ウーパールーパーの病気・怪我とその治療・防止について
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ウーパールーパーがかかりやすい病気や怪我について、病状と対策方法をまとめました。
病状に合った適切な治療を施しましょう。
目次
ウーパールーパーは薬に弱い
まずは治療の基本的な考えとしてウーパールーパーは薬に弱いということを知っておきましょう。
ウーパールーパーとは一般的な魚と比べて体の構造が違っており、観賞魚用に売られている治療薬では効き方が異なるからです。
表記されている通りに使用するとあっさり死んでしまう程キケンです。
薄めて使用すれば問題ない、とは言う人もいますが観賞魚用の薬剤は一般的な魚に合わせて作られており、体の作りが異なる「ナマズ」、「アロワナ」などには使用しないで下さい、と注意書きがしてあるほど。
「観賞魚意外には使用しないで下さい」とも記載されており、ウーパールーパーの病気治療として薬を使用するのはオススメできませんし、使うとしても”獣医師”の支持を仰ぐべきです。
病院で頂いた紙に書いてありましたので、念のためアップします
こういう話もあるよ~程度にとどめて頂ければと思います pic.twitter.com/od8jeMu2bs— うすた (@usta_soy) 2018年10月17日
治療の方針
そもそも薬によって一時的に治っても、原因を改善しなければ同じように再発する可能性が高く意味がありません。
ウーパールーパーは体の一部がなくなっても再生するほど治癒力が高い生物。
そのためウーパールーパーの病気治療は病気にかかった理由を改善して、自然治癒させるのが一番です。
ぷかぷか病
ぷかぷか病は水面に浮いたままになってしまう病気です。
体重が軽い小さなウーパールーパーによく見られる病気です。
浮くだけでは負担にはなりませんが酷いものは転覆するほどになり、エサを食べれず衰弱死に繋がってしまいます。
人工飼料が原因
ウーパールーパーの餌として売られている人工飼料はお腹の中で発酵してガスを生成しやすいという特性があります。
ようは人間で言うイモを多く食べてお腹が張った状態。
つまり人工飼料を与えているとぷかぷか病になる可能性があり、続けて人工飼料を与え続けるとガスの燃料を投下して症状の悪化に繋がることも。
そのため人工飼料を与えるのを中止すれば改善します。
オススメの治療は冷凍赤虫に切り替えること。
冷凍赤虫は嗜好性が高く栄養も高いので、体力の低い小さなウーパールーパーには最適です。
ひどい場合は病院へ
ぷかぷか病の症状があまりにも酷く、衰弱しているようなら出来ることはありません。
両生類に知見のある獣医さんに診てもらい指示を仰ぎましょう。
人間もそうですが、聞いた話などの素人情報ではなくお医者さんである”獣医”の判断を最重要視するべきです。
個体の調子を見ながら使うようにして早期発見がぷかぷか病治療の鍵!
詳しく!ウーパールーパーのぷかぷか病について。原因や治し方。
水カビ病
体に白い綿がついたような症状を水カビ病と呼びます。
スレなどにより傷口ができ、傷口に細菌が繁殖することで発症します。
水カビは水が腐っていないと繁殖しませんので水カビが確認できるということは飼育水が腐っているということになります。
水が腐りやすい環境
水が腐った原因は水が汚れる量に対して水槽にいる濾過バクテリアの量が少ないためです。
濾過バクテリアは砂利とフィルターに定着していますが、砂利を敷かず小さなフィルターを使用している場合はなりやすい環境と言えます。
特に外掛け式や投げ込み式フィルターを使っている場合は水が腐りやすいです。
換水で応急処置
早急に換水を行って綺麗な水にします。
治るまでは毎日4/5程度の量を入れ換えてください。
水を多く入れ換えるのでショックを抑えるために温度は必ず合わせることがポイント。
そうしないと余計なダメージを与えてしまいます。
水を綺麗に保っていれば水カビが生存できなくなり、自然と消失していきます。
飼育環境の改善
綺麗な水を保つためにずっと毎日換水するのは非常に手間。
浄化能力の高い上部式や外部式フィルターを設置しましょう。
外掛け式や投げ込み式フィルターでは成長したウーパールーパーの排泄をカバーできません。
表情には表れませんが実際は負担をかけてしまっています。
関連外部式フィルターはどれが良い?製品を一括比較!オススメなど!
そのほか、砂利を敷くのも綺麗な水を保つ効果があります。
どうしてもフィルターをスペックアップ出来ない場合は砂利を敷くべきです。
関連ウーパールーパーに底床(砂利)って必要?メリット、デメリットを考察
ちゃんと飼ってればハッキリ言って出ないヨ!
