ヤマトヌマエビの繁殖方法とその実レポート!
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ヤマトヌマエビ愛好家によるヤマトヌマエビの繁殖方法およびその繁殖レポート!。
ヤマトヌマエビを繁殖させるために必要な手順や実際の様子を元に解説紹介していきます。
※このサイトは大体「犬水ジュン」が書いておりますが、本記事は「えびちゃん@ヤマトヌマエビ愛好家 (@aquaristEBICHAN) 」さん、より頂いた寄稿記事です。
はじめに
ヤマトヌマエビを飼っている人なら1度は目にするであろう抱卵したメスのヤマトヌマエビ。
しかしながらヤマトヌマエビを増やすのは特別な方法が必要で、ショップから繁殖は難しいと聞かされる場合や、どうやって育てるか調べるうちに繁殖が難しいと知る人も多いのではないでしょうか。
確かにヤマトヌマエビの繁殖は簡単ではありませんが、全く出来ないという訳でもありません。
私ヤマトヌマエビ愛好家えびちゃんが実際に実践、成功した繁殖手順を解説します。
抱卵個体を見つけたら
抱卵自体は水槽内で飼っていれば自然に起こりますが、ヤマトヌマエビは孵化させて稚エビになるまでに特別な手順を必要とします。
特別な手順は大きく2つあるのですが、まず卵が孵化するには「汽水」という海水と淡水が混ざった環境が必要になることです。
まず孵化させるための「孵化用の水(兼赤ちゃんの飼育水)」を用意しましょう。
孵化・育成用の水を準備しよう
まず抱卵個体の確認が出来たら「海水の素(インスタントオーシャン)」または「汽水の素」を買いに行きます。
「汽水」の作り方はこの後説明しますが、2ℓのペットボトルに「汽水」を入れ、その中にウィローモスや水草を好きなだけ入れます。
そして作ったペットボトルを日の当たる窓際にエビが脱卵するまで放置しましょう。
(およそ1ヶ月ほど)
水草を維持しておくことにより微細なプランクトンが増え、今後生まれてくる赤ちゃんたちのエサを備えるのが狙いです。
ヤマトヌマエビのための汽水の作り方
汽水は市販されている「海水の素」と「水槽内の水」を混ぜることによって作ることができます。
ヤマトヌマエビには70%の汽水(海水70%に対し、淡水30%)の汽水を用意しましょう。
難しく聞こえるのですが2リットルのペットボトルに海水を満タンに作り、30%ほど捨て、捨てた分水槽の水を入れると完成!です。
(海水は購入した海水の素の説明通りに作りましょう)
また海水の素ではなく、直接「汽水の素」も売られていますのでそれを使う場合は説明書そのままで大丈夫です。
ママエビの隔離
ママエビの抱える卵の色は、最初の1〜2週間はグレーで、2週間目以降は黄色味がかった色になり卵の中に目が確認出来るようになります。
抱卵から3〜4週間ほどでママエビが卵を激しくパタパタし始めますので、そのタイミングでママエビを隔離しましょう。
孵化器には直接移さず、大きめの容器(私は100均の小さい虫カゴでした)に水槽内の水を入れ、ママエビを移します。
換水して脱卵を促しますが、母体に負担をかけるので様子を見ながら進めてください。
脱卵後はママエビを元の水槽へ戻し、孵化した赤ちゃんの世話を行います。
ゾエアの集中育成
ミナミヌマエビやザリガニは抱卵するとそのまま稚エビが卵から出てきますが、ヤマトヌマエビは稚エビではなく「ゾエア」と呼ばれるプランクトンのような形態で生まれてきます。
ヤマトヌマエビのゾエアは汽水環境でしか育ちませんので、生まれたゾエア(及び残った卵)を避けながら容器内の水をできるだけ抜き、用意していたペットボトルの汽水を水草ごと入れましょう。
(用意した汽水は水の入れ換えで今後使うので使い切らないように!!)
