めの水を水換えに用いるのがより確実なトリガーになると言われています。

なおポリプテルスは年齢を重ねるとオスが発情しなくなる傾向があります。そのため繁殖を狙う場合は加齢があまり進んでいない若いうちに狙わないと繁殖が不可能になりますので要注意。

卵~保育

産卵された卵は放っておくと親魚が食べてしまう傾向があるため、親魚をのけるか卵を回収して管理します。

回収する場合はエアーレーションによる水の循環とメチレンブルーやアグテンなどの水カビを抑止する魚病薬を投与してカビさせないように予防します。

カビた卵は早い段階で取り出さないと他の卵にカビが伝搬してしまうため、こまめな観察が必要です。

孵化した稚魚はオタマジャクシのような見た目をしており、孵化後しばらくはヨークサックで栄養を吸収します。
(以下はYOUTUBEにアップロードされていたポリプテルス・オルナティピンニスの稚魚です)

ヨークサック吸収後に食事を始めますが、エサは孵化直後のブラインシュリンプまたはマイクロワームが用意しやすいエサになります。

その後のエサは成長にあわせて、例えばグリンダルワーム→イトミミズ→赤虫など段階を踏んでいきましょう。

個人的な所感

ポリプテルス・セネガルスとパルマスの並び右のみがポリプテルス・セネガルス(左はパルマス)

ポリプテルスの中で、大きな水槽じゃなくても飼える小型の入門種として知られているのが「ポリプテルス・セネガルス」です。

一般的に売られているセネガルスは養殖による小型化と限られた水槽内という制約から一般的には20cmぐらい、もし巨大化する個体だったとしてもせいぜい30cmぐらいのサイズ止まりが普通。

むしろ体型が短めのややショート気味の個体が多くて20cmいかないなんてことも普通にあるんですが、特に見かけるアルビノのショート個体なんかは10cmとか10cmいかなかったりするほど小さいポリプテルスです。

ポリプテルスは90cm以上の水槽を要求するものが多いのですが、そんな中小さな水槽でもセネガルスは飼育できるのは非常に良いのです。

(とはいえセネガルスからポリプテルスにハマって90cm水槽を設置してしまう人も絶対多いハズ)

あと普通に売られているのを育てても最終20cmぐらいなのですが、実は”自然下”では50cmのセネガルスが確認されています。

そういう大きなセネガルスにロマンを感じるなら寸胴気味の養殖物は選ばずに、野生採取されたワイルドのセネガルスを迎えて90cm以上の大きな水槽でじっくり育ててみるのもまた一興です。

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