ケガ
驚いた拍子に岩などに衝突してしまうことや、他のウーパールーパーに誤ってかじられたりすることで皮膚や体の一部がえぐれ、怪我をする場合があります。
特に他のウーパールーパーにかじられた場合は千切れる、または壊死してしまうことがありますが、ウーパールーパーの再生能力は高く再生することが可能です。
冷凍赤虫を与える
体の再生、または傷口の自然治癒のために栄養価の高い冷凍赤虫を与えましょう。
人工飼料は栄養のバランスは良いものの、冷凍アカムシと比べて血肉となりにくいので治りが遅く不完全なまま再生してしまう可能性が高いのです。
赤虫は嗜好性も高いので栄養をつけさせるには最適です。
完全に修復するまで沢山食べさせて修復を促進させましょう。
日頃から綺麗な水で飼育することが大切
アクアセイフなどの粘膜保護剤を使用するのは悪くありませんが、日頃から綺麗な水で飼育している場合は無くても全く問題なく治癒します。
ただし日頃から悪い環境で飼育している場合は水カビが繁茂してしまい、再生に支障をきたしてしまいます。
その場合は毎日3/4程度の水を取り替えて綺麗な水を保つようにします。
水が透明だからといって水が綺麗な訳では無く、水カビが治らないのであれば根本環境を見直す必要があると言うことです。
関連ウーパールーパーに適したフィルターは?必要性や種類、オススメなど
ケガは元通りに治らない?
ウーパールーパーは体の一部が無くなっても再生することができますが、場合によっては元通りに治らないことも。
「体を作るための栄養が不十分だった」、「水が汚く再生が阻害された」場合は不完全な再生が起こりやすくなってしまいます。
しっかりとポイントを抑えて治療を行いましょう。
ただし正しく飼ってない場合はちゃんと戻らない可能性が高くなってしまうんダ!
詳しく!ウーパールーパーのケガの治療について。再生にかかる時間など
赤く腫れ上がる(粘膜異常)
皮膚の粘膜がおかしくなり、酷い場合は体中が赤く充血する症状が「粘膜異常」です。
軽度なモノは季節の変わり目など急激な環境変化が続くことによる免疫低下で起こることがありますが、ここでは赤く腫れ上がる重度のタイプを解説します。
軽度のものはコチラでウーパールーパーの粘膜異常について。原因と治療方法。
赤く腫れ上がるケースとして最も多いのは”薬剤”。
飼育器具には洗剤類は使わないというのは当然ですが、お風呂に使っているタライを使用した場合でも、残った洗剤によりウーパールーパーにダメージを与えることがあります。
いきなり赤く腫れ上がったというのは大体このパターンで、腫れ上がる前に水換えなどでタライや洗面器などにうつしていた、というのが多いです。
すぐさま両生類の知見のある獣医師の元に連れていき、指示を仰ぎましょう。
程度によりますが薬剤が無くなると次第に収まってくるので見た目には回復しているように見えます。
しかしながら臓器や皮膚細胞にダメージを負うためか半年以内に死んでいる子が多いため、一度病院で診てもらうべき症状です。
エラが小さくなる、エラがまくれる
エラが小さくなったり、内側にまくれることがあります。
エラが小振りな程度では全く問題はありません。
ですが見た目は悪く、酷いものは呼吸器官として能力が落ちてしまうため窒息に繋がる可能性も。
換水を怠るとなりやすい
換水を怠った場合が続くと少しずつエラが縮んでいきます。
しっかりとしたフィルターを設置していても水換えは必要です。
これはフンから出た汚れである「アンモニア・亜硝酸」が、フィルターの力(バクテリア)では「硝酸」に変換するまでの浄化作用しか無いためです。
そのためどれだけ強力なフィルターを使っていようが、溜まった硝酸は水換えで吐き出す必要があるということです。
関連水槽の水を綺麗に保つ仕組み。アクアリウムの基本を学ぼう。
元に戻るにはかなりの時間がかかる
修復させるためには週一程度の定期的な換水に加え、血肉になりやすい冷凍赤虫などを与えてやるとエラが元に戻りやすくなります。
エサは数日に1回ではなく毎日与えたほうが良いでしょう。
ただしエラが大きくなるにはかなりの時間がかかり、何ヶ月単位でないと分かりません。
多少小さい程度であれば問題はありませんが、見た目も悪いのでエラが縮んできたと感じた場合は飼育環境を見直して見ると良いでしょう。
関連ウーパールーパーのエラを大きくするには?フサフサを目指そう
変態が進んでしまう
ウーパールーパーは通常変態しないサンショウウオですが、環境により変態が始まってしまうことがあります。
変態が進むとエラが小さくなり、ずんぐりとした体型からシャープな体型へと変化してしまいます。
変態を促進させない
変態のスイッチが入ってしまう理由として最も多いのが水位です。
水槽内の水は蒸発していきますが、あまりに足し水や換水を怠ると水位が少しずつ下がりウーパールーパーが「これは変態しなきゃダメだな(・ω・;)」と感じると陸上で生活できるよう変態が進んでしまいます。
変態を促進する理由としては
- 低めの水位
- 水が汚い
- 酸欠
- (強いアルカリ性の水質?)