ゾエアの給餌
ゾエアの期間は2週間ほど続きますが、最も死ぬ確率が高いタイミングです。
その主な死因は餓死。
用意していた孵化器にはプランクトンが湧いていますがそれだけでは不十分で、「米のとぎ汁」をスポイトで一滴ずつ与える必要があります。
(親エビ用のエサはすり潰してもダメ)
また常にゾエアは空中にふわふわ泳いでいる為、底に沈んでしまった米のとぎ汁は食べることができません。
そのためなるだけ定期的にかき回し、米のとぎ汁を舞い上がらせて餓死しないようにしましょう。
水質悪化の防止
また米のとぎ汁は放置すると水質が悪化してしまうため、数日置きに底に溜まった研ぎ汁をスポイト取れる範囲で取り除きます。
取り除いた分は水が減りますから、作っておいた汽水で補充を行います。
ゾエアから稚エビ間の世話
脱皮を繰り返し孵化から2週間ほどでゾエアから稚エビへと成長します。
稚エビに成長したら米のとぎ汁と共に、親エビ用のご飯を小さめにして与え始めます。
(※与え過ぎ注意)
ここで一気にフンの量が増し、水質悪化が急速に早まりますので注意ポイント。
この後もしばらくはスポイトで稚エビを吸わないようにフンや食べ残しを取り除きつつ汽水を足し、優しく水をかき回し循環させて育成を続けます。
稚エビから子エビへ
斑点が確認出来るようになると大人のエビと同じ摂食行動を行いますので、かき回す必要はなくなります。
エサも普通のエビのエサでOKです。
水も汽水から淡水に適応できつつありますが、急に変えるのはNG。
徐々に水槽内の水へと慣らすため、食べ残しを吸い出して補充する水を汽水ではなく水槽水へと切り替えていきましょう。
感覚としては1ヶ月ほどかけて水槽の水に馴染ませていくイメージです。
酸欠に注意
またこの時期、突然酸欠になる場合がありますので定期的なエアーレーション(ぶくぶく)を開始します 。
ただしエアーレーションが強すぎる場合は子エビへのダメージになってしまうので要注意!
稚エビはとても小さいのでエアレーションで流されっぱなしになり、ご飯が食べれず力尽きてしまう可能性があります。
1回30秒程を1日数回に分けるか、分岐コックを使って流量を極限まで抑えて強すぎないようにしましょう。
おわりに、繁殖のポイント
ヤマトヌマエビの繁殖は難しいと言われますが「汽水環境が必要なこと」と「稚エビではなくゾエア幼生を育てないといけないこと」が主な理由です。
汽水は用意さえすれば特に難しくはないものの、ゾエア幼生の育成が難関ポイント。
ゾエアはプランクトンに近い形態なので、どちらかというとプランクトンを育てるような感覚が近いと思います。
(余談:ミナミヌマエビやザリガニは稚エビで生まれてくるので楽・・!)
最後にヤマトヌマエビでの繁殖で特にキーとなるポイントをおさらい。
- ゾエア期のエサは舞いやすく細かいものでないと浮遊する小さなゾエアの口に入りません。「米の研ぎ汁」ベースに「水草による自然発生プランクトン」を。
- ゾエア期は浮遊しているエサしか食べれないので、ひたすら水をかき回し循環させましょう。
- 食べ残しは除去して、その分汽水を足していきましょう。
- 稚エビになると一気に水質悪化、酸欠になるのでそこも注意が必要です。
元気なエビが産まれますように✨
内容:えびちゃん@ヤマトヌマエビ愛好家 / 編集:犬水ジュン
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この記事へのコメント
ありがとうございます
とても素晴らしい内容でした!ありがとうございます。
先日飼い始めて初めて抱卵しまして、チャレンジしてみようと思っております。
ペットボトルの中にアナカリスを入れたのですが、色が変色してしまってて水が腐敗しないのか心配です、、
ありがてぇありがてぇ
本当にありがてぇ