クセノティラピア・オクロゲニスの特徴・飼育情報
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クセノティラピア・オクロゲニス
難しい
弱酸性 | 中性 | 弱アルカリ |
---|---|---|
✕ | ○ | ◎ |
主な特徴
「クセノティラピア・オクロゲニス」はアフリカのタンガニィカ湖に棲むシクリッドです。
砂地に棲むハゼ型のシクリッドであり、何度も口を砂に突っ込みモゴモゴしながらエサを探す行動は特徴的。
メスや若い個体は白一色の地味な色をしていますが、興奮したオスは非常に派手であり、メスへのアピールや他個体への威嚇時は非常に目をひきます。
メスが卵および稚魚を口内で保護するマウスブリーダーでもあり、体型・行動含め非常にユニークな熱帯魚と言えるでしょう。
ロカリティ
本種は地域によるバリエーションがありますので、代表的なものを紹介します。
NDOLE BAY
「NDOLE BAY」または「NDOLE」はザンビアのNdoleを中心としたロカリティとされます。
本記事で使っている個体はほとんどNDOLE BAYであり、最も代表的なロカリティです。(読みはンドゥールベイ、もしくはドゥールベイ」
YOUTUBEの動画
YOUTUBEで掲載されているアップロード動画の中から、魚が分かりやすいものを紹介します。
混泳・性格
他魚には割と無関心ですが、同種近縁種は小競り合うので注意します。
オクロゲニスは底で砂をついばんでる魚というだけあって、中層を泳ぐ他魚には全く無関心です。(同じ底遊泳をするシクリッドは除く)
ただ同種・近縁種で争う面があり、特にオスが自分以外のオスを追い出そうとするのでこの点には注意して下さい。
大きい水槽を用意できれば良いのですが、60cm水槽であれば最終的にオスは1匹が限度です。
エサ
沈下性の人工飼料を与えます。
完全に底に沈んだエサを食べるため、沈下性の人工飼料を与えて下さい。
自然界では砂に付着した藻なども食べていますため、スピルリナなどもオヤツとして与えると喜んでついばみます。
飼育ポイント・注意点
でかい他魚がいるとうつ病になって死ぬ傾向が強いため、この点には必ず抑えて下さい。
クセノティラピア・オクロゲニスは別の魚からのストレスに弱い面があり、自分より大きい別種の魚がいると気が滅入って死にます。
なので、オクロゲニスより大きな魚を入れないことが鉄則です。
本種は落ち着いているとずっと底にいる魚なのですが、不安を抱えると中層を泳いだり上と下でいったりきたりするので、数日経ってもその行動が見られた場合は他の個体をのけるか、オクロゲニスを別水槽に移すかなど何らかの対策を行いましょう。死にます。
水質面はさほど難しくない
水質面に関しては中性~弱アルカリ性を維持すれば良く、水質変化にもある程度強いです。
底面にサンゴ砂を敷いたり、濾過槽に大粒のサンゴ砂をある程度仕込めば特に気にしなくてもOKです。
水道水のpHは地域にもよりますが7.0~8.0のところが多いので、定期換水を行ってさえいれば一度に2/3ぐらい換えても問題は出ません。(ただしpH6.5を切る地域は1/3換水にとどめておくのがベター)
オクロゲニスは何より「他魚からのストレス」。これに注意すれば飼育は割と容易です。
繁殖
繁殖は十分可能です。
クセノティラピア・オクロゲニスは、成熟した雌雄を適切な環境で飼っていると定期的に産卵が行われます。
産卵後はメスが口内で卵を保護しますが、他魚や遮蔽物の無さによる環境ストレスを受けると、あっさり卵を食べてしまうことが見受けられるため、ここをクリアできるかどうかが繁殖のポイントになるでしょう。
そもそもオクロゲニス自体他の魚からストレスを受けやすいため、繁殖を狙うのであれば単独飼育をベースに考えたいところです。
稚魚の育成
メスは卵の孵化後もしばらくは口内で保育します。
稚魚は自然と吐き出しますが、メスの口から稚魚を取り出しても良いです。エサを与えたり他魚から食べられるのを防ぐことができます。
吐き出された稚魚は非常にサイズが大きく、そのまま孵化したブラインシュリンプを食べれますので飼育は容易です。
その後成長に従って、人工飼料やスピルリナなども与えて育成していきましょう。
その他・補足情報
オスのメス擬態??
多く育ててみるとオスなのにヒレが地味な個体が出現します。
恐らくメスに擬態することで、強いオスからの攻撃を避けているような気がしますね。そのような個体はいずれ成長すると強いオスから攻撃されるようになるんでそういうことなのかなぁと。
これ注意しないといけないのが売り場でそういう個体がいたら、メスと間違ってしまいやすいことです。
メスは体のラメがほとんど乗りませんが、メス擬態のオスは体にラメがそれなりにあります。参考までに。
底は細かい砂があると良い
底はベアタンクでも良いのですが、細かい砂はあったほうが良いです。
砂をついばむ行動を見れるっていうのもありますが、砂を入れた途端オスが縄張りを主張し、体が綺麗に変化します。やはり細かい砂はあった方が良いみたいです。
種として扱うべきか「クセノティラピア・シングラリス」
本記事では「NDOLE BAY」をオクロゲニスの地域変異として紹介しましたが、一部の愛好家からは「クセノティラピア・シングラリス」として扱われているのでこれについて補足します。
クセノティラピア・オクロゲニスには大き分けてタンガニィカ湖の北に生息するタイプと、南に生息するタイプに分けられます。
北に生息するのが本来の「Xenotilapia ochrogenys」とされ、顔が長い特徴があります。
対して南方型は顔が短く、体に黒のスポットがいくつか出現するタイプです。本記事で紹介した写真は多くが「NDOLE BAY」ですが、これは南方型になります。
さてこの南方型は、シクリッドの定期刊行物である「Cichlid News Magazine」の2007年10月号で、「Xenotilapia singularis」とすべきであると紹介されており、ここから南方型は「クセノティラピア・シングラリス」として取り扱われる場合があります。
しかしながらオープンアクセス化された学術雑誌ではなく、きちんとした学会で発表されたわけでも無さそうであるため、現代の記載風潮からすると認めづらいものがあります。(きちんとした査読手順も踏んでいるのかな・・・??)
現に国際的な生き物の種データベースである「GBIF」、魚類に関する海外データベースである「FishBase」、など大御所の種データベースは「Xenotilapia singularis」を種として認めていません。
外部リンクGBIF
本記事ではどちらも「クセノティラピア・オクロゲニス」と紹介させていただきますが、今後ちゃんとした学術雑誌でレビュー論文が出たりするかもしれませんね。その時は本サイトでも別種として紹介したいと思います。
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