などがあり、いずれも劣悪な環境でウーパールーパーがこの環境だと生きていけないと判断してしまうものです。
これらを改善して変態を阻止しましょう。
残念ながら進んでしまった変態を元に戻すことはできません。変態を中断させるのみです。
変態してしまったら?
変態してしまうと陸上生活に移行するため、飼育方法が全く異なります。
飼育方法は成体のタイガーサラマンダーやファイアーサラマンダーに準じます。
また変態したウーパールーパーは短命だと言われており、日頃から正しい環境で飼育するのが大切です。
おわりに、病気への考え方など
ウーパールーパーの病気はほとんどが飼育環境の悪さによるものです。
ウーパールーパーは過酷な環境でも生存できる丈夫な生き物ですが、だからといって過酷な環境で飼育するのは不適切です。
特に多いのがフィルターの能力不足からなる慢性的な水質の悪さ。
ウーパールーパーは大きくなると多く水を汚すようになりますが、それに合う強力なフィルター(外部式)に変える飼育者は少ないです。
外掛け式や投げ込み式などの能力の低いフィルターで飼育するためには毎日レベルの換水が不可欠ですが、そうする飼育者はほぼいません。
”毎日水換えをすると調子が良くなった”とは良く聞きますが、それは普段から悪い環境であったという何よりの証拠です。
人工飼料に頼りすぎない
あとは人工飼料に頼りすぎていることも病気を誘引する大きな原因。
「ウーパールーパーのエサ」として売られているものは犬や猫用のペットフードと比べるとレベルがかなり低いもので、正直なトコロあまり良いモノではありません。
特に成長期には栄養の高い冷凍アカムシなどを腹いっぱい与えるべきであり、低栄養で育ったウーパールーパーは病気にも弱くなります。
人間でも赤ちゃんから青年になるまでには栄養価の高いモノを腹いっぱい食べさせることが、大人になった時の健康にとても重要であるというのは常識。
その点人工飼料は冷凍アカムシと比べると栄養価が低く、消化器官で発酵するリスクから量を与えにくいことから成長期には不適切なエサであります。
環境も含めて適切に育てればウーパールーパーが病気することは(ほぼ)無くなりますので、何らかのトラブルに見舞われた時は治療もそうですが、まず飼育環境を見直してみることが第一です。
素人判断はアテにし過ぎない
またここに書いたものは(重度のモノは除き)飼育者自身で治せるものばかりですが、場合によっては両生類の知見のある”獣医師”に診てもらうべきことも念頭に置いておきましょう。
人間なら”どこか悪くなった場合はまず病院へ、素人判断では治療しない”が通説ですが、これはウーパールーパーにおいても同様。
ネットではデマや勘違いなどによる不確かな情報も流れやすく、病気の治療など命に関わる処置は情報の出どころが不明な情報を鵜呑みにするのは非常にキケン。
過去にぷかぷか病では「氷で冷やす」、「冷蔵庫に入れる」などの処置が必要と多く言われていましたが、現在はかえって体力を奪い誤った処置だと改められています。
(温度を下げるとにより発酵を抑えられていただけで、今は人工飼料自体が発酵しやすいとするのが通説です)
命に関わる情報は人間と同様、”医師、獣医師”の免許を持った人に聞くべきであり、それら免許を持たない人の情報は参考程度にとどめておくのが一番。
ウーパールーパーの病気は正しい環境にさせすれば回復に向かっていくものが多いのですが、場合によっては病院に行くという選択肢も忘れないで下さい。
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この記事へのコメント
怪我をした時にとても役に立ちました!ありがとうございました!
うちのウーパールーパーが、水カビ病でもないのにはだが白くなりエラも白くなっていてなにかもわからないので日にち薬として置いているのですが、腹水病には前兆があるのか教えてほしいです。
それっぽくないのであれば、それらしい病気を教えてほしいです。
よろしくお願いします。
>>2
病院で診てもらうことをオススメします。
文章の限りでは、インターネットで解決できる内容では無い、ということを恐れ入りながらアドバイスさせて頂きます。
この手の総合的なアドバイスとしては、「予防の観点」からでいうとほとんどの病気は水が汚いことによるものです。
透明かどうかが問題ではありません。要はオシッコが水に溶けてそれを処理しているかどうかがポイントです。
環境によりウーパールーパーは毎日の水換えが必要になる場合があります。
もし病院で適切な治療を受けられず死亡した場合は、水を疑ってみて下さい。
なお上記アドバイスはあくまで「予防」ですので、既におかしい症状が出ているのであれば適切な獣医師にかかるべきです。
※適切なというのは犬猫しか診れない獣医師ではなく、両生類の知見があるという意味